映画『ファーゴ』内容と解説 この映画にはとんでもない嘘が隠されている


ノースダコタ州とミネソタ州の田舎町で起こり連続殺人事件。事件の内容はバイオレンスで残虐的なのに、田舎町に暮らす住民達があまりにもおっとりし過ぎてて、そのギャップに思わず笑ってしまう『ファーゴ』。しかしこの映画には大変な嘘が隠されていたのでした。

『ファーゴ』作品情報

タイトル ファーゴ(Fargo)
監督 ジョエル・コーエン
公開 1996年11月9日
製作国 アメリカ
時間 1時間38分

Rotten Tomatoes

『ファーゴ』あらすじ


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ミネソタ州ミネアポリスに住むカー・ディーラーのジェリー・ランディガードは借金返済のために自分の妻ジーンを誘拐し、会社のオーナーでもある義父から身代金をいただこうと考えた。

誘拐を実行するのは、前科者の従業員から紹介された妙な二人組、カールとグリムスラッド。

だがジーンを自宅から誘拐した二人は、隣町ブレイナードまで逃げたところで、停車を命じた警官と目撃者を射殺してしまう。

ブレイナードの女性警察署長マージ・ガンダーソンは事件を追ってミネアポリスに赴くが、その間にも狂い始めた誘拐計画は次々と犠牲者を産んでいく……。

(出典:http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=51452)


冒頭に隠された大きな嘘

出典:IMDb

『ファーゴ』の映画の冒頭。

「これは実話の映画化である。
実際の事件は1987年ミネソタ州で起こった。

生存者の希望で人名は変えてあるが、
死者への敬意を込めて事件のその他の部分は忠実な映画化を行なっている。」

と表記されます。

これが実話なんだと思って映画をみると、とんでもない事件が起きたんなだなと思います。
そして田舎町に暮らす人のおっとりした空気と、事件に関わった人物たちがどこか抜けているのを感じて、だからこそ事件の残虐性を強く感じてしまう映画でした。

バイオレンス要素とゆうたりした空気のギャップが、コーエン兄弟らしい作品だなと思うのですが、この映画全てが嘘なのです。

冒頭に示される「この映画は実話です」というのが嘘だったのです。
ミネソタ州ではこのような事件は起きていなかったのです。
これはコーエン兄弟が考えた、フィクションの映画だったのです。

嘘だと分かってみると、「そうだよね。こなことあり得ないよね。」と思うのですが、最初に「これは実話です」と言われているので、映画への見方が変わってしまっていたのです。

まんまとコーエン兄弟にしてやられた作品が「ファーゴ」です。
私たちが実話と言われて見るのと、フィクションだと分かって映画を見るのでは、映画の見方も変わってしまうということを実感させられる映画でもあります。

ただし、映画の中でこれがフィクションですとは示されていません。
もしかするとこれは実話なのだと思っている人もいるかもしれない、危険な作品でもあるのです。

アカデミー賞主演女優賞

出典:IMDb

『ファーゴ』の中で起きる偽装誘拐事件。
さらにその逃亡中に起きてしまう連続殺人事件。
描かれている事件はとても残虐的なものです。

真っ白な雪で覆われた街の中に、赤い血の印象が痛烈に残ります。
そしてその真っ赤な血がもの事件の恐怖を物語っています。

しかし映画自体にはその恐怖はありません。
それは出てくる登場人物全員が、とにかくゆったりしているのです。
偽装誘拐事件を考えたジェリーとその犯人のうちの1人の男以外は、みんなおっとりした時間軸で生活しているのです。

それが田舎の町のせいなのかはわかりませんが、とにかくゆっくりした時間が流れます。
そしてそれを最も印象付けるのが主役のマージです。
妊娠しながらも事件の捜査に当たる警察官。
独特の雰囲気を醸し出していますが、彼女は的確に事件の真相にたどり着いて行くのです。
全く無駄な要素はありませんでした。

彼女の空気感と捜査の的確さのギャップもまた彼女の魅力の1つです。

独特なマージを演じたのはフランシス・マクドーマンドです。
彼女はこの演技でアカデミー賞主演女優賞を受賞しました。

ゆっくりとした動作と穏やかな顔や言葉のマージが持ち合わせている頭脳明晰さ。
それを見事に演じてフランシス・マクドーマンドは主演女優賞に輝きました。

感想

「この映画の事件は無かったんだ」と思うとなんだか落ち着く映画が『ファーゴ』ですが、映画公開後しばらくし発表されました。

しばらくはみんな事実だと思っていたのです。
さらに知らない人は今でも事実だと思っているかもしれませんし、これからこの映画を見る人も実話だと思ってしまうかもしれません。

いろんな意味でたくさんの影響を残すことになった『ファーゴ』。
それはこの作品に関連した映画やドラマ、ドキュメンタいrーが作られていることでもわかります。

この手法がいいのか悪いのかは個人の判断によりますが、少なくとも実話だと思ってみるのとフィクションだと思って見るのでは大きく印象が変わる映画だと思いました。