ドーピング検査の無意味さを証明しようとしていたはずが、国家ぐるみのドーピング疑惑を暴くことになってしまったのが『イカロス』です。命がかけで真実を告発したロシア反ドーピング機関の元所長。どうやってドーピング検査をパスすることができたのか?その真実が暴かれます。
『イカロス』作品情報
タイトル | イカロス(Icarus) |
監督 | ブライアン・フォーゲル |
公開 | 2017年8月4日 |
製作国 | アメリカ |
時間 | 2時間 |
Rotten Tomatoes
あらすじ
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自転車選手でもある監督のブライアン・フォーゲルが、スポーツ界におけるドーピング検査の有用性検証のため、自ら薬物を摂取してドーピング検査を通過できるか実験をしようとしたことをきっかけに、ロシアの専門家グリゴリー・ロドチェンコフと知り合う。
しかし、ロドチェンコフがロシアの国家主導によるドーピング計画に関与していることが明らかになっていき、事態はフォーゲルにとっても思いがけない方向へと進んでいく。
(出典:https://eiga.com/movie/88129/)
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ロシアのグリゴリー・ロドチェンコフ
自転車レースでドーピングを行い、ドーピング検査の無意味さを証明しようとしたブライアン・フォーゲル。
彼は当初UCLAのオリンピック研究所の創設者ドン・キャトリンのアドバイスをもとにドーピングを行う予定でした。
しかし彼が途中で降りてしまたため、彼から紹介されたグリゴリー・ロドチェンコフのアドバイスを受けることになりました。
グリゴリー・ロドチェンコフはロシアの反ドーピング機関の所長です。
ドーピングに反対する機関で、ドーピングを行うことが始まりました。
しかしこれが波乱のスタートだったのです。
ロシア陸上競技のドーピング疑惑
ブライアンがグリゴリーの指示のもと尿の採取を行っている頃、ドイツであるドキュメンタリーが放送されました。
「ドーピング〜ロシア陸上チーム・暴かれた実態」というドキュメンタリーの中で、ロシアの陸上競技選手のドーピングの実態が描かれていました。
その首謀者はロシアのラボの所長グリゴリーということでした。
「彼のもとでは検査で陽性はでない」という衝撃的な告発内容でした。
この放送を受けて動き出したのがWADAです。
WADAとは世界反ドーピング機関です。
彼らは調査機関を設けて疑惑の追求を始めました。
そして出された結果は放送された内容は真実だということでした。
ロシアの陸上競技チームでドーピングが行われていたのです。
この発表によりグリゴリーの人生は大きく変わってしまいます。
彼はラボの所長をクビになってしまいます。
さらに命の危険を感じるようになったグリゴリーは、アメリカに逃亡しました。
ソチオリンピックでのドーピング検査不正
自分の命の危険を感じながら、告発することに踏み切ったグリゴリー。
ブライアンのインタビューもと、彼はソチオリンピックで実際に行った不正の手口を細かく話しました。
[box class=”yellow_box” title=”ドーピング検査の流れ”]1.選手は検査員の前で尿を採取しAとBのボトルに尿を入れる
2.密封されたボトルはラボへ運ばれる
3.Bは冷凍庫で保管される
4.Aの尿でドーピング検査が行われる
5.陽性反応が出た選手はBの尿を使用して再度検査を行う[/box]
これが通常の流れでした。
グリゴリーは不正を行うための手段を考えました。
ソチではラボの裏口の前にKGBの建物が立っています。
そこに選手のクリーンな尿を保管しておいたのです。
[box class=”red_box” title=”実際の手口”]部屋に開けられた穴から尿を回収し、Aの尿は捨てる
Bの尿はKGBが回収しクリーンな尿に入れ替えて戻す[/box]
これにより、ロシアはソチオリンピックで過去最高のメダルを獲得しました。
さらにソチオリンピックの成功でそれまで下がっていてプーチンの支持率は急上昇します。
そしてプーチンはオリンピックが終わるとウクライナに侵攻しました。
平和の祭典の裏で行われていた事実はとても衝撃的なものでした。
まとめ
命をかけてロシアの国家ぐるみのドーピングを告発したグリゴリー。
彼はその後アメリカの証人保護システムを受けて、現在もどこかに身を隠しています。
しかしIOCはロシア選手のリオオリンピック出場を認めました。
もちろんプーチンはドーピングへの関与を否定しています。
グリゴリーはこの結果をどう考えているのでしょうか?