映画『万引き家族』内容と感想 これが今の日本の現実 本当の家族よりも絆で結ばれた家族の姿

貧しい一軒の家で暮らす家族。彼らは血のつながりのない偽物家族でしたが、本当の家族よりも絆で結ばれていました。社会からはみ出してしまった人達のギリギリの生活。彼らの生活はフィクションではなく、私たちの住む日本で実際に起きていることなのです。

目次

『万引き家族』作品情報

タイトル 万引き家族
監督 是枝裕和
公開 2018年6月8日
製作国 日本
時間 2時間1分

Rotten Tomatoes

『万引き家族』あらすじ


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東京の下町。

高層マンションの谷間に取り残されたように建つ古い平屋に、家主である初枝の年金を目当てに、治と信代の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀が暮らしていた。

彼らは初枝の年金では足りない生活費を万引きで稼ぐという、社会の底辺にいるような一家だったが、いつも笑いが絶えない日々を送っている。

そんなある冬の日、近所の団地の廊下で震えていた幼い女の子を見かねた治が家に連れ帰り、信代が娘として育てることに。

そして、ある事件をきっかけに仲の良かった家族はバラバラになっていき、それぞれが抱える秘密や願いが明らかになっていく。

(出典:https://eiga.com/movie/88449/)

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社会からはじき出された人達

貧しい一軒の家で暮らす1つの家族。
でも彼らは全くの赤の他人です。

それぞれが仕事をしたり年金をもらいながら生活をしていましたが、それでも家計は苦しく万引きをしながらなんとか生活を送っています。

家族は6人。
彼らは決して正しいことをしているとは言えませんが、社会からはみ出してしまった彼らが生きていくにはこの生活しかなかったのかもしれません。

年金暮らしのおばあちゃん。
1人で暮らしていて元旦那さんは愛人を作り離婚していました。
寂しく1人で暮らす老人だったのです。

そこに紛れ込んだのが日雇いの建設現場で働く治とクリーニング屋で働く信代でした。
彼らはおばあちゃんの年金を目当てに転がり込みましたが、彼らはそのままおばあちゃんの家で暮らすようになったのです。

日雇いの治は怪我をしてしまいますが労災は出ません。
信代は賃金が払えなということでクビになってしまいます。

働こうとしていても彼らは仕事をすることすらできない状況だったのです。

おばあちゃんの離婚した夫の子供の娘亜紀。
彼女は妹を愛する両親が嫌で家出をしておばあちゃんの家に転がり込んでいました。

祥太は幼い頃パチンコ店の車の中に置かれていたのを治が助けて一緒に暮らし始めました。
治は親から虐待を受けていたりんも助けます。

彼らは6人とも社会のどん底で暮らしていたのです。
家族になりすましていた6人ですが、彼らはそのどん底で手を取り合って幸せに暮らしていたのです。

捨てる罪と拾う罪

彼らは犯罪が見つかり、結局捕まってしまいます。
確かに彼らは犯罪者です。

子供を誘拐しおばあちゃんを騙したとされてしまいます。
しかし信代は「捨てたんじゃなくて拾ったんです」と言います。

誰かが捨てたものを拾ったのが罪であれば、捨てた人も罪なのではないか?
信代はそんなことを訴えていました。

夫に捨てられ寂しく暮らすおばあちゃん。
親に捨てたれた亜紀と祥太とりん。

治と信代はそんな1人で生きていた人達を拾って家族を作ったのです。
亜紀と祥太とりんはきっと本当の家族と暮らすよりも、この偽物の家族と暮らしていた方が幸せだったはずです。

彼らは自分でこの家に残ることを選んだのです。
たとえ血が繋がっていなくても、貧しくても助け合って仲良く寄り添い生きる生活が幸せだったのです。

治と信代がやったことは法律的には犯罪です。
しかし治と信代だけが本当に悪いのか?
社会の底辺で起きている現実を私たちに問いかけている作品が『万引き家族』なのです。

感想

日本の現実を視聴者に痛烈に突きつける『万引き家族』。

これはフィクションではなくて、現実に日本の社会で起きていることなのです。

1人寂しく暮らす老人。
親に捨てられたり、虐待される子供。
働いていても貧しい現実。
社会に保障してもらえない人達。

そんな彼らが犯した犯罪は本当に彼らが悪いという判断だけでいいのかという是枝監督からの私たち社会への問いかけです。

生活は苦しくきついはずなのに6人で楽しき幸せそうに暮らしている姿は強烈に心に残ります。
偽物の家族であっても彼らが見せてくれた笑顔は本物の笑顔です。

だからこそ見終わると余計に辛く心が痛くなる作品です。
でも目を背けてはいけない現実が描かれています。

自分たちの世の中に起きていることときちんと向き合うためにも、今の日本人が見なくてはいけない作品それが『万引き家族』です。


万引き家族【映画小説化作品】

 

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