1974年8月任期途中で自ら大統領職を辞任したリチャード・ニクソン 。その後のジョンソン大統領によってニクソンは恩赦を与えられ、辞任の原因となったウォーターゲート事件の真相は分からないままになってしまいます。多くの国民はニクソン元大統領の謝罪を望んでいます。それに挑んだのがフロスト。『フロストxニクソン 』では二人の緊迫したインタビューの裏側を知ることができます。
『フロストxニクソン 』作品情報
タイトル | フロストxニクソン(Frost/Nixon) |
監督 | ロン・ハワード |
公開 | 2009年3月28日 |
製作国 | アメリカ/イギリス |
時間 | 2時間2分 |
Rotten Tomatoes
あらすじ
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1974年。
アメリカの歴史上、初めて任期途中で自ら職を辞した大統領という不名誉な称号を背負うことになったリチャード・ニクソン。
その後は沈黙を守り、国民は彼の口から謝罪の言葉を聞けずにいた。
その頃、英国の人気テレビ司会者デビッド・フロストは、より高いステータスを手に入れるべく全米進出の野望を抱いていた。
そこで目を付けたのがニクソンの単独インタビュー番組というものだった。
さっそく出演交渉を開始するフロストだったが、海千山千のニクソンは法外なギャラを要求しつつ交渉を有利に進めていく。
さらに、3大ネットワークへの売り込みも、コメディアン上がりのフロストなんかに大物政治家の相手が務まるわけがないとの理由で不調に終わる。
フロストはやむを得ず、番組を自主製作することを決意、そのために莫大な借金を抱え込むことに。
こうしてようやくニクソンの単独インタビューには漕ぎ着けたものの、番組が放送局に売れるかどうかは、ニクソンから謝罪の言葉を引き出せるかどうか、その1点にかかっていたのだが…。
(出典:https://www.allcinema.net/cinema/332592)
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ニクソン大統領
第37代アメリカの大統領となったニクソン。
彼の大統領としての人生は波乱万丈なものでした。
「ベトナム戦争」からの撤退を訴え大統領に当選したニクソンでしたが、インタビューの中でフロストが言っているように、ベトナム戦争は泥沼化してしまいます。
カンボジアやラオスに侵攻したことでベトナム戦争は激しくなる一方でした。
その頃アメリカ国内ではは反戦運動が強まります。
アメリカ軍がベトナムで行ったことが物議を醸していたのです。
そんなニクソン大統領を苦しめたのがウォーターゲート事件です。
ニクソン大統領の再選に向けた大統領選前に、民主党本部のあるウォーターゲートビルに5人の男が侵入し逮捕されてしまいます。
5人の男の中には元CIAの人間やニクソンの再選委員会の人間が関わっていたことが分かりました。
これによりニクソン大統領の侵入事件に関わっているのではという疑惑が生まれます。
さらにFBIに対しる捜査妨害など様々なことが明るみになりました。
ホワイトハウスの会話を録音していたニクソンですが、証拠として提出されたテープには消されている部分がありました。
野党からニクソンに対する弾劾を求めますが、ニクソンは1974年8月に自ら大統領職を辞任することを決断しました。
裁判になる前に辞めてしまったのです。
しかもニクソンの後に大統領になったジョンソンは、ニクソンに対して恩赦を与え、ニクソンはウォーターゲート事件に対して法廷に出ることはなくなりました。
外交政策では中国の毛沢東と握手を交わしたり、冷戦の続くソ連と緊張緩和を進めたりしたニクソンでしたが、ウォーターゲート事件による失脚のイメージが強い大統領だったのです。
そんなニクソン大統領に対してアメリカ国民が望んでいたのは、謝罪の言葉だったのです。
フロストとニクソンのインタビュー
ニクソンのインタビューを行えることになったデービッド・フロスト。
イギリスのトーク番組の司会者だったフロストですが、人生をかけてニクソンのインタビューに挑みました。
今までのテレビの印象からニクソンに切り込んだ質問を行うことが出来ないと思われていたフロスト。
アメリカの3大ネットワークはニクソンのインタビューに興味を示しませんでした。
ニクソンはインタビューに60万ドルを求めてきます。
資金繰り苦しみながらついにインタビューの当日がやってきてしまったのでした。
策士と言われるニクソン。
インタビューが始まるとフロストの質問を全て自分のペースで答えます。
1回2時間4日間と決められていたニクソンとのインタビュー。
しかもウォーターゲートについては最終日に質問するという契約でした。
1つの質問に23分も使って回答し、明らかにインタビューはニクソン優勢で進みました。
盗聴についてもベトナム戦争についても、悠長に語るニクソン。
密かに政界復帰を考えていたニクソンにとっては、このインタビューが復帰への足がかりになりそうでした。
あとがなくなってしまったフロストは、最終日にウォーターゲートのついて質問を行いました。
ニクソンが隠蔽を知っていたということ、さらに司法妨害を行なっていたという証拠を彼に突きつけたのでした。
感情を向きだしにして反論するニクソンは「大統領がやるのなら非合法ではない」という言葉を吐いてしまいます。
そしてついにフロストの質問に対して自分が隠蔽に関与したことを認めたのでした。
さらに国民に対して「失望させてしまった。わたしはその罪の重みを背負って生きていく」という謝罪の言葉を語ったのです。
ニクソンから謝罪の言葉を引き出したインタビューはアメリカだけでなく世界的に話題となりました。
このインタビューで成功を収めたフロストは、その後もイギリスで司会者として活躍を続けました。
一方でニクソンは二度と政治の世界に戻ることはなかったのです。
まとめ
ニクソン元大統領から謝罪の言葉を引き出したことで有名なフロストとのニクソンに対するインタビュー。
『フロストxニクソン 』ではそのインタビューの裏側でどんな駆け引きが行われていたのかを見ることが出来ました。
圧倒的に優位にインタビューを進めるニクソン。
しかしたった一言の発言が一気に立場を逆転させることになってしまいました。
このインタビューによってニクソンの政治生命は終わったのでした。