映画『失くした体』で描かれた絶望の中にある希望 右手の意味とは?

フランスのアニメ『失くした体』。カンヌ国際映画祭国際批評家週間でアニメーションとして初めてグランプリを受賞しました。失くした右手にはどんな意味が込められていたのでしょうか?主人公のナウフェルの人生を振り返りながら右手の意味を探っていきたいと思います。

目次

『失くした体』作品情報

タイトル 失くした体(J’ai perdu mon corps)
監督 ジェレミー・クラパン
公開 2019年11月29日
製作国 フランス
時間 1時間21分

Rotten Tomatoes

あらすじ

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パリのとある医療施設から、切断された手が逃げ出す。

再び自身の身体とつながりたい手は、身体の持ち主である孤独な青年ナウフェルを捜して、ネズミやハトに追いかけられながらも街をさまよう。

手は、何かに触れるたびに記憶がよみがえっていき、ナウフェルの幼少期や、思いを寄せる図書館司書ガブリエルとの思い出が明らかになっていく。

(出典:https://eiga.com/movie/91957/)

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幸せから絶望へ

父と母の元で幸せな子供時代を送っていたナウフェル。
宇宙飛行士になることと音楽家の母のようにピアニストになることを夢見ていました。

母にピアノを教わり、父とは地球儀を回しながら世界について話をします。
ナウフェルにとっては両親と過ごす幸せな時間でした。

誕生日にポータブルカセットレコーダーをプレゼントされたラファエルは、その日からレコーダーに夢中になります。
マイクを向けていろんな音を録音していました。

日常の音だけでなく自然の音をたくさん録音していたラファエルは、音を通して大きく広がる世界を想像していたようにも見えました。

ピアニストになって世界中を回ること、宇宙飛行士になって宇宙に行くことそんなことを夢見ていたラファエルは、自分の知らない大きな世界に旅立つことを夢見ていました。

しかしある自動車事故にあってしまったナウフェル一家。
両親はその事故で亡くなってしまい、そこかナウフェルの人生は大きく変わってしまいました。

孤児となる親戚に引き取られたナウフェルの世界は、今までとは別の世界です。
両親を失い住む場所を失ったナウフェルでしたが、人生は容赦無く彼から色んなものを奪ってしまうのでした。

右手に込められた意味

物語はナウフェル視点ではなく、ナウフェルの右手視点で進みます。

ナウフェルの体に戻ろるために旅に出た右手は、旅の途中でナウフェルの過去を思い出していました。
幸せだった子供の頃、両親を失ってからのこと、女性に出会ったことなど旅をしながらナウフェルの人生を思い出していたのでした。

そんなナウフェルの右手には一体どんな意味が込められていたのでしょうか?
いつもナウフェルの右手が描かれていた物語。
幼い頃ピアノを弾くのもレコーダーで録音するのも地球儀を回すのも何もかも右手が映し出されています。

右手はナウフェルにとって「幸福」でありまた「希望」だったのかもしれません。

自分の将来は幸せだと思い込んでいたナウフェルは事故をきっかけに色んなものを失ってしましいました。
右手に込められた意味はナウフェルの失ってしまった明るい未来だったのです。

ガブリエルに出会い希望を取り戻したナウフェルでしたが、その希望もまた失ってしまいます。
そして最後には事故で右腕まで失ってしまいました。

何もかも自分の描いていた未来とは違う人生。
そんな人生がいやになるナウフェルでしたが、幼い頃録音したテープを聞きながらあの頃抱いていた夢を思い出します。

そんなナウフェルがとった行動。
それは自分で人生の方向を変えることでした。

人生は元々決まっているのかもしれません。
でもナウフェルは日常とは違う異常なことをして、後悔のない方向に自分の人生の向きを変えました

そしてその時ナウフェルの右手は天に昇っていきました
ナウフェルは失ってしまった希望を受け入れ、新たな希望と未来を手に入れるために大きなジャンプをしたのでした。

まとめ

アニメーションでしか表せない世界を描いた『失くした体』。
繊細でどこか寂しげな世界が画面から伝わってきました。

実写の映画では作ることのできなき右手視点の物語。
繊細なタッチがナウフェルの絶望を描いていて痛いくらいに伝わってきました。

それでもラストで自分の人生を切り開いたナウフェル。
希望溢れるラストになっていました。

 

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