映画『北国の帝王』大恐慌時代を生き抜いたホーボーの戦い

1933年が舞台の『北国の帝王』。大恐慌の中アメリカ全土を移動しながら仕事を求めていたホーボー達。生きるために必死だった彼らの様子を描いたこの作品では、社会から見放されてしまったホーボーが絶対的権力を持った車掌や警察官と戦います。ここではホーボーがたくさんいた1933年がどんな時代だったかを見ていきたいと思います。

目次

『北国の帝王』作品情報


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タイトル 北国の帝王(Emperor of the North Pol)
監督 ロバート・アルドリッチ
公開 1973年12月22日
製作国 アメリカ
時間 1時間58分

Rotten Tomatoes

あらすじ

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大不況真っ只中の1933年、オレゴン。

列車にタダ乗りし各地を移動する失業者たちは“ホーボー”と呼ばれていたが、そんなホーボーを絶対に許さないのが19号列車の鬼車掌シャック。

その列車に乗る事は死をも意味していた。

だが、“帝王”と呼ばれる一人のホーボーがその19号列車に真っ向から勝負を挑んだ。

かくして爆走する蒸気機関車上で、帝王vsシャックの死闘が開始された。

(出典:https://www.allcinema.net/cinema/5326)

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ホーボー

1933年大恐慌真っ只中のアメリカ。
仕事を失ってしまった人はたくさんいました。

この大恐慌が始まったのは1929年です。
『北国の帝王』の舞台は1933年ですので、大恐慌になってからすでに4年が経っています。
アメリカはたくさんの職を失った人たちで溢れていました。

彼らは職を求めてアメリカ中を旅していました。
もちろんお金がないので、切符を買って列車に乗ることはできません。
無賃乗車をしてアメリカを移動していた彼らのことを、ホーボーと呼ぶようになったのでした。

無賃乗車は犯罪でしたが、当時のアメリカを見てみるとホーボーに共感を示していた人はたくさんいました。
貧しいながらも自由に生きているホーボーの生活は1つの文化になったほどでした。

しかし実際この時代を生き抜いていた人たちは必死です。
家も職もない中、食べ物を求めてホーボーはみんなで協力しながら暮らしていました。
『北国の帝王』の中で描かれるホーボーのA・ナンバーワンはホーボー達にとって英雄でもありまた希望でもありました。

ホーボーを許さない車掌を権力者として描くことで、権力によって職を失ってしまったホーボー達の権力への抵抗を描いたのがこの『北国の帝王』でした。

実際に大恐慌の中、銀行によって家を追い出されてしまった人はたくさんいました。
そんな権力者を映画の中では車掌や警察官として登場させています。

ニューディール政策

1933年のアメリカ の大統領はフランクリン・ルーズベルトです。
彼はこの大恐慌を立て直すために、ニューディール政策を発表しました。

『北国の帝王』の中でA・ナンバーワンが仲間もホーボーの所に行った時にラジオから流れていたのは、この政策についてです。

この政策の中には職を失った人への保護もありました。
当時アメリカ 全体で1300万もの失業者がいたと言われています。
彼らを救うために公共事業を行い雇用を増やそうとしました。

しかし1933年に始まったばかりの政策なので、『北国の帝王』の舞台の1933年にはまだたくさんの失業者がいました。
社会の末端のホーボー達の生活が改善されるのは、まだまだ先のことでした。

そんな中ホーボーはキャンプを作りともに暮らしています。
『北国の帝王』の中でもA・ナンバーワンが、仲間も元に鶏を持っていくシーンがあります。

A・ナンバーワンが仲間から慕われていたのは、無賃乗車を成功させていたからではなく仲間思いだったからです。
それが若者ホーボーのシガレットとの違いです。

平気で仲間を見捨てるシガレットに対して、A・ナンバーワンはハードがないと吐き捨てます。

家も職を失ってしまった彼らにとって、この時代を1人で生き抜くのは困難なことでした。
彼らはともに助け合いながら、生き抜いていたのです。

その助け合いがホーボーのプライドでもあったのです。

まとめ

1933年大恐慌時代、アメリカ にいたホーボーを描いた『北国の帝王』。
この当時職を失った人たちが、どうやって生きていたかを知ることができます。

社会の最下層にいる彼らと権力者や一般市民達の生活の違いは一目瞭然です。

それでも必死で生きるために助け合っていたホーボー。
その精神が後にカルチャーとなったのです。

そんなホーボーの生き様を見ることができるのが『北国の帝王』です。

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