映画『ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜』で学ぶ1960年代のミシシッピの状況

1960年代のミシシッピー州を舞台にした『ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜』。南北戦争で南部側についたミシシッピ州はなんぼの中でも特に人種差別がひどい州でした。ここではこの映画を通して、当時行われていた人種差別の実態を学んでいきたいと思います。

目次

『ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜』作品情報


ヘルプ ~心がつなぐストーリー~ [Blu-ray]

タイトル ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜(The Help)
監督 テイト・テイラー
公開 2012年3月31日
製作国 アメリカ
時間 2時間26分

Rotten Tomatoes

あらすじ

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アメリカ南部、ミシシッピ州ジャクソン。

上流階級に生まれ、黒人メイドに育てられた白人女性スキーター。

作家志望の彼女は大学卒業後、地元の新聞社で家事に関するコラムの代筆を担当することに。

しかし家事に疎い彼女は、友人宅のベテラン黒人メイド、エイビリーンに相談する。

話を聞くうち、彼女たちが置かれた立場に違和感を覚え始める。

そして、黒人メイドたちの証言を集めて本にしようと思い立つ。

ところがエイビリーンは、黒人が真実を口にするようなことがあれば、この町では生きていけなくなると、取材を頑なに拒否するのだが…。

(出典:https://www.allcinema.net/cinema/340956)

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[box class=”red_box” title=”アカデミー賞受賞”]・助演女優賞:オクタビア・スペンサー[/box]

ミシシッピ州

南部の中でも特に人種差別がひどいと言われていたミシシッピ州。
その酷さは『ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜』を見ればすぐに分かります。

この映画の舞台は1960年代ですが、1955年にはミシシッピ州で黒人少年リンチ事件が起こっています。
14歳の少年だったエメット・ティルはシカゴで育っていましたが、夏休みをミシシッピで過ごしました。
シカゴという大都会で育ち南部の差別を知らない彼は、白人女性に対して口笛を吹きました。
子供のちょっとしたいたずらのような行動だったのですが、この事件をきっかけにエメット君は二人の白人によって殺されてしまったのでした。

南北戦争によって奴隷解放が行われ奴隷は解放されましたが、南部では黒人差別は続いていました。

1961年には隣のアラバマ州でフリーダム・ライドのバス爆破事件がおきました。
主人公のスキーターが読んでいたライフ誌に載っていた事件です。

さらに映画の中で描かれているようにミシシッピ州で1963年に公民権運動のリーダー的存在だったメドガー・エヴァースが殺されてしまいました。
メドガーはミシシッピ大学に入学を希望した黒人男性を支援し続け、テラビやラジオで公民権について演説を行なっていた人物です。

しかしこのことが事件に繋がってしまい、彼は命を落としてしまったのです。

このように黒人に対する差別が続き、公民権運動に参加したりすると命を落としてしまう危険もあった1960年代のミシシッピ州。
そんな中でお手伝いさんの証言を本にすることは、作者にとってもお手伝いさんにとっても命がけの出来事だったのです。

ジム・クロウ法

南北戦争で北軍が勝利したことで奴隷解放が起こりますが、南部では黒人が白人と平等になっては困るという考えが残っていました。
「黒人法」という黒人に対する取り締まりは1866年に廃止されますが、南部の州では白人と黒人が平等にならないように「黒人法」を元にしたジム・クロウ法というものを作りました。

ミシシッピ州でもジム・クロウ法を制定します。
それがスキーターの読んでいた「ミシシッピ州 分離法」です。
・黒人男性の病室で白人女性が看護してはいけない
・黒人学校と白人学校で教科書を交換してはならない
・黒人理髪師は白人女性の髪を切ってはならない
・社会的平等を訴える行動を起こしてはいけない

などということがこの分離法に書かれていました。

それ以外にも映画を見ていると、バスの中の黒人専用席や白人専用タクシーなどいろんなところで人種隔離を見ることができます。
さらに映画の中で問題となっていた黒人専用のトイレ。
白人のトイレを黒人が使用してはいけないというとんでもない差別までが起こっていたのがこの時代の現実なのです。

スキーターやエイビリーン達が「お手伝いさん」の現状を本にすることはとても危険なことだったのです。
分離法によって逮捕される可能性もありました。
エイビリーン達お手伝いさん達が最も恐れたいたのは、逮捕されることよりも自分達が危険な目にあってしまうかもしれないということでした。

それでも彼女達が実態を証言したことは、「変えなければ」という強い思いだったのかもしれません。

公民権運動が高まる中、表向きには運動に参加できないくても彼女達のように自分にできることを続けた人たちもきっといたはずです。
そんな彼女達の勇気が、少しずつ世界を変えて行ったのです。

学びポイント

『ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜』を見ると1960年代の南部で起こっていた人種差別の状況を知ることができます。

公民権運動が起こっている中でも続いていた黒人差別。
人種隔離政策の中で必死にいきてきた黒人の様子を学ぶことができました。

物語はフィクションですが、実際に起きた事件も映画の中で描かれています。
この映画を見ると人種差別・人種隔離のひどさを目の当たりにすることになります。

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ヘルプ 上 心がつなぐストーリー (集英社文庫)
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ヘルプ 下 心がつなぐストーリー (集英社文庫)
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