映画『未来のミライ』内容と感想 些細なことの重なりが家族の繋がりを作る

妹ミライちゃんができたことで家族の中心ではなくなってしまたくんちゃん。ミライちゃんの存在を認めることができないくんちゃんは、ある日未来からやってきたミライちゃんと出会います。彼女との出会いをきっかけにくんちゃんは家族の繋がりを体験していくのでした。

目次

『未来のミライ』作品情報

タイトル 未来のミライ
監督 細田守
公開 2018年7月20日
製作国 日本
時間 1時間38分

Rotten Tomatoes

『未来のミライ』あらすじ


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とある都会の片隅の、小さな庭に小さな木の生えた小さな家。

ある日、甘えん坊の“くんちゃん”に、生まれたばかりの妹がやってきます。
両親の愛情を奪われ、初めての経験の連続に戸惑うばかり。
そんな時、“くんちゃん”はその庭で自分のことを「お兄ちゃん」と呼ぶ、
不思議な少女“ミライちゃん”と出会います。

“ミライちゃん”に導かれ、時をこえた家族の物語へと旅立つ“くんちゃん”。
それは、小さなお兄ちゃんの大きな冒険の始まりでした。

待ち受ける見たこともない世界。
むかし王子だったと名乗る謎の男。
幼い頃の母との不思議な体験。
父の面影を宿す青年との出会い。

そして、初めて知る「家族の愛」の形。

さまざまな冒険を経て、ささやかな成長を遂げていく“くんちゃん”。
果たして、“くんちゃん”が最後にたどり着いた場所とは?
“ミライちゃん”がやってきた本当の理由とは―

それは過去から未来へつながる、家族と命の物語。

(出典:http://mirai-no-mirai.jp/story/index.html)

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自分は「今」だけで存在しているのではない

お父さんとお母さんに愛されて育っているくんちゃん。
今までは家族の中心は自分でしたが、妹ミライちゃんができたことでその位置を奪われてしまいます。

じいじとばあばさえもミライちゃんに夢中です。
自分の居場所がなくなり、存在さえも失ってしまったように感じるくんちゃん。
そんなくんちゃんはある日、未来からやってきたミライちゃんにあったのでした。

弟や妹ができたら一度は経験する子供時代の苦い体験。
下の子ばかりに構ってしまう両親に寂しさを感じ、両親を奪ってしまった下の子を可愛がることができないというのは、弟や妹がいる人であれば共感できる感情です。
なんだか突然突き放されたような気がして、状況にうまく対応できないのです。

そんな子供なら誰もが経験する状況の時、くんちゃんが出会ったのは未来のミライちゃんでした。
彼女と出会った日から、自分の家族の繋がりを経験するくんちゃん。
子供の頃のお母さんに出会ったり、若い頃のひいおじいちゃんに会ったりと不思議な経験をします。
そしてその経験を通してくんちゃんは、色んなことを学ぶのです。

現在目の前に見えることだけからではなく、自分を作ってくれた家族からくんちゃんはたくさんのことを教えてもらったのです。

自分の祖先たちが経験してきた色んなことが積み重なって、今の自分が作られていることを知らぬ間に感じているくんちゃん。
きっと過去の先祖の体験や思いはDNAとして今の私たちに組み込まれています。
そしてそんな過去の家族たちがいるからこそ、今の私たちが存在しているのです。

家族の繋がり

自分よりもミライちゃんの方が大切だと思ってしまったくんちゃんは、家出しようとします。
と言っても、家の上の階に逃げ込むのですがその時、くんちゃんは時空を超えた世界に迷い込みます。

今までは過去に行っていたくんちゃんでしたが、今度の世界は未来です。
未来の世界でくんちゃんは完全に迷子になってしまいます。
自分を失ってしまったくんちゃんは孤独な世界に引き込まれそうになります。

そんなくんちゃんを助けてくれたのは、未来のミライちゃんでした。
なぜ彼女がくんちゃんを助けにきてくれたのか?
それはくんちゃんがミライちゃんを妹と認めたからでした。
自分が家族の一員であることに気がついたからでした。

寂しいことがあっても辛いことがあってもどんなことがあってもみんな家族の一員なのです。
それを捨ててしまったら行き着く場所は孤独しかないのです。
もうちょっとで孤独の世界に行ってしまいそうだったくんちゃんを助けてくれたのも家族でした。
どんなことがあっても助けてくれるのも家族なのです

4歳の男の子くんちゃんが体験した不思議な世界。
4歳の男の子の視点を通しながら、家族の普遍さを私たちに見せてくれていました。

家族だからこそ嫌な経験もいろいろあるけど、それでも家族は家族でつながっていてだからこそどんなことがあっても家族を見捨てたりしないのです。

本来の家族はそういうものだということを子供の視点から大人へ伝えていたのが、『未来のミライ』だと感じました。

感想

何一つ不自由のない世界で生活しているくんちゃん。
そのくんちゃんが初めて経験した辛い出来事が、ミライちゃんに家族を奪われることだったのかもしれません。

些細なことかもしれないけど、その些細なことが子供にとっては大事件なのです。
そしてまたそんな些細なことの積み重ねが家族を作り上げているのです。

家族というもののあり方が変わってきている現代、そして家族の中でさえ不幸な事件が多い現代。
そんな現代を生きる私たちへ、家族の繋がり・血のつながりを改めて見せてくれたのが細田守監督です。
過去の作品でも血のつながりを描いてきた監督だからこそ描けた作品が『未来のミライ』のような気もします。

家族の形はそれぞれ違うし、くんちゃんのように恵まれた環境にいないかもしれないけど、家族というものはみんな同じなのです。
祖先からのつながりが今の自分自身を作り、そして未来の家族に繋がっていくのです。

何気ない日常から家族の大切さを思い出させてくれる、『未来のミライ』はそんな作品だったように感じました。

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