映画『1917 命をかけた伝令』で描かれる第一次世界大戦の最前線の現状

1917年4月6日。第一次世界大戦の真っ只中フランスの塹壕戦でドイツ軍と戦うイギリスの若き兵士。彼に任されたミッションは進撃する味方に「攻撃中止」を伝えること。任務のためにひたすら無人地帯を走り続ける兵士が見たものは戦地の現状。ここでは『1917 命をかけた伝令』で描かれた第一次世界大戦の激しい戦い西部戦線の塹壕戦について調べてみたいと思います。

目次

『1917 命をかけた伝令』作品情報


1917 命をかけた伝令 [Blu-ray]

タイトル 1917 命をかけた伝令(1917)
監督 サム・メンデス
公開 2020年2月14日
製作国 イギリス/アメリカ
時間 1時間59分

Rotten Tomatoes

 

[box class=”red_box” title=”アカデミー賞受賞”]・撮影賞
・視覚効果賞
・録音賞[/box]

あらすじ

(引用:MIHOシネマ

第一次世界大戦 西部戦線

映画『1917 命をかけた伝令』で描かれたのは、1914年から始まった第一次世界大戦のフランスとドイツの国境で行われていた西部戦線です。

塹壕戦とも呼ばれたこの戦いはフランス側とドイツ側でそれぞれが塹壕を掘り、睨み合いが続く長期戦となっていました。
この映画の舞台は1917年ですので、塹壕線が始まってすでに3年が経過しています。

多くの兵士が亡くなってしまった塹壕戦。
塹壕と塹壕の間は、両軍のどちらも入り込むことができない無人地帯と呼ばれています。
無数の弾丸が飛び交う無人地帯に入り込めば命はありませんでした。

映画の中でもスコフィールドが「無人地帯では数メートルも進めない」と言っています。

しかし「攻撃中止」を伝えなけらばならない若い2人の兵士は、最短ルートを進むためにこの無人地帯に足を踏み入れることになります。
多くの死者がそのままの状態の無法地帯。
そこには人間や馬の死体がいくつも転がっていました。

その中を通り抜けドイツ側の塹壕の最前線まで向かった2人。
そこには将軍の言う通りドイツ軍の姿はありませんでした。
すでにドイツ軍は後退したあとだったのです。

伝令を伝える兵士の1人スコフィールドは、ソンムの戦いで生き残ったことでメダルを受けとっていました。
ソンムの戦いは1916年にソンムと言われる地域で起きた戦いで、塹壕戦の中でも最も激しい戦いと言われています。
お互いが100万人以上の死傷者を出しながらも、勢力的にほとんど変わらない戦いでもありました。

その激しい戦いで生き残ったスコフィールドが、今度は命令を伝える任務を任されたのでした。

戦地を走るブレイク達の背景には「毒ガス注意」なども看板も見えます。
この第一次世界大戦は初めて化学兵器が使われた戦いでもあり、また武器もたくさん開発されました。

ドイツ軍の後退作戦

連合軍・ドイツ軍ともに多くの死者は負傷者を出しながらも、どちらも勝利を掴めないまま月日が流れた塹壕戦。

そんな中1917年2月にドイツ軍はヒンデンブルク線と呼ばれる塹壕まで撤退を開始します。
このヒンデンブルク線にはすでに要塞が建設されていて、ドイツ軍はここまで撤退することで連合軍をおびき出し一気に攻撃を仕掛ける予定でした。

これが『1917 命をかけた伝令』の中で描かれているドイツ軍の撤退です。

イギリス軍は航空写真によって要塞が建設されていることに気がつきましたが、撤退に気がついた連隊はすでにドイツ軍を追っていました。
これが罠だと気がついたイギリス軍は、ドイツ軍への攻撃を中止するために伝令を送ったのです。

それが1917年4月6日の出来事でした。

実際長期間にわたる塹壕戦はソンムの戦いなどによってドイツ軍側は攻撃能力を失いつつありました。
そしてそのことに連合軍側も気がついていたのです。

だからイギリス軍の連隊は、ドイツ軍の撤退を戦意喪失だと思い攻撃を仕掛けようとしていたのです。

一方でドイツ軍は要塞まで後退すれば勝機が見えると考えていました。
要塞はかなりの防御力を持って建設されていたために、ここまで連合軍をおびき出せれば勝利できると考えたのでした。

まとめ

第一次世界大戦の西部戦線の中のたった1日を描いた『1917 命をかけた伝令』。
しかし実際は戦争が始まり3年がすぎていて、さらに1918年まで塹壕戦は続きます。

最終的には連合軍側の勝利に終わった戦いでしたが、両軍が出した犠牲はとても大きなものでした。

そんな激戦だった塹壕戦の悲惨さを見せた『1917 命をかけた伝令』では、無人地帯のひどさそして塹壕の中の劣悪な環境を知ることが出来ます。

またワンカットのように見える撮影で、兵士の気持ちなどをかなりリアルに描いた作品になっていました。

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