映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』 若者文化が誕生しはじめた1955年のカルチャー

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でマーティがタイムスリップしたのは1955年。

1985年に暮らす主人公のマーティにとってみれば全く知らない世界でしたが、1955年といえば、当時の10代の若者文化が芽生え始めた時期でもありました。

ここではマーティの目を通して、10代の若者が文化の中心になり始めた1955年のカルチャーを見ていきたいと思います。

目次

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』作品情報


バック・トゥ・ザ・フューチャー (字幕版)

タイトル バック・トゥ・ザ・フューチャー (Back to the Future)
監督 ロバート・ゼメキス
公開 1985年12月7日
製作国 アメリカ
時間 1時間56分

[box class=”red_box” title=”アカデミー賞受賞”]音響編集賞[/box]

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1955年のカルチャー

SFブーム

マーティがタイムトラベルした1955年の世界で、彼が何度も耳にしたのは「SF」という言葉でした。

マーティの父ジョージはSF作家を夢見ていましたし、そのジョージをはじめ子供もSFコミックを読んでいました。

SFコミックを読んでいた子供やその家族は、デロリアンを宇宙船と思い込みさらに防護服を来たマーティのことを宇宙人だと間違えてしまいます。

またマーティの母ロレインの家族が見ていたテレビでは、宇宙人の真似をしている男性が映っていました。

このことからもこの当時かなりSFブームだったことを感じることができます。

ジョージはロレインをダンスに誘うよりも、テレビで「SF劇場」を見ていたいというほどSFが大好きでした。

ちなみに「SF劇場」とは1955年から始まった「Science Fiction Theatre」(空想科学劇場)のことです。

この頃、SFコミック・SF小説・SFテレビ・SF映画などがたくさん作られていたと言われています。

それは当時の世界情勢が反映されていて、当時の世界はアメリカをはじめとする西側諸国とソ連をはじめとする東側諸国との冷戦状態でした。

その中でアメリカ国内では共産主義者を恐れる意識が高まっていました。

また世界的に急激な科学の発展が起きていた時代です。

ロレインはマーティに「初めてのテレビが今日届いたの」と伝えていますが、家庭にテレビなどの家電が広まりつつある時代で、市民が科学の恩恵を受けはじめた時期でもありました。

この「冷戦」と「科学」がSF作品誕生のきっかけになります。

ソ連に侵略されるかもしれないという恐怖とどんどん発展する科学を、宇宙人に侵略されるアメリカに置き換えたSF作品が次々と誕生し、それが一大ブームとなっていたのです。

ロックンロールの誕生

ロバート・ゼメキス監督はマーティがタイムトラベルして戻った時代を1955年にしたことには、大きな意味があると言っています。

なぜ1955年にしたのか?

それには「ロックンロールの誕生」が大きく関係していました。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の中盤のダンスパーティで、マーティはチャック・ベリーの「ジョニー・B.グッド」を披露します。

チャック・ベリーの「ジョニー・B.グッド」は1958年に発売された曲なので、まだ1955年には誕生していません。

音楽を聞いたチャックの従兄弟が彼に電話していましたが、これがチャック・ベリーの音楽につながることを連想させるシーンでもありました。

このことがタイムトラベルした時代を1955年にした理由の1つです。

ロックンロールは1950年代半ばごろに誕生した音楽で、チャック・ベリーはロックンロールの生みの親の1人と言われています。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』では、チャックにロックを聴かせたのはマーティという事になっていました。

つまり、マーティがいたからロックンロールが生まれたのです。

若者文化を描くという視点からロバート・ゼメキス監督は、タイムトラベル先の時代をロックンロールが流行りはじめた1955年にしていたのです。

俳優ロナルド・レーガン

ロナルド・レーガンといえば、アメリカ合衆国第40代大統領ですが、彼は大統領になる前は西部劇の俳優でした。

マーティがタイムトラベルした1955年の映画館ではロナルド・レーガン主演の『バファロウ平原』が上映されています。

1955年のドクは1985年の大統領がロナルド・レーガンと聞いて「俳優の?」と驚いていましたが、それくらい当時の人には想像できない事だったのです。

ちなみに1955年はジョン・F・ケネディもそれほど知られていないようでした。

マーティが「ジョン・F・ケネディ通りだ」と言うと、ロレインの父親は「誰だ?」と聞いています。

ジョン・F・ケネディは1956年に民主党の副大統領候補となったことで注目されたので、1955年にはまだ全国区ではなかったのかもしれません。

まとめ

1955年の世界にタイムスリップする物語『バック・トゥ・ザ・フューチャー』では、1955年当時のカルチャーに触れることができます。

テレビが普及し始めたり、ロックンロールなどの若者文化が誕生し始めたのが1955年でした。

戦後変わりはじめた社会の動きを感じることができるのも、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の見どころの1つです。

 

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