『子連れ狼』を基にした映画『ロード・トゥ・パーディション』。親子の絆を描いた物語ですが、設定は1931年でした。世界恐慌・禁酒法という時代の中で力をつけたマフィア達。ここでは『ロード・トゥ・パーディション』を通して1931年という時代を見ていきたいと思います。
『ロード・トゥ・パーディション』作品情報
タイトル | ロード・トゥ・パーディション(Road to Perdition) |
監督 | サム・メンデス |
公開 | 2002年10月5日 |
製作国 | アメリカ |
時間 | 1時間57分 |
Rotten Tomatoes
あらすじ
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1931年、雪の降るイリノイ州ロックアイランドの町。
良き夫であり2人の息子の良き父親であるマイケル・サリヴァンには、町を牛耳るアイルランド系マフィアの幹部という裏の顔があった。
サリヴァンはボスのジョン・ルーニーから息子のように愛されていた。
サリヴァンの2人の息子にも実の孫のように接するジョン。
そんな父ジョンを実子コナーは、苦々しく思っていた。
ある日、組織の幹部会でコナーはヘマをしでかしたとジョンに責められる。
次第に追い詰められたコナーは、父への恐れとともにサリヴァンに対する嫉妬と憎悪を膨らませ、窮地に立たせる為ある行動に出る…。
(出典:https://www.allcinema.net/cinema/237243)
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[box class=”red_box” title=”アカデミー賞受賞”]・撮影賞[/box]
1931年のアメリカの情勢
『ロード・トゥ・パーディション』の設定は1931年です。
この時代は世界恐慌により、景気が後退し貧しい人が増え多くの人が苦しい生活を送っていました。
それと同時に1919年に制定された禁酒法により、多くのマフィアが現れた時代でもあります。
お酒の製造や密売によって力をつけたマフィア達が色んな都市を牛耳っていました。
ポール・ニューマン演じるジョン・ルーニーもそんなマフィアのボスの1人です。
この地域のマフィアのボスであり、お酒の密売によって儲けていたのです。
具体的には潜りの酒場などにお酒を卸していました。
『ロード・トゥ・パーディション』の中にも登場するマイクがお金の集金に向かったバーは、潜りのバーです。
当時禁酒法によりお酒の販売は禁止されていたので、地下などに隠れてバーは営業していました。
このお店のボディーガードが「こんな時代にどこにお金があるのか」と言っていましたが、世間は不景気なのに毎晩お酒を飲みに多くの人がやってきていたのです。
その状況がこのボディーガードのセリフに現れていました。
一般市民の多くは貧しい暮らしを送っていましたが、お酒の密売や製造によって儲けている人達も多くそんな人たちが潜りのバーに毎晩やってきていました。
一般市民の貧しさはマイク親子を助けてくれた老夫婦の生活を見れば分かります。
この時代はボロボロの家で質素な暮らしを送っていた人もたくさんいたのです。
お金持ちと貧乏人の格差が激しかった時代でもあったのです。
1931年のシカゴ
妻と息子を殺されたマイクが向かったのはシカゴのマフィアのボスの元でした。
この当時のシカゴといえば、アル・カポネによって警察や行政が牛耳られていた時代です。
アル・カポネは裏の市長とも呼ばれるほど権力を持っていました。
マイクとマイケルはそんなシカゴに向かいますが、マイクがあったのはフランク・ニッティでした。
フランク・ニッティは実在した人物で、アル・カポネの後継者でした。
マイク達がシカゴにやってくる前の1931年10月にアル・カポネは捕まってしまいます。
その後を引き継いだのがフランク・ニッティだったのです。
マイクはカポネ一味の力を頼りましたが、すでにフランクはジョン・ルーニー側に味方していました。
この物語時代はフィクションですが、フランク・ニッティという実在した人物が登場したことで、物語がとてもリアルに感じることができました。
マイクはカポネのお金を奪うことで、カポネ側から妻子を殺したコナーの情報を聞き出そうとします。
フランクのところにカポネからの指示があった様な描写もありました。
刑務所に入ってからも指示を出し続けていたカポネの様子を描くことで、当時どれだけカポネの力が偉大だったのかを示しているシーンにもなっていました。
まとめ
1931年の大恐慌と禁酒法時代のアメリカを描いた『ロード・トゥ・パーディション』。
寂れた街や貧しい人たちの中で、勢力を伸ばしていったマフィアの状況を知ることができました。
さらにシカゴでは実在したマフィアの人物を登場させたり、カポネという名前を出すことで当時のシカゴの様子をリアルに感じることができました。