大きな屋敷の中で起きたミステリー作家の自殺。誰もが事件性はないと考えていましたが、私立探偵はその家で起きていた真実を突き止めます。実は、ミステリー作家の家族はみんな「我がルール」で暮らしていたのです。自分を守るためならば、自分のルールを突き通す家族達。そんな家族に気がついていたのが、実は亡くなったミステリー作家だったのです。
『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』作品情報
タイトル | ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(Knives Out) |
監督 | ライアン・ジョンソン |
公開 | 2020年1月31日 |
製作国 | アメリカ |
時間 | 2時間11分 |
Rotten Tomatoes
あらすじ
(引用:MIHOシネマ)
外からやってきた人
有名なミステリー作家ハーランは、85歳の誕生日の日に亡くなってしまいます。
それはあることが元で起きた事件でしたが、ハーランは自分の意志で決意します。
それは自分の看護師でありまた友人でもあったマルタとその母親を守るためでした。
看護師のマルタは、家族とともにパラグアイからやってきた移民でした。
ハーランの家族は彼女のことを「家族の一員だった」と言いましたが、それはあくまで表面上。
彼女がハーランの遺産相続人だとわかると、あの手この手でマルタに相続を破棄させようとします。
さらに彼女の母親が不法移民だと知ると、それを理由にマルタを脅そうとします。
一方、ハーランはマルタの母親が不法移民だと知っていて、彼女の母親を守ろうとしていました。
そのためにハーランは自ら命を絶つことを選んだのです。
全く対極にあるハーランと彼の家族達。
同じ家にいながらも、彼らはまったく別の立場だったのです。
自分のことになると「絶対にマルタに自分の物を渡さない」という態度をとったハーランの家族達でしたが、ニュースで見る移民の扱いに関しては寛大な心を示しています。
「子供と母親が引き離されるのはかわいそう」と言っていましたが、自分たちはまさにマルタを脅し彼女と母親を引き離そうとしているのです。
それはあくまで他人事でしかなかったのです。
さらに家族の中でも1番マルタに遺産を渡したくなかったランサム。
彼はマルタに向かって「我々が持って生まれた先祖代々の家を守る」と吐き捨てました。
しかしそんな彼が自分達の家だといった家も、ハーランがパキスタン人から買った家です。
元を辿れば彼らの家ではなく、彼らも外からやってきた人なのです。
「偽物」と「本物」
ハーランは自分の子供達が、自分のお金だけをあてにしている「偽物の家族」だと気がついていました。
お金をもらうために家族は自分のそばにいると分かっていたのです。
だからハーランは、損得抜きで自分の体を心配してくれるマルタに心を許しました。
友人として彼女を必要とし、彼女にだけ家族の抱える問題を話しました。
やがてハーランにとっては、マルタが「本物の家族」のようになっていきます。
そして彼女に自分の全てを与えようと考えたのです。
血は繋がっているけど偽物の家族、血は繋がっていないけど本物のような家族。
ハーランは心が感じる本物のような家族を選びました。
彼には「偽物」と「本物」の区別がついていました。
マルタの優しさは本物だと。
その本物の優しさが、今回の事件を解決します。
ランサムの計画をマルタの優しさが次々と壊していきます。
「本物」を知らないランサムには、マルタの行動を理解することができません。
マルタの「我がルール」は「善良でいること」だったのです。
最後まで「本物」と「偽物」の区別ができなかったランサム。
彼が手にしたナイフは偽物でした。
それは祖父ハーランが心配した通り、自信家で愚かな姿でした。
まとめ
探偵映画ですが、今の社会を映し出す風刺的な作品になっていた『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』。
映画の冒頭とラストに登場する「My House My Rules My Coffee」と書かれたマグカップ。
この言葉がこの映画を表現していました。
登場人物それぞれの色んな「My rules」を見ることができる作品になっていました。