アカデミー賞で作品賞を含め6部門受賞したミュージカル映画『シカゴ』。1920年代のシカゴを舞台にした物語で、映画の中では腐敗に満ちたシカゴの街が描かれています。次々と起こる殺人事件の中に描かれる、1920年代のシカゴの様子を見ていきたいと思います。
『シカゴ』作品情報
タイトル | シカゴ(Chicago) |
監督 | ロブ・マーシャル |
公開 | 2003年4月19日 |
製作国 | アメリカ |
時間 | 1時間53分 |
Rotten Tomatoes
『シカゴ』あらすじ
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1920年代のシカゴ。
そこは、犯罪さえもエンターテインメントにしまうショービジネスの街。
スターを夢見るロキシーは、キャバレーの専属歌手ヴェルマのステージを羨望の眼差しで見ていた。
そんなロキシーはある日、ショーに売り込むとの約束を守らなかった愛人と諍いを起こし、ついに彼を撃ち殺してしまう。
そして逮捕され留置所に送られたロキシーは、驚くことにあのヴェルマと出会った。
彼女は不倫した夫と妹を殺した罪に問われていた。
しかし、マスコミ操作に長けた辣腕弁護士ビリーのおかげで、巷では一躍スター扱い。
ロキシーも同じ手段でヴェルマ以上の注目を浴びようとビリーを雇うのだが…。
(出典:https://www.allcinema.net/cinema/239900)
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[box class=”red_box” title=”アカデミー賞受賞”]作品賞
助演女優賞:キャサリン・ゼタ=ジョーンズ
美術賞
衣装デザイン賞
音響賞
編集賞[/box]
1920年代のシカゴ
映画『シカゴ』の舞台は1920年代のシカゴ。
禁酒法時代のシカゴは、密造酒の製造や輸送によってギャング達が勢力を拡大した街になっていました。
そして力をつけお金を得たギャングはシカゴの街を牛耳るようになります。
政府も警察もギャングによって買収されてしまったシカゴ。
腐敗してしまった街と住民達は『シカゴ』の中で、「殺人事件は市民の娯楽」「シカゴは新しい血を求める」と表現されています。
そんなシカゴを牛耳っていたのがマフィアのアル・カポネです。
裏の市長とも言われたほど、シカゴの街は全てアル・カポネ次第だったのです。
アル・カポネの存在を象徴するように映画の中でロキシーのことを「アル・カポネは古い!シカゴの新しい悪の女王」と紹介していました。
シカゴの街は腐敗していましたが、時代的に1920年代のアメリカは「狂騒の20年代」と呼ばれるほど景気の良かった時代でもあります。
女性の参政権が認められ、女性達はオシャレをして街に出歩くようになりました。
映画の中でスターになったロキシー。
彼女の髪型やスタイルを真似する女性達が続出します。
オシャレに目覚めた当時のアメリカの女性達を描いていました。
シカゴとジャズ
『シカゴ』の中に「お酒とジャズは女性にとって弊害ですか?」というセリフが登場します。
これは1920年代のシカゴを象徴しているセリフです。
禁酒法によりギャングに牛耳られるようになったシカゴ。
そんな腐敗してしまったシカゴでしたが、そのおかげでジャズはシカゴで流行となったのです。
もともとニューオリンズで生まれたと言われるジャズ。
ニューオリンズのストーリーヴィルでジャズは楽しまれていましたが、閉鎖されてしまったことで職を失った人たちがシカゴにやって来ました。
禁酒法時代に「スピークイージー」と言われる秘密酒場を経営していたシカゴのギャング達。
そこでニューオリンズからやってきた人達はジャズを演奏するようになり、シカゴで流行の音楽となりました。
そして「お酒とジャズ」という新たな文化が生まれ、ジャズはお酒には欠かせない音楽となっていきました。
1920年代はジャズ・エイジとも呼ばれるほど、もぐりの酒場で多くの人がジャズとお酒を楽しんだのです。
もともと黒人音楽だったジャズ。
シカゴで流行するうちに白人がジャズを真似するようになり、新たなジャズが生まれます。
それが「シカゴ・ジャズ」です。
ブルースとジャズの合わさった、新たなジャズがシカゴで生まれたのでした。
学びポイント
ミュージカル映画『シカゴ』の舞台となっている1920年代。
アメリカの繁栄の時代であると同時に、禁酒法によってギャングが勢力を伸ばす時代でもありました。
そんな混沌とした時代を『シカゴ』を見ると知ることができます。
女性達のファッションから時代を感じることができ、また血なまぐさい事件とお酒と音楽という当時のシカゴを象徴するものを見ることがきるのが『シカゴ』です。