映画『つぐない』から学ぶ1935年と1939年のロンドンとダンケルクの戦い


1人の少女の過ちにより、引き裂かれてしまった二人の男女。それを償う少女の物語が『つぐない』でしたが、舞台は1935年と1939年のロンドンでした。そして引き裂かれた男が向かった先はフランスダンケルク海岸。映画『つぐない』を通して戦争に突入する前後のロンドンと、ダンケルクでの出来事を調べてみます。

『つぐない』作品情報


つぐない [DVD]

タイトル つぐない (Atonement)
監督 ジョー・ライト
公開 2008年4月12日
製作国 イギリス/フランス/アメリカ
時間 2時間03分

Rotten Tomatoes

あらすじ

1935年、夏のイングランド。

政府官僚ジャック・タリスの屋敷では、小説家を夢見る末娘のブライオニーが休暇で帰省する兄とその友人を自作の劇で歓待しようと準備に追われていた。

一方、大学卒業後の身の振り方が定まらず鬱屈した日々の姉セシーリアは、ある出来事をきっかけに使用人の息子ロビーへの愛を自覚する。

ところが、ロビーにほのかな想いを抱いていたブライオニーは、小さな行き違いの積み重ねと嫉妬心から姉とロビーの関係を誤解してしまう。

そんな時、タリス家に預けられていた15歳の従姉妹ローラが敷地内で強姦されるという事件が起きる。

現場を目撃したブライオニーは、ロビーが犯人だと告発、彼は無実を証明することも出来ず警察に連行されていく。

4年後、ロビーは戦場の最前線に一兵卒として送られ、セシーリアはそんなロビーとの再会を信じて、彼への手紙をしたため続けていた…。

(出典:http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=328495)

アカデミー賞受賞
作曲賞

1935年のロンドン

YOKO
物語は1935年のロンドンから始まります。

この時イギリスはまだドイツとの戦いを始めていませんが、ドイツの足音が近づいてきていました。

1933年にドイツの首相になったヒトラー。
独裁政治が始まり、ユダヤ人は迫害を受け始めます。

物語の中でポール・マーシャルは「ヒトラーはこのまま突っ走りそうだ」と言っています。
イギリスがドイツとの戦争を開始するのは1939年なので、まだ4年ありますがヒトラーの脅威が迫っていました。

このシーンでポール・マーシャルは軍事用としてチョコレートを作ると言っていました。
「徴兵が実施されるなら需要がある」と述べています。

イギリスはもともと志願兵制度でしたが、第一次世界大戦中に徴兵を始めて実施しました。
その後、第一次世界大戦が終了後志願兵制度に戻っていました。

『つぐない』の冒頭は1935年なのでまだ志願兵制度ですが、この後1939年第二次世界大戦が始まるとまた徴兵制になりました。

まだまだタリス一家は平和な時間を過ごしている1935年でしたが、その時間ももうすぐ終わってしまうのです。

ダンケルク海岸

ブライオニーの間違えから捕まってしまい刑務所に行くことになってしまったロビー。
彼は刑務所の中で開戦を迎えます。

刑務所に残るか入隊するしかなかったロビーは、入隊を選び彼がフランスの北フランスの戦いに参加しました。
ドイツ軍に追い込まれる中、撤退を始めたイギリス軍。

YOKO
ロビー達がたどり着いたのは30万人のイギリス軍がいるダンケルク海岸でした。

ここで彼らが行うこと。
それはただ待つということだけです。
イギリス軍の船が救出にやってくるのを待つしかなかったのでした。

ダンケルクの兵士を救出するダイナモ作戦は1940年5月28日から始まります。
ダンケルク海岸で船の順番を待つロビーでしたが、6月1日に亡くなってしまいました。

『つぐない』の中ではどれだけ多くの兵士がこの海岸にいたのかが描かれています。
その中でドイツ軍の空爆から逃げながら、彼らは味方の船を待つしかなかったのです。

事実との違い

ダンケルク海岸のシーンで1つだけ、事実と違う描写があります。

海岸についたロビーは海軍から「空襲を受けランカストリア号が沈没し」と聞きます。
しかしこれは事実とは違うのです。

ダンケルクから兵士を救出するダイナモ作戦は1940年5月28日〜1940年6月4日まで続きます。

YOKO
ランカストリア号が空爆で沈没したのはダイナモ作戦の後のフランス軍救出作戦時の1940年6月17日です。

この時系列が『つぐない』の中では事実と違うように描かれていました。

学びポイント

『つぐない』で描かれる1935年〜1940年のイギリス・ロンドンの様子。
戦争前の平和な感じから戦争に突入した後の街の変化を知ることができます。

またロビーがたどり着いたダンケルク海岸の様子をみると、どれだけの兵士がこの海岸にいたのか、またどんな心境でイギリス軍の船を待っていたのかを感じることができます。

戦争によって変わってしまう街や、引き裂かれてしまう人々。
そして母国に帰ることだけを切に願い兵士の思い。

戦争で起こった事実だけでなく当時の人々の気持ちも学ぶことができます。


贖罪 (新潮文庫)