映画『アルゴ』で学ぶアメリカとイランの関係


イランのアメリカ大使館で起きた人質事件。その時に外に逃げ出すした6人の職員達。その6人を救出するための出来事を映画にした『アルゴ』。最初から最後まで続く緊張感の中で彼らの救出劇が描かれています。そのアルゴを見ているとなぜ大使館人質事件が起きたのか?イランとアメリカの関係を学ぶことができます。

『アルゴ』作品情報


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タイトル アルゴ(ARGO)
監督 ベン・アフレック
公開 2012年10月26日
製作国 アメリカ
時間 2時間

Rotten Tomatoes

あらすじ

全世界を震撼させた、歴史に残る大事件が起きたのは、1979年11月。

革命が吹き荒れるイランで、過激派がアメリカ大使館を襲撃、大使館員を人質にとる。

彼らの要求は、悪政の限りを尽くしてアメリカに逃げた前国王の引き渡しだった。

混乱のなか裏口から6人が脱出、カナダ大使の家に身を隠すが、見つかれば公開処刑は間違いない。

絶望的な状況を打破するため、CIAの人質奪還のプロ、トニー・メンデスが呼ばれた。

トニーの“名案”は、ウソの映画を企画し、6人をロケハンに来た撮影スタッフに仕立て上げ、出国させるという作戦。

特殊メイクの第一人者で、『猿の惑星』でアカデミー賞に輝いたジョン・チェンバースが協力、瞬く間にプロデューサーと脚本が用意され、SFファンタジー「アルゴ」の盛大な記者発表が行われた。

イランどころかアメリカまでも欺き、タイムリミット72時間のハリウッド作戦が始まった!

ところが──絶対にバレると反発する6人、脱出者がいることに気づくイラン、緊迫のなかCIAから作戦中止の命令が! 果たして6人の命の行方は──?

(出典:https://warnerbros.co.jp/home_entertainment/detail.php?title_id=3695/)

アカデミー賞受賞
・作品賞
・脚色賞
・編集賞 

アメリカとイランの関係

映画『アルゴ』の冒頭ではアメリカとイランの歴史が簡単に説明されています。
これを見るとなぜアメリカとイランの関係が悪化してしまったのかを理解することができます。

石油や天然ガスなどの資源が豊富な中東。
その豊富な資源に目をつけたのがイギリスとアメリカでした。
イギリスは1900年代頭にイランで発掘した石油の利益を独占していました。
同じようにアメリカも1950年にサウジアラビアの石油による利益を独占し始めます。
イランでは国民は貧しい生活を強いられ、イギリスやアメリカの利益独占に対し不満を感じていました。

そして1950年イランではモサデク首相が選ばれます。
彼は民主的な指導者で宗教的偏りも強くなく、国民に支持されていました。
モサデク首相はイラン国民のために、イランの石油を国有化しました。
それによってイラン国民の生活も変わり始めていたのですが、逆にアメリカやイギリスは石油で儲けることができなくなってしまいます。

1953年アメリカやイギリスはイランの政治を裏で操りクーデターを起こすことに成功します。
このクーデターによりモサデク政権は失脚し、変わりにパーレビがイランの国王になったのでした。
アメリカよりのパーレビ政権。
石油は昔のようにアメリカやイギリスが掘削をするようになり、イラン国民はまた貧しい生活に戻ってしまいました。

国民が苦しい生活を送っているのに対し、パーレビ国王は贅沢三昧の生活です。
さらにイランの西欧化を進め、秘密警察を設立し国民に対して厳しい拷問を課すようになりました。

パーレビ政権に多くのイラン国民が不満を抱えていました。
さらにイランに多いイスラム教シーア派の人たちは西欧化していくことに対して怒りを覚え始めま。
の不満と怒りがついに爆発し1979年イラン・イスラム革命が起こりました。
この革命によりパーレビは追放され、イランは新しい主導者ホメイニが誕生したのです。

イランから逃れたパーレビを受け入れたアメリカに対してイラン国民は不満をおぼえます。
しかもモサデク政権の失脚にCIAが絡んでいたこともアメリカに対する強い憎しみを生んでいました。
そのほか先はイランのアメリカ大使館に向かいます。
アメリカに対してパーレビの引き渡しを要求する人たちが、アメリカ大使館の前に集まりデモを起こしました。
そして1979年11月4日アメリカ大使館に押し寄せた若者や、ホメイニ派のイラン革命防衛隊によってアメリカ大使館は占拠されてしまったのです。

『アルゴ』ではこの時に大使館から逃げ出した6人の救出作戦を描いた映画です。
この6人以外の人達のほとんどは444日間人質となったのです。

アメリカ政府は人質の救出作戦を行なっていますが失敗してしまいます。
これがさらにイラン側を怒らせてしまうことになりました。
最終的にパーレビが死んだことで、大使館の選挙は終わりを迎えます。
そして両国の交渉の末に大使館が占拠されてから444日後に、人質は解放されることになったのでした。

そしてこの事件以来アメリカとイランの国交は断絶されているのです。

救出作戦「アルゴ」

大使館から逃げ出しカナダ大使の私邸に隠れている6人の救出に向かうことになったトニー・メンデス。
彼が考えたのが「アルゴ」という映画の撮影でした。
カナダ人を装い6人がイランに映画のロケ班としてやってきたことにしたのです。

映画の中ではトニーの息子が見ていた『最後の猿の惑星』を見てこの作戦を思いついたことになっています。


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1973年に公開された『最後の猿の惑星』ですが、1970年代は多くのSF映画が誕生しました。
息子の部屋のポスターは『スター・ウォーズ』や『恐竜グワンジ』で、部屋にはドラマ『宇宙大作戦』の人形もありました。

トニーはこれらの作品の多くが砂漠や荒野などで撮影されていたことで、「アルゴ」の作戦を思いついたのです。

そのトニーに協力をしたのが、ジョン・チェンバースです。
『猿の惑星』シリーズの特殊メイクでアカデミー賞名誉賞を受賞した彼に、トニーは偽映画の製作をお願いしたのです。

ジョン・チェンバースはドラマ『宇宙大作戦』スポックの耳を作成したことでも有名です。


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彼の協力を得てトニーは偽映画の撮影のためにイランの入ることができ、無事に6人を救出できたのでした。

(ちなみにジョン・チェンバースとともに映画の製作に携わっていたレスターという人物は架空の人物で実在しません。)

6人がアメリカの戻ってきたことはニュースになりましたが、それはカナダの協力のもとということでした。
CIAが関与していたことは伏せられたままです。

当時まだイランのアメリカ大使館には人質が残っていて、CIAが6人の救出に関係していたと分かれば人質の命が危険です。
そのため「アルゴ」作戦は機密扱いとなったのでした。

学びポイント

『アルゴ』を見るとイランとアメリカの対立の始まりを知ることができます。

なぜイラン国民はアメリカに対して怒りを持っていたのか。
それは1953年に起きたクーデターによるものでした。
このクーデターにCIAが関係していたことがアメリカとイランの対立をうむことになってしまったのです。

しかし遡ればイランにある石油をアメリカやイギリスが摂取していたことが始まりなのかもしれません。

複雑な中東情勢ですが、『アルゴ』を見ることでイランとアメリカの多いちる関係を理解できるはずです。