映画『バリー・シール/アメリカをはめた男』アメリカに利用された実在したパイロット バリー・シール


実在した天才パイロットのバリー・シール。その才能がゆえにアメリカ国内とアメリカの敵に目をつけられることになっていまします。しかも本人の欲深い性格が仇となり、逃げられない道にはまってしまったバリー・シール。ここではそんなバリーとアメリカ政府との関係を見ていきたいと思います。

『バリー・シール/アメリカをはめた男』作品情報


バリー・シール アメリカをはめた男 [Blu-ray]

タイトル バリー・シール/アメリカをはめた男(American Made)
監督 ダグ・リーマン
公開 2017年10月21日
製作国 アメリカ
時間 1時間55分

Rotten Tomatoes

あらすじ

1970年代後半のアメリカ。

大手民間航空会社のパイロットして働くバリー・シールは、愛する妻子とともに何不自由ない暮らしを送っていた。

そんなある日、彼の天才的な操縦技術に目を付けたCIAが、彼をある極秘作戦にスカウトする。

こうしてCIAの汚れ仕事を手伝ううちに、巨大麻薬組織“メデジン・カルテル”の伝説の麻薬王パブロ・エスコバルにもその腕を買われ、麻薬の運び屋としても大活躍するバリーだったが…。

(出典:https://www.allcinema.net/cinema/361148)

実在した男バリー・シール

1970年代後半トランス・ワールド航空(TWA)でパイロットをしていたバリー・シール。
彼は天才パイロットとしてその操縦の腕前は有名でした。

民間空中哨戒部隊を首席で卒業し、TWAの最年少パイロットでもあったバリー。
アメリカ国内の大手航空会社であるTWAでしたが、1970年代後半は苦しい経営状況でもありました。

パイロットとしてそれなりのお金を得ていたはずのバリーですが、もっとお金を欲しかたのかもしれません。
会社の経営状態の影響があったかどうかは分かりませんが、彼はお金儲けのためにキューバの亡命者からキューバ産の禁制品を受け取り密輸していました。

そんなバリーに目をつけたのがCIAでした。
優秀なパイロットを必要としていたCIAは、彼を雇い中米の上空を飛行士写真を撮らせようと考えたのでした。

当時アメリカとソ連は冷戦中です。
ソ連に支援された共産主義革命軍を偵察するためにCIAはバリーを利用したのです。

しかしこれはもちろん極秘ミッションです。
バリーはその仕事を引き受けました。
パイロットとしてもっと自分の腕を活かしたいと考えていたバリーにとっては、リスクを冒しての飛行は刺激的だったのでしょう。

TWAをやめCIAのダミー会社IACで働くことを選んだのでした。

CIAとバリー

バリーに目をつけたCIAは、中米の情報を得るためにバリーに上空からの写真を撮らせます。
さらにパナマのノリエガ将軍から情報をもらうための、運び屋もやらせました

当時パナマもノリエガ将軍はCIAに共産主義革命軍の情報を売っていました。
しかし実はノリエガ将軍は革命軍側にもアメリカの情報を売っていて、美味しい思いをしていたのですがまだCIAはその事実に気が付いていませんでした。
(のちにアメリカ側がそれに気がつきパナマに侵攻することになります)

バリーは任務中にコロンビアでメデジン・カルテルのパブロ・エスコバル達と出会うことになります。
のちに麻薬王となる人物です。
彼らもまた、アメリカにコカインを輸送するためにバリーに目をつけたのでした。

しかしバリーはコロンビアで捕まってしまいます。
CIAはバリーを釈放する代わりに新たな任務を任せます。
それはニカラグアのコントラに武器を輸送することでした。

ニカラグアではサンディニスタ民族解放戦線が政権を握り、共産主義国家が誕生しそうになっていました。
これを阻止したいアメリカでしたが、議会はベトナム戦争の経験からニカラグアへの介入を止めました。

しかしレーガン政権は極秘で、ニカラグアへ介入しようとしていたのです。
ニカラグアのサンディニスタに反対する「コントラ」に対して武器や資金を流し、サンディニスタの指導する政権を破壊しようとしていたのです。

これがのちにイラン・コントラ事件として暴かれ大問題となりました。
この指揮をとっていたのが映画の終盤に登場するオリバー・ノース中佐です。

バリーは知らない間にアメリカ政府の闇の仕事を引き受けていたのでした。

メデジン・カルテルとバリー

CIAの仕事を極秘で行なっていたバリーでしたが、お金儲けに目のないバリーは麻薬の密輸に手を染めていきました。

メデジン・カルテルとの取引で大金を受け取るようになったバリー。
一度味わった生活から抜け出すことができなくなっていきます。

CIAの武器をニカラグアに運び、帰りにはニカラグアに運ばれたコロンビアのメデジン・カルテルのコカインをアメリカに運んでいました。

さらにニカラグアのコントラに渡るはずだった銃をコロンビアに運びました。
その帰りにコロンビアからニカラグアまでコカインを運ぶのです。

CIAは15000もの銃をコントラに流しましたが、5000はコロンビアに渡っていました。
これはバリーの仕業だったのです。

メデジン・カルテルから大金を得たバリーは、お金を隠す場所に困るようになるほどでした。
これがFBIなどに目をつけられることになっていったのです。

本当ははめられた男バリー・シール

DEA・ATF・FBI・州警察に目をつけられたバリー。
CIAはその事実を知ると彼を見捨ててしまいます。
バリーに関する資料を全て焼いてしまい関係がなかったことにしたのです。
(実際にCIAはバリー・ルーシとの関わりを否定し続けています)

逮捕されてしまったバリーを救ったのは、アメリカ政府でした。
今度はアメリカ政府として仕事をすることになりました。

何としてもニカラグアのをサンディニスタ崩壊させたアメリカ。
ノース大佐はニカラグア政府とメデジン・カルテルが繋がっている証拠が欲しかったのです。
そのためにバリーを利用し、彼に証拠写真を撮らせたました。

刑務所に入るのを免れるために任務を引き受けたバリー。
しかしそれは命がけの仕事でもありました。

ニカラグア政府とメデジン・カルテルが繋がっている写真の撮影に成功したバリーでしたが、なんとその写真が公開されてしまいました。
ここでもアメリカ政府にはめられてしまったのです。

写真が公開されたことでパブロはバリーの裏切りを知ることになります。
そしてバリーは命を狙われることになってしまったのです。

CIAから頼まれた仕事を利用してコカインをアメリカに蔓延させ大金を得たバリーは、最後はCIAとアメリカ政府に裏切られて命を落とすことになってしまいました。

もしかするとアメリカにはめられたのがバリー・シールなのかも知れません。

学びポイント

実話を元にした映画『バリー・シール/アメリカをはめた男』。
1970年代後半〜1980年代前半のアメリカ政府の国際的な動きを知ることができます。

レーガン政権時の麻薬撲滅運動やコロンビアのメデジン・カルテルの繁栄などを知っているとよりこの映画の理解が深まります。

またそれと同時に冷戦時の中央アメリカに対するアメリカ政府の裏の動きを、『バリー・シール/アメリカをはめた男』を通して知ることもできます。

政府を利用して大金を得た男が関わっていた事実は、歴史的にとんでもないスキャンダルと繋がっていたのでした。