フランシス・フォード・コッポラ監督が手がけたミュージカルは、ジャズミュージカルでバイオレンス要素は全くないラブロマンスになっていました。すれ違う男女の気持ちをジャズのメロディーが表現します。
『ワン・フロム・ザ・ハート』作品情報
タイトル | ワン・フロム・ザ・ハート(One from the Heart) |
監督 | フランシス・フォード・コッポラ |
公開 | 1982年8月14日 |
製作国 | アメリカ |
時間 | 1時間47分 |
Rotten Tomatoes
『ワン・フロム・ザ・ハート』あらすじ
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7月4日の独立記念日を明日に控えた、ラスベガスの街。
ツーリスト・ビューローに勤めるフラニーの夢は南洋のボラボラ島へ行くこと。
そして同棲生活5年目を迎える恋人ハンクはそんな島へ行く事よりも彼女との平凡な家庭生活を密かに望んでいた。
そしてそのような性格不一致の二人はささいな事からケンカ、フラニーは遂に家を出ていってしまう……。
(出典:http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=26278)
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コッポラ監督の作るミュージカル
ワン・フロム・ザ・ハート(エクスパンディッド・ヴァージョン)
フランシス・フォード・コッポラ監督といえば『ゴッドファーザー』シリーズや『地獄の黙示録』を思い出す人が多いでしょう。
バイオレンス映画のイメージの強いコッポラ監督でしたが、『地獄の黙示録』の次に手がけた作品はジャズミュージカル『ワン・フロム・ザ・ハート』でした。
バイオレンス要素は全くなく、すれ違う男女の気持ちをジャズで表現したラブストーリーです。
ミュージカル的要素で男女の気持ちを歌で表現してはいますが、歌うのは出演している人たちではありません。
出演者は音楽に合わせてその気持ちを演技で表現しています。
付き合いが長くなりすれ違う男女の切なさやもどかしさが、ジャズのメロディと重なりよりグレーな感じで表現されています。
夢見る世界が全く違う男女ですが、離れて初めて相手の大切さに気がついたのでした。
それでも新たな場所に行こうとする女性フラニー。
フラニーを追いかけるハンク。
フラニーを追いかけた空港でハンクが歌う「“You Are My Sunshine”」がとても切なく聞こえてしまいます。
ここだけは本人がそのまま歌っています。
恋に破れ一人家で涙を流すハンク。
最初の頃の横暴さは全くなく、フラニーを心から愛する男性になっていました。
『ワン・フロム・ザ・ハート』の評価
コッポラ監督の『ワン・フロム・ザ・ハート』は実はかなり厳しい評価となりました。
2600万ドルの製作費にもかかわらず、北米での興行収入は約63万ドルどまりでした。
さらに公開も1週間で打ち切りとなってしまいました。
大失敗となってしまったこの作品によってコッポラ監督は自分の撮影スタジオ「ゾーイトロープ・ロス・スタジオ」を売ることになってしまいます。
しかし作品的には失敗だったかもしれませんが音楽に関しての評価は高く、トム・ウェイツの手がけた音楽はアカデミー賞のアカデミー編曲・歌曲賞にノミネートされました。
まとめ
全編に渡りジャズが流れジャズで男女の揺れ動く気持ちを表現している『ワン・フロム・ザ・ハート』。
切なく痛くもあるようなジャズが心から離れません。
コッポラ監督のイメージとは違う作品でもあり工業的にはいまいちとなってしまいましたが、監督の意外な一面またが新しい一面を見ることのできる作品になっていました。