映画『日の名残り』内容と解説 人生の夕暮れ時に初めて自分の人生を振り返った男の物語


執事として誇りを持ち生きてきた1人の男。執事という仕事に全てをかけた男は恋愛さえも封印し、執事を全うしようとしまう。その仕事へのプライドは時として、世界さえも間違った道へ進めてしまうのでした。

『日の名残り』作品情報

タイトル 日の名残り(The Remains of the Day)
監督 ジェームズ・アイヴォリー
公開 1994年3月19日
製作国 イギリス/アメリカ
時間 2時間14分

Rotten Tomatoes

『日の名残り』あらすじ


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1958年、英国の名門ダーリントン館の老執事スティーブンスは、かつてともに働いたメイド頭のミス・ケントンを訪ねる旅にでる。

互いに好意を抱きながらも、職務に忠実なあまり、自分の思いを伝えられなかったスティーブンスの脳裏に、過去の日々が去来する…。

(出典:https://www.nhk.or.jp/bscinema/calendar.html)


執事に人生をかけた男

出典:IMDb

ダーリントン・ホールでダーリントン卿に使えるスティーブンス。
執事として誇りを持っていて、それはダーリントン卿も認めています。
彼のおかげで全てがうまく回っているのでした。

そんな執事として生きがいを持つスティーブンスは執事であることが彼の人生なのです。
彼の父親もまた執事であり、「執事としての品格が重要である」というのがこの親子の考えでした。

その品格を守るためにスティーブンスが守り通したことは

・恋愛をしない
・主人には意見しない

この2つを徹底的に貫いたスティーブンス。
父の死の時も仕事を貫き、またお互いに想いを寄せる相手がいても遠ざけてしまいます。
さらに最後までダーリントン卿に意見しなかったことで、彼の人生さえも狂わせてしまったのでした。

自分の過ちを取り返す旅

出典:IMDb

以前ダーリントン・ホールで働いていたミス・ケントンから手紙をもらい彼女を訪ねることにしたスティーブンス。
ミス・ケントこそが彼が想いを寄せた女性であり、彼女もまたスティーブンスに想いを寄せていました。

彼女は別の男性と結婚しダーリントン・ホールを去りましたが、彼女からの手紙を読みスティーブンスは彼女と一緒に働いた当時を思い出していました。
そして自分が犯したミスを取り戻すために、もう一度彼女に会おうと決めました。

すでにいい年齢になっていたスティーブンスでしたが、彼はイギリスをほとんど旅したこともありませんでした。
なぜなら執事に全てを費やしダーリントン・ホールで過ごす時間がほとんどだったからです。

彼女もまたもう一度ダーリントン・ホールで働きたいという思いから、スティーブンスに手紙を書いていましたが、運命は彼らを引き離します。
孫ができたことを知ったケントは、ダーリントン・ホールで働けないとスティーブンスに告げたのです。

今度こそチャンスを手に入れることができそうだったスティーブンスでしたが、時はすでに遅かったのです。
今まで一度も自分の意思で行動しなかったスティーブンス。
そのことで何度もチャンスを逃していました。
ラストチャンスに賭け行動を起こしましたが、うまくいかなかったのです。

彼は自分のミスを取り返そうと旅に出ましたが、ミスを取り返すことはできませんでした。

夕暮れが1日で1番いい時間

出典:IMDb

ダーリントン・ホールにスティーブンスが帰る前、ケントは「夕暮れが1日で1番いい時間。みんなそれを楽しみに待っている」と伝えます。

その言葉を聞いて「なるほど」と気がついたスティーブンス。
これまでの人生は執事に生きがいをかけてきて、自分の楽しみを持たなかったスティーブンス。
気がつけば自分の人生も夕暮れ時になっていました。
だからこそ、人生の終わりの時期を1番いい時期にするために、少しだけ生き方を変えてみようと思ったのでした

そしてその自分の人生の夕暮れ時を楽しみに待つことにしたのです。

ケントとは結ばれなかったスティーブンスですが、残りの人生はきっと自分自身のために生きるはずです。
そして1番輝いている時間を過ごすことでしょう。

まとめ

執事として生きることを人生の誇りとしていきた男スティーブンス。

執事としての品格が1番で、自分の人生は二の次でした。

それはケントとの恋愛もそうですし、ナチスに啓蒙していくダーリントン卿を止められなかったこともそうでした。

生き方を変えることに気がついたスティーブンスはダーリントン・ホールに戻って行きますが、今度の主人ルイスとは新たな関係を築き上げるはずです。

そして二度と同じ過ちは繰り返さないでしょう。

スティーブンスの新たな想いが、ラストシーンの屋敷から飛び立つ鳥に込められていたように感じました。


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