映画『ビール・ストリートの恋人たち』で描かれた1970年代にあった黒人に対する冤罪事件


1970年代のNY。貧しくても二人の将来に希望を持ちながら生活を送っていたファニーとティッシュ。しかしある日突然ファニーはレイプ事件の犯人として捕まってしまいました。彼を捕まえたのはファニーを憎む白人警察官で、無実なのにファニーは捕まってしまいました。当時、人種差別により不当な逮捕を受けていた黒人たち。ここでは1970年代のNYそしてビール・ストリートを調べてみました。

『ビール・ストリートの恋人たち』作品情報


ビール・ストリートの恋人たち [Blu-ray]

タイトル ビール・ストリートの恋人たち(If Beale Street Could Talk)
監督 バリー・ジェンキンス
公開 2019年2月22日
製作国 アメリカ
時間 1時間59分

Rotten Tomatoes

あらすじ

「赤ちゃんができたの」
1970年代のニューヨーク。ティッシュは19歳。恋人のファニーは22歳。

幼い頃から共に育ち、自然と愛を育み、運命の相手を互いに見出した二人にとって、それは素晴らしい報告のはずだった。

しかし、ファニーは無実の罪で留置所にいる。
彼はティッシュの言葉を面会室のガラス越しに聞いた。

小さな諍いで白人警官の怒りを買った彼は強姦罪で逮捕され、有罪となれば刑務所で恥辱に満ちた日々を送るしかない。

二人の愛を守るために家族と友人たちはファニーを助け出そうと奔走するが、そこには様々な困難が待ち受けていた…。

魂を試されるようなこの試練を乗り越え、恋人たちは互いの腕の中に帰ることが出来るだろうか。

(出典:https://longride.jp/bealestreet/story.html)

アカデミー賞受賞
・助演女優賞:レジーナ・キング

1970年代のNY ハーレム

『ビール・ストリートの恋人たち』の舞台は1970年代のNYのハーレム。
ハーレムでは多くの黒人が暮らしていました。

元々は白人が住んでいたハーレム地区でしたが、南部からの多くの黒人が移住してきてハーレムに住み着くようになるとこの地区に住んでいた白人達の多くは郊外に住むようになっていきます。
そして誕生したのが黒人街ハーレムで、ここからたくさんの黒人文化も生まれました。

しかし1970年代頃にはまだまだ人種差別はたくさん残っていました。
北部のNYでしたが、ハーレムに住む黒人の暮らしは貧しく『ビール・ストリートの恋人たち』の中でも描かれているように、彼らは生活するだけで必死でした。

黒人だと分かると家も貸してもらえないファニーとティッシュ。
これが当時の黒人達の現状でした。

そしてそれはハーレムの治安の悪化にも繋がっていき、ハーレムは荒廃してしまいます。
映画の中でファニーとティッシュが乗った地下鉄を見れば、当時の地下鉄の危険さを感じることができます。

なぜここまでハーレム地区は腐敗してしまったのか?
その1つは黒人に対する差別です。
ハーレムでは差別による暴動が何度も起きていました。
特に公民権運動の真っ只中だった1960年代には、たくさんの暴動がありました。
そしてその度に街は荒れてしまいました。

さらに差別はひどくなり、警察官による無実の黒人の逮捕まで起きてしまいます。
これは1件や2件ではなく、当時数多く起きていたことです。

ファニーも逮捕されてしまいますが、ファニーの友人ダニエルも冤罪で逮捕されたと言っていました。
しかもお金のない彼らは裁判をすることも出来ず、結局刑務所に入ってしまいます。

こんなことが度々起きていたのが1970年代のNYハーレムだったのです。
そんな絶望の中でも愛する二人が強くいきていこうとするのが『ビール・ストリートの恋人たち』ですが、彼らに待ち受けていたのは辛い現実だったのです。

ビール・ストリート

映画のタイトルにもなっているビール・ストリート
それはアメリカルテネシー州メンフィスの繁華街に伸びる1本の通りの名前です。

バーやクラブが並ぶビール・ストリート。
音楽の街メンフィスは、ブルース発祥の地とも言われています。
ブルース界の大御所B.B.キングやルイ・アームストロングもこの地で演奏していました。

ビール・ストリートのあるメンフィスは人口の6割がアフリカ系アメリカ人で、黒人文化が詰まっているのがビール・ストリートです

『ビール・ストリートの恋人たち』の冒頭で説明されるように、ビール・ストリートは黒人達にとって大切な地でありそこは彼らの歴史が詰まった場所でもあるのです。
どんなに差別を受けても、辛い状況におかれてもこの場所で黒人達は美しい音楽を生み出しました。

黒人達にとってビール・ストリートは、自分たちの強さを象徴する場所なのです。

『ビール・ストリートの恋人たち』の舞台はNYのハーレムでしたが、どこにいても彼らはビール・ストリートで培った強さを持っているのです。
そんな彼らの強さを描いたのが『ビール・ストリートの恋人たち』でもあったのです。

まとめ

1970年代にNYハーレムで起きていた人種差別を生々しく描いた『ビール・ストリートの恋人たち。

差別の中でも強く生きていこうとする若いカップル。
状況はいい方向には進みませんが、強い心を持ち続け幸せになろうする男女の想いが描かれていました。

屈強に負けずに生き続ける彼らの強さは、タイトルにもあるビール・ストリートで生まれた黒人のタフさでもあったのです。


ビール・ストリートの恋人たち