映画『アラバマ物語』あらすじと感想 原題の「ツグミを殺す事」の意味とは?

1930年代アラバマ州で起きていた人種差別問題を描いた作品『アラバマ物語』。子供の目を通して描かれた人種差別に対する問題。それは原題の「ツグミを殺す事」の意味でもあります。無害な鳥を殺すことは罪なことのはずなのに、その夏子供が見たものは恐ろしい現実でした。

目次

『アラバマ物語』作品情報

タイトル アラバマ物語(To Kill a Mockingbird)
監督 ロバート・マリガン
公開 1963年6月22日
製作国 アメリカ
時間 2時間09分

Rotten Tomatoes

『アラバマ物語』あらすじ


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不況の風吹く1932年、南部のアラバマ州。

幼い息子と娘を抱える弁護士フィンチに、暴行事件で訴えられた黒人トムの弁護の任が下る。

だが偏見根強い町の人々は黒人側に付いたフィンチに冷たく当たるのだった……。

(出典:http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=1373)

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「ツグミを殺すこと」は罪なこと

出典:IMDb

息子のジェムが銃を欲しがった時に、自分が父親から銃をもらったときのことを話すアティカス。
彼は
「銃をもらってそのうち鳥を撃てるようになるだろうと思っていた。
そして狙えるようにもなった。
でもツグミを狙うことは罪なことだ」
と説明しました。

娘のスカウトが「なぜ?」と聞くと
人間にとって無害だからだ。」と答えました。

無害なものを殺すことは悪いことと父親に教わったジェムとスカウト。
しかしこの夏父が抱えていた裁判で見たものは、父に教えてもらったこととは全く反対のものでした。

人種差別の荒波

出典:IMDb

1930年代のアメリカ南部アラバマ州。
南北戦争は1865年に終結し奴隷は解放されましたが、それから65年以上経っても黒人への差別は続いていました。

冤罪で捕まってしまった黒人のトム。
アティカスはトムの弁護を担当します。
トムの弁護士になったことで父アティカスが脅しを受けているのを目の前でみる子供達。

裁判の状況も見守る子供達でしたが、その裁判で見た状況は子供達にとっては悲しいものでした。

アティカスはトムが無罪であることを証明します。
そして明らかに冤罪であることを説明しますが、陪審員は全員白人です。
彼らの出して評決はトムの有罪でした。

この判決に肩を落とす子供達。
さらにトムは刑務所から脱走しようとして走った時に、射殺されてしまいました。

無害なものを殺すことは悪いこととと教わったのに、大人がやっていることはとても残酷なことでした。

子供の目を通して映し出される人種差別の状況は、とても恐怖であり恐ろしくもあります。
純粋な子供だからこそ、よりリアルにその恐怖が伝わってきます。
判決が出るまでのドキドキ感。
そして判決が出たときのショック。

なんとも言えない切なさとやり切れなさが、胸にのしかかってきます。

スカウトが守ったブーとの関係

出典:IMDb

ジェムとスカウトとの隣の家に住んでいたブー。
彼はとても危険な人だから近づいてはいけないと言われていました。

ダメだと言われれば気になるのが子供です。
夏休みにがブーの家に忍び込もうとしたりして、子供にとっては気になる存在のブーでした。

トムの裁判などがありブーのことを忘れかけていた頃、ジェムとスカウトは家への帰り道に襲われてしまいます。
それを助けてくれたのはブーでした。

スカウトは「何も見ていない」と言いま下が、実は彼女はブーが襲ってきた男に何を「していたのかを一部始終見ていました。
しかしスカウトはブーを守ります。
それは「ツグミを殺す子ことは罪なこと」を実践したからです。

ブーは確かに危険だと言われていましたが、実は少しおかしいだけで危険ではなかったのです。
危険どころか自分たちを守ってくれたのがブーでした。
スカウトはブーを守るために「見ていない」と答えたのでした。

トムの裁判で理不尽な現実を経験したスカウトでしたが、ブーのために自分は父の教えを実践したのでした。

まとめ

子供の目を通して描かれる人種差別や大人たちの行動。

教えられることと現実は違っていてショックを受け悲しむスカウトでしたが、それでも自分自身は父の教えを守り通すのです。

子供視点だからこそ、裁判などの描写がとても怖く感じます。

そしてまた当時の差別の理不尽さを痛感してしまいます。

 

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