映画『愛がなんだ』あらすじと感想 愛を超えた先にあった執着の本当の意味は?

好きな男性に振り回される女性テルちゃん。彼の恋人になりたいと思っていたテルちゃんですが、彼は全く振り向いてくれません。彼といたくて自分を捨ててまで彼に尽くし続けるテルちゃん。気がつくとその思いは愛ではなく、執着だったのです。

目次

『愛がなんだ』作品情報

タイトル 愛がなんだ
監督 今泉力哉
公開 2019年4月19日
製作国 日本
時間 2時間03分

『愛がなんだ』あらすじ

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猫背でひょろひょろのマモちゃんに出会い、恋に落ちた。

その時から、テルコの世界はマモちゃん一色に染まり始める。

会社の電話はとらないのに、マモちゃんからの着信には秒速で対応、呼び出されると残業もせずにさっさと退社。

友達の助言も聞き流し、どこにいようと電話一本で駆け付け(あくまでさりげなく)、平日デートに誘われれば余裕で会社をぶっちぎり、クビ寸前。

大好きだし、超幸せ。マモちゃん優しいし。

だけど。マモちゃんは、テルコのことが好きじゃない・・・。

(出典http://aigananda.com)

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マモちゃんに尽くすテルちゃん

https://twitter.com/ai_ga_nanda/status/1118378887615000577

テル子は結婚式で出会ったマモちゃんに恋します。
そこからテル子の人生は180度変わってしまいます。

マモちゃんからの連絡を待ち続け、呼び出しがあったらどこにいても出かけます。
しかも待っていたというそぶりは見ぜずに、あくまで自然に。
マモちゃんに尽くし続けるテルちゃん。
ついには会社をクビになってしまいます。
でも全く気にしないテルちゃん。
なぜならマモちゃんとの未来を夢見ていたからでした。

会社をクビになってもマモちゃんがいてくれれば、テルちゃんは幸せなのです。
ただ、残念なことにマモちゃんはテルちゃんのことが好きではありません。
自分に優しくしてくれるテルちゃんに甘えているだけでした。

こんなにも尽くしているのに、マモちゃんの恋人になれないテルちゃん。
マモちゃんからの連絡を待ち続け、日々を送るだけでした。

テルちゃんを見ていると切なくて心が痛くなってしまいます。
「そこまでしなくても・・・」と友達と同じように感じます。
さらにマモちゃんに怒りを感じてしまいますが、テルちゃんが幸せそうだからいいのかなとも思ってしまいます。

周りがどんなことを言ってもマモちゃんを諦めないテルちゃん。
マモちゃんを追いかけることが彼女の生き甲斐にもなっているように見えました

愛から執着へ

マモちゃんのためならなんでもしてあげるテルちゃん。
彼女はマモちゃんの笑顔が見たくて、マモちゃんに喜んで欲しくて必死です。
もはや自分がなくなっている状態でした。

そんな自分に気がついているテルちゃん。
恋でも愛でもなく、マモちゃんへの執着はなんだろう?」と思っています。
そんな疑問を持ちながらもマモちゃんといることを望みます。
マモちゃんに会いたくて仕方ないのです。

テルちゃんのマモちゃんへの執着。
テルちゃんはマモちゃんがいないと生きていくことができないです。

友人が「落ち込んでい殺しないことがテルちゃんのいいところ」と言うと、「死んだらマモちゃんに会えないじゃん」とテルちゃんは返します。
テルちゃんが生きている意味はマモちゃんに会うことだったのです。

マモちゃんに好きになってもらうことよりも、マモちゃんに会えることに幸せを感じているのです。
それが彼女の生きる原動力でした。
そのためになら「マモちゃんが好き」という気持ちさえ偽って、マモちゃんに会い続けるのです。

テルちゃんの執着「マモちゃんに会うこと」=テルちゃんの生きる意味
『愛がなんだ』のテルちゃんを見ているとそう感じました。

マモちゃんになりたいテルちゃん

最終的にテルちゃんはマモちゃんになることを望みます。
「彼になりたい」と思うテルちゃん。

だから「会社辞めたら像の飼育員になる」と言ったマモちゃんの言葉の通り、テルちゃんは像の飼育員になりました。

それで少しだけテルちゃんはマモちゃんになれたのでした。
彼女はきっとこの時幸せを感じたと思います。
これから先もマモちゃんを追いかけ続けるかもしれませんが、マモちゃんになれたことで彼女は少しだけ達成感を感じたでしょう。

人から見たら理解できない信じられないことですが、テルちゃんにとってはそれが幸せな人生なのです

テルちゃんはマモちゃんに執着しましたが、誰でも何かに夢中になることはあるはずです。
そしてそれは他の人には理解できないことでも、自己満足でしかないことでも自分にとっては幸せなのです。

テルちゃんにとって、マモちゃんは生きる意味そのものだったと感じました。

まとめ

テルちゃんのマモちゃんへの思いを見ていると切なくて苦しくなってしまいますが、マモちゃんと一緒にいるテルちゃんは幸せそうでした。

『愛がなんだ』は愛を超えてその先にある自我を描いているようにも思えます。

マモちゃんに「好きではない」と言われても、マモちゃんを思い続けるテルちゃんの気持ちはもはや自我でしかありません。

私たちには自我があり、自我がないと生きている幸せを感じることができないのかもしれません。

そんな深い意味を感じてしまうのが、『愛がなんだ』でした。


愛がなんだ (角川文庫)

 

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