ハンニバル・レクターを逮捕したFBI捜査官のウィル・グレアム。彼は一度はFBIを辞めますが、再び事件現場に戻ることになってしまいます。しかも事件を解決するために自分を襲ったハンニバルの知恵を借りることに。やがてそれはハンニバルとウィルだけでなく、犯人を巻き込んだ3人の関係に繋がっていくのです。
『レッド・ドラゴン』作品情報
タイトル | レッド・ドラゴン(Red Dragon) |
監督 | ブレット・ラトナー |
公開 | 2003年2月8日 |
製作国 | アメリカ/ドイツ |
時間 | 2時間4分 |
Rotten Tomatoes
あらすじ
(引用:MIHOシネマ)
ウィリアム・ブレイク
イギリスの詩人であり画家であるウィリアム・ブレイク。
ブレイク自身は自分にはヴィジョンと呼ばれる幻視能力があると言っていました。
そしてその能力を使い、預言書や詩を書き絵を描いていたのです。
ウィルに捜査依頼を受けたレクターは「赤い胸の駒鳥は楽園に怒りを導く」という詩を教えます。
この言葉を頼りにウィルはウィリアム・ブレイクにいきつきます。
そして彼の描いた「レッド・ドラゴンと太陽をまとう女」の絵を見つけました。
ウィリアム・ブレイクは神や悪魔は人間の心に潜んでいると考えていて、ヴィジョンを使い目に見えない真実を描きます。
その1つが「レッド・ドラゴンと太陽をまとう女」という絵だったのです。
この絵はヨハネの黙示録第12章〜14章を表現していると言われています。
映画の中でダラハイドはこの絵を見るためにブルックリン美術館に向かっていましたが、ブルックリン美術館に収蔵されています。
連続殺人事件の犯人であるダラハイドはこの絵に感銘を受け、自分がレッドドラゴンになろうとしました。
つまり神になろうとしたのです。
幼い頃虐待を受け続けた彼は、強くで強靭なレッドドラゴンになることで醜いと言われ続けた自分から生まれ変わろうとしていたのです。
ハンニバル・レクターとウィル・グレアム
FBI捜査官ウィル・グレアムと犯罪精神科医学の権威であるハンニバル・レクター博士。
2人はともに1つの事件を捜査する間柄でした。
ハンニバルに絶対的な信用を寄せるウィル。
しかしそのハンニバルが自分たちが捜査する事件の犯人だったのです。
ウィルはハンニバルに刺されながらも、彼を銃で撃ち逮捕することができました。
これで2人の関係は終わったように見えましたが、実は終わっていなかったのです。
ウィルは再び事件解決のためにハンニバルの元を訪れます。
それはやはり班にバリには素晴らしい才能があったからでしょう。
それは事件を解決につながる想像力。
彼は犯人の気持ちを理解できる想像力を持っていたのです。
一方ハンニバル自身はウィルに一目置いていました。
それはウィルのもまた自分と同じような想像力を持っていて、自分とに似ていると感じていたからです。
そのことはウィルの上司であるクロフォードも認めていて、ウィルには「柔軟な想像力がある」と言っていました。
その想像力がウィルとハンニバルを結びつけて今たのです。
まだハンニバルが捕まえる前。
彼はウィルに対して「芸術レベルの想像力を持った者」だとウィルのことを評価していました。
2人の共通点である想像力。
それは恐怖を嫌悪を感じる相手の気持ちをも理解することです。
ハンニバルは「想像力の支払う代償は恐怖」だと言います。
彼はウィルの中にその恐怖があることに気がついていました。
一方ハンニバル自身はその恐怖をすでに逸脱しています。
ハンニバルはウィルを自分のレベルまで引き上げるために、更なる恐怖をウィルに与えます。
そしてFBIを辞め恐怖から逃げたウィルに、恐怖と向き合わせようとしたのかもしれません。
そのためにレッド・ドラゴンになりたいダラハイドを、ハンニバルは利用しました。
ダラハイドは自分が神になりたいと考えていましたが、ハンニバル自身は自分のことを神のように感じていたのかもしれません。
しかしウィルはハンニバルとは違い人間であることを選びました。
恐怖を逸脱するのではなく、恐怖を感じ続けることが人間だということをウィルは知っていたのです。
同じような能力を持っているハンニバルとウィル。
しかし2人の選んだ道は、全く別の道だったのです。
まとめ
FBIの捜査官ウィルと連続殺人犯ハンニバル。
相反する2人でしたが、2人は優秀な「想像力」を持っていました。
その想像力が2人を繋ぎ合わせているものだったのです。
ハンニバルはウィルを自分のいるさらなる上の世界へ連れていこうとしますが、ウィルは家族とともに普通の人間であることを選んだのした。
そんなハンニバル・レクターとウィル・グレアムの戦いを描いたのが、映画『レッド・ドラゴン』です。