1983年公開のイタリアのパニック映画『猛獣大脱走』。ある日突然動物園の動物が逃げ出し街で暴れ出します。当時だからできた残虐的な描写とチープさゆえの恐怖。最後にはこの映画の真のメッセージが伝えられます。
『猛獣大脱走』作品情報
タイトル | 猛獣大脱走(Wild Beasts) |
監督 | フランコ・プロスぺリ |
公開 | 1984年3月3日 |
製作国 | イタリア |
時間 | 1時間27分 |
Rotten Tomatoes
『猛獣大脱走』あらすじ
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ヨーロッパ北部。
最新コンピューターで管理されている巨大動物園の獣医を務めるバーナーはここ最近、落ち着きのない動物たちが気がかりだった。
そんなある日、街で車に乗っていたカップルが多数のドブネズミに襲われ、食いちぎられる異常な事件が発生。
警察はバーナーに調査を依頼する。
そしてちょうど同じ頃、動物園のシステムがダウン。
動物園の檻からゾウやヒョウなどの猛獣たちが一斉に外へ飛び出し、街は大混乱に見舞われる。
(出典:https://www.thecinema.jp/program/02893)
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当時だからこそできた恐怖シーンの連続
動物園から逃げ出した動物が向かったのは大都会。
凶暴化してしまった動物は次々と人間に襲い掛かります。
今だと動物保護の問題で映すことのできなシーンやテロップが入りそうなシーンでも、1983年公開の映画には関係ありません。
容赦無く動物が動物を襲い、また動物が人間を襲います。
トラやシロクマなどの怖い動物以外にも、ネズミだって集団で襲いかかれば人間はあっという間にやられてしまいます。
像に踏み潰された人間など容赦なく残虐的シーンが続きます。
CGなどない時代の本物の動物を使った恐怖や、チープ感漂う映像が逆に観客の恐怖を与えます。
動物が本物だったからこそ、リアルに大和さが伝わってきます。
凶暴化した動物は人間にはどうすることもできません。
動物の本能には人間は勝てない。
そんな人間の無力さを感じてしまいました。
なぜ動物か凶暴化してしまったのか?
その原因を突き止めた時に起こる本当の恐怖。
それがこの作品のメッセージなのです。
いつ起こってもおかしくない現実
なぜ動物は強化してしまったのか?
それは動物の飲んでいた水に問題がありました。
水の中に麻薬物質が含まれていたのです。
これによりハイになってしまった動物たち。
動物園から逃げ出し、次々と人間を襲ってしまったのです。
ここで疑問が?
水を飲んだのは動物だけ?
そんな心配が観客の心の浮かんだ頃、街は元に戻り始めていました。
動物が落ち着きを取り戻していたからです。
しかしその頃もう1つの恐怖が待っていたのでした。
水を飲んだのは動物だけではなかったのです。
人間ももちろん飲んでいました。
そしてその影響を受けたのがか弱い子供達だったのです。
水の影響で子供達も凶暴化してしまったのでした。
映画の冒頭に登場する言葉
「すべては現代の狂気のせいだ。 そしていつも犠牲になるのは罪のない動物や子供達だ」
この言葉に『猛獣大脱走』のメッセージはすべて込められていました。
産業廃棄物により汚染された水の一部を飲んだ動物と子供の凶暴化。
『猛獣大脱走』はパニックホラー映画ではありますが、今も続く公害を考えるといつこんな世界になってもおかしくないのです。
この映画が作られた1983年から何十年経った今でも、その恐怖は私たちの生活と隣り合わせなのです。
まとめ
動物たちが街で暴れ次々と人間を襲うパニック映画『猛獣大脱走』。
1983年公開でイタリアで製作された映画です。
今では簡単に見ることのできない作品ですので、機会があればぜひ見て欲しい作品でもあります。
当時だから作れた映像と現代にも起きうる恐怖。
改めて人間の弱さと愚かさに気付かされる映画でもあります。