映画『人生はシネマティック!』にみる1940年代のロンドンとプロパガンダ映画の意味

戦意高揚のために作る映画プロパガンダ映画。そのプロパガンダ映画が作られる経緯を描いた『人生はシネマティック!』。この映画を見ていると当時プロパガンダ映画がどんな意味をなしていたかが良くわかります。そして舞台となった1940年のロンドンの様子も知ることができます。

目次

『人生はシネマティック!』作品情報


人生はシネマティック! Blu-ray

タイトル 人生はシネマティック!(Their Finest)
監督 ロネ・シェルフィグ
公開 2017年11月11日
製作国 イギリス
時間 1時間57分

Rotten Tomatoes

あらすじ

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1940年、第二次世界大戦下のロンドン。

ドイツ軍の空爆が続く中、政府は国民を鼓舞するプロパガンダ映画の製作に力を入れていた。

その一方、映画界は度重なる徴兵で人手不足。

ある日、コピーライターの秘書をしていたカトリンが、いきなり新作映画の脚本家に大抜擢される。

内容はダンケルクの撤退作戦でイギリス兵の救出に尽力した双子の姉妹の活躍を描く物語。

戸惑いつつも、自分をスカウトした情報省映画局の特別顧問バックリーらと協力して初めての脚本執筆に挑むカトリン。

しかしそんな彼女の前には、無理難題を押し付ける政府側のプレッシャーや、わがまま放題のベテラン役者など、いくつもの困難が待ち受けていたのだったが…。

(出典:http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=361690)

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プロパガンダ映画

[voice icon=”https://movielife45.com/wp-content/uploads/2019/10/o0276042011380678431-e1571069366787.jpg” name=”YOKO” type=”l”]政治的目的のために作られるプロパガンダ映画。特に戦時中は国民の戦意高揚を目的として作られていました。[/voice]

1940年のロンドンでも市民の戦意高揚のためにプロパガンダ映画が作られようとしていました。
ドイツ軍に押されてヨーロッパが崩壊寸前で、ロンドンでも空襲の日々が続きます。
そんな中国民にイギリス軍・連合軍の勝利を思わせる映画が必要だったのです。

そのターゲットとなったのがダンケルクからの兵士の救出でした。
映画の中では描かれていませんが、「ダンケルクの武勇伝」としてニュースにもなるほどの扱いを受けていたのがダンケルクの救出劇でした。

普通の市民がそして女性が兵士を救ったということで、国民に感動を与えようとしていたのです。

そしてこれはイギリス市民だけのものではありませんでした。
軍事的関与をしないとしているアメリカに対して向けた映画でもあったのです。
アメリカ市民にイギリスの事情を知らせるための作品にもしようとしていました。
そのためにダンケルクからの救出なのに、アメリカ人を使用することでアメリカ人に戦争に参戦すべきだと伝えようとすることになりました。

普通の市民が兵士になりヒーローとなることうを描くことで、戦争に対する意識を強めようとしていたのです。

1940年のロンドン

空襲

[voice icon=”https://movielife45.com/wp-content/uploads/2019/10/o0276042011380678431-e1571069366787.jpg” name=”YOKO” type=”l”]1940年9月7日からロンドンでは大規模な空襲が続きました。[/voice]

イギリスの他の都市もドイツ軍による空襲を受けていましたが、ロンドンはこの日から激しい空襲が始まり57日間の連続攻撃を受けることもありました。

その間ロンドン市民は『人生はシネマティック!』でも描かれているように、地下鉄に潜り空襲をしのいでいました。
電車が動いている時もあり、電車を利用るす人と避難する人でロンドンの地下鉄はごった返していました。

ドイツ軍の狙いはこの空襲でイギリス人の士気を下げることでした。
だからこそこの時に作られたプロパガンダ映画には大きな意味が持たされていたのです。

女性の地位

『人生はシネマティック!』を見ているとこの当時のイギリスでの女性の地位の低さがよく分かります。

なかなか女性には仕事がないようですが、戦争に若い男性が徴兵されることで女性にも仕事が回ってきているようにも感じ取れました。

そんな中脚本家になったカトリン。
[voice icon=”https://movielife45.com/wp-content/uploads/2019/10/o0276042011380678431-e1571069366787.jpg” name=”YOKO” type=”l”]男性は週給3ポンド10に対して女性であるカトリンは2ポンドと提示されます。[/voice]

さらにダンケルクの映画の話が決まると、カトリンは脚本を書くことになりますがクレジットはなしと言われます。
どうやら当時の女性脚本家は女性のセリフを考えるために雇われていたようでした。

これを見ただけでも当時の働く女性の地位が低かったことがわかります。

映画俳優

双子の元に取材に行ったカトリン。
そこで双子に有名な俳優にあったことがあるかと言われます。

『三十九夜』のロバート・ドーナット

三十九夜 [DVD]

ロバート・ドットは英国紳士役で人気となり、1939年にはアカデミー賞主演男優賞を受賞しています。
1940年が舞台の『人生はシネマティック!』の女性にとってロバート・ドットは憧れの俳優でした。

次に名前が挙がったのが、『四枚の羽根』のジョン・クレメンツ

四枚の羽根 [DVD]

この映画は1939年に公開された映画で、砂漠での戦闘シーンは、映画の歴史の中でも記憶に残る名シーンの1つとされています。

次にアメリカ人にも見せるために、ハリウッドスターを出演させたいとなった時に名前が挙がったのが、ケーリー・グラントエロール・フリン
イギリスと関係ある俳優として名前の上がった二人ですが、ケーリー・グラントはイギリス生まれの俳優で、エロール・フランは1930年代にイギリスの舞台にたった経験がありました。

もちろん彼はスケジュール的にも出演できないので、英国軍に入隊したアメリカ人を使用することになったのでした。

 

『人生はシネマティック!』では1940年のリアルなロンドンの文化や生活習慣がわかります。
戦時中に彼らがどんな生活を送っていたのか、そしてどういうう映画が人気だったのかなど普通の市民の暮らしを知ることができます。

学びポイント

『人生はシネマティック!』を見るとプロパンダ映画が、当時どういう目的で作られたのかがわかります。

そしてこの映画を見た国民の感想なども最後に描かれていました。

それと同時にこの映画では1940年代のロンドンの状況をすることができます。

空襲が続く中の彼らの暮らしや、当時に文化などに触れることができるのが『人生はシネマティック!』です。


Their Finest Hour and a Half: Now a major film starring Gemma Arterton and Bill Nighy

 

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