SFホラー映画『エイリアン』はリアルと恐怖を描き出すために、数々の映画を参考にしています。その甲斐あって映画は大ヒットし、その後数々の続編が作られまたパロディ生まれました。ここではそんな徹底的に「本物」を追求したエイリアンが参考にした映画作品を紹介します。
『エイリアン』作品情報
タイトル | エイリアン(Alien) |
監督 | リドリー・スコット |
公開 | 1979年7月21日 |
製作国 | イギリス/アメリカ |
時間 | 1時間57分 |
[box class=”red_box” title=”アカデミー賞受賞”]・視覚効果賞[/box]
あらすじ
(引用:MIHOシネマ)
恐怖の追求
物語
『エイリアン』の脚本家のダン・オバノンは、『エイリアン』を製作するにあたってどんな作品にしたいかを監督のリドリー・スコットに伝えるため、映画『悪魔のいけにえ』を見るようにアドバイスします。
アメリカで1974年に公開された『悪魔のいけにえ』は、公開当時その残酷さから上映禁止にした地域もあったほどでしたが、ダン・オバノンはこの作品を新しい世代のホラー映画と捉えていました。
さらにこれから作る『エイリアン』で観客に与えたいショックの指針の参考例としてこの作品を選びました。
ダン・オバノンからの指示で『悪魔のいけにえ』を見たリドリー・スコット監督は「SF映画版悪魔のいけにえ」を作ることを決めます。
それと同時に、リアリズムを追求するために監督は何度も『エクソシスト』を見て、エイリアン製作の準備を始めました。
音楽
リドリー・スコットはホラー映画にとって音楽はとても重要だと考えていましたが、その中でも「静寂」は音楽と同じくらい効果的な演出だと思っていました。
『エイリアン』製作と同じ頃にヒットしていた映画『パットン大戦車軍団』や『チャイナタウン』は、劇中でほとんど音楽が使われていないことにリドリー・スコットは気がつきます。
監督は「静寂」がホラー映画の恐怖を高めると感じました。
そのため映画『エイリアン』の中ではかなり音楽がないシーンが描かれていて、そのシーンは観客に緊張感を与えています。
また映画のラスト、リプリーがエイリアンと戦うシーンでも音楽は使われていません。
何度か音楽をつけるという案が出たそうですが最後まで監督は音楽をつけることを拒んだことで、結果あの名シーンの誕生になったのです。
リアルの追求
『エイリアン』に登場する宇宙船ノストロモ号を作るにあたって、リドリー・スコット監督はかなりリアルさを美術スタッフに求めました。
監督は単なる模型の宇宙船ではなく、エンジンの原理などノストロモ号は本当に動くという設定のデザインを求めました。
自分がノストロモ号に求めるリアルさをスタッフに伝えるために、監督はスタッフに『博士の異常な愛情』を見せたそうです。
博士の異常な愛情/または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか (字幕版)
『博士の異常な愛情』を監督したスタンリー・キューブリックといえば、カルト的なSF映画『2001年宇宙の旅』を作った監督でもありますが、リドリー・スコットが求めたのは『2001年宇宙の旅』に出てくる宇宙船ではなく、『博士の異常な愛情』に出てくる軍用機でした。
監督は軍用機のような外観をノストロモ号に求めていたのです。
タイトルシークエンス
リドリー・スコットは『エイリアン』のタイトルシークエンスは、自分の作品の中で自信作だと言っています。
少しずつ現れる「ALIEN」という文字ですが、最初観客はバラバラに登場する真っ直ぐの線を見ても何を意味しているのか分かりません。
それがゆっくり時間をかけて「ALIEN」という文字になっていきます。
しかもその「ALIEN」は1つ1つのアルファベットの間にかなりの距離があります。
何を見ているのか分からない観客は緊張感に包まれますが、これは意図的に用意された恐怖に演出だったのです。
まとめ
徹底的にリアルと恐怖を追求して作られた映画『エイリアン』には、チープな作品にならないように様々な工夫が施されたいました。
色んな映画を元に、本能的なレベルに達するほどの恐怖を作り出したのが、映画『エイリアン』だったのです。
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参考資料:
・エイリアン・コンプリートブック
・SF映画のタイポグラフィとデザイン