ゲイ・アートの先駆者トム・オブ・フィンランド。そんな彼の伝記映画が『トム・オブ・フィンランド』です。同性愛は違法とされ逮捕されてしまう時代に、なんとか自分のアイデンティティを確立しようとしたトウコ・ラークソネンの物語です。彼の苦しみや葛藤がのちに多くの人の心を支え希望となったのでした。
『トム・オブ・フィンランド』作品情報
タイトル | トム・オブ・フィンランド( Tom of Finland) |
監督 | ドメ・カルコスキ |
公開 | 2019年8月2日 |
製作国 | フィンランド/スウェーデン/デンマーク/ドイツ/アメリカ |
時間 | 1時間57分 |
Rotten Tomatoes
あらすじ
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第二次世界大戦直後。
同性愛が法律で禁止されていたフィンランドで、ゲイの帰還兵トウコ・ラークソネンは、自らの欲望を抑え込んで生きていた。
そんな彼が夢中になったのが、逞しい男たちの絵を描くこと。
やがて彼の絵は、アンダーグラウンドの同性愛者コミュニティで静かに広まっていく。
やがてその絵は、“トム・オブ・フィンランド”の作家名でアメリカの雑誌の表紙を飾る。
すると、そのポジティブな男性像が大きな共感を呼び、ゲイカルチャーの解放を強く後押しすることになるのだったが…。
(出典:https://www.allcinema.net/cinema/368885)
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トウコ・ラークソネン
ゲイアートの第一人者のトム・オブ・フィンランド。
自分の名前でゲイの絵を描くことに危険を感じトムとペンネームで絵を描き続けました。
そんなトム・オブ・フィンランドの本名はトウコ・ラークソネンです。
絵がうまくピアノを弾くなどアーティストとしての才能を持っていたトウコは、やがて時代の波にのまれていきます。
1939年9月1日ドイツ軍がポーランドに侵攻したことで始まった第二次世界大戦。
フィンランドはドイツと同盟国だっため、連合軍と戦うことになります。
トウコも1940年にフィンランド陸軍に招集され戦地に向かうことになりました。
同性愛が禁止の中で自分の欲望を抑えられないトウコ。
彼はその欲望を絵に描くようになりました。
陸軍兵士となったことで、彼は軍服に引かれていくようになったのです。
それが現在のゲイ・アートの始まりでもありました。
戦争から戻ってきたトウコは警察の制服や、バイクやバイカーの格好に引かれていきます。
そしてその想いをトウコは絵に描き続け、トム・オブ・フィンランドの誕生になったのでした。
トム・オブ・フィンランド
フィンランドで同性愛が合法となったのは1971年です。
トウコは自分の本性を隠して生活していました。
ゲイということがバレてしまえば警察に捕まり、治療のために病院に入れられてしまいます。
この時代同性愛は病気だったのです。
フィンランドでは自分の絵を発表することができなかったトウコは、自分の描いた絵をトムというペンネームでアメリカに送りました。
それがトム・オブ・フィンランドの誕生でした。
そして彼の描く絵はゲイコミュニティの中で瞬く間に人気になっていったのです。
しかしトム・オブ・フィンランドの描く絵は、人気になっただけではありません。
彼が絵を描き続けることで多くの隠れて生きる人々の心を支え続けたのです。
トム・オブ・フィンランドはゲイの美しさを絵にし、ゲイの権利を訴え続けました。
トム・オブ・フィンランドの絵は、のちの多くのアーティスト達に多大なる影響を与えました。
それは彼がゲイの幸せを願い続けたからです。
自分自身はゲイであることを隠し恥じながら生きてきましたが、自分のような思いをさせないためにも、ゲイだって幸せになっていいんだという気持ちを絵に込めたのです。
まとめ
今ではゲイカルチャーのアイコンでもあるトム・オブ・フィンランドのゲイ・アート。
それは多くの人の心を支えるとともに、ゲイの人たちの居場所を作り出しました。
彼自身は1991年に亡くなってしまいますが、彼の意志はその後も生き続けています。
2017年にフィンランドで同性婚が認められたのも、トム・オブ・フィンランドの功績の1つかもしれません。