1980年代のホラー映画ブームの中で作られた『ポルターガイスト』。天才と言われる2人の監督が携わった作品は、2人の特徴が濃く出た映画となりホラー映画の金字塔と言われるまでになりました。『ポルターガイスト』を通して天才2人の特徴をみていきたいと思います。
『ポルターガイスト』作品情報
タイトル | ポルターガイスト(Poltergeist) |
監督 | トビー・フーパー |
公開 | 1982年7月17日 |
製作国 | アメリカ |
時間 | 1時間54分 |
Rotten Tomatoes
あらすじ
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郊外に新築された家に越してきた一家を襲う異常な現象。
幼い娘が行方不明となり、霊媒師は悪霊の存在を感じとった。
やがてその土地は元々墓場だった事が判明する……。
(出典:https://www.allcinema.net/cinema/21726)
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スティーヴン・スピルバーグ
『ポルターガイスト』の監督はトビー・フーパーですが、製作・脚本はスティーヴン・スピルバーグです。
製作当時、スピルバーグは『E.T.』の監督を務めていたこともあり、監督をトビー・フーパーに任せたと言われています。
しかし脚本がスピルバーグだけあって、かなりファンタジー色の強い映画となっているのが『ポルターガイスト』の特徴でもあります。
グロテスクなシーンはほとんどなく、音や音楽などで観客に恐怖を与えるのもスピルバーグらしさの1つです。
「光」の向こうの世界に連れ去られてしまったキャロル・アン。
眩しいほど劇中に何度も登場する光の世界は、スピルバーグの『未知との遭遇』を思い出させます。
さらに一体家の中で起きている超常現象は何なのか?
キャロル・アンが連れ去られた世界はどんな世界なのか?
という見えない世界、分からない世界はスピルバーグが作ってきたそれまでの映画と共通します。
見えないものに怯える感覚、正体が不明のものに襲われる恐怖が『ポルターガイスト』全編を通じて描かれています。
このスピルバーグ色の強さをさらに強調させたのが、SFX映像です。
アカデミー賞の視覚効果賞にノミネートされるほど、超常現象の世界を不思議なものに作り上げていました。
SFXを担当したリチャード・エドワーズは『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』や『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』で、アカデミー賞視覚効果賞を受賞していました。
1980年代のSFX技術のスペシャリストだった彼の手がけた『ポルターガイスト』の映像は、美しくもあり恐怖でもある「光」の世界が描かれていました。
子供の布団がスターウォーズだったり、ダースベーダーのポスターや置物が子供部屋にあるのは、きっとリチャード・エドワーズが関係していたからだと思います。
トビー・フーパー
スピルバーグ色の強い『ポルターガイスト』ですが、ホラー映画の巨匠であるトビー・フーパーのグロテスクさももちろん『ポルターガイスト』には描かれています。
超常現象を調べにきた男性がキッチンに行くと肉が動きだしたり、鏡で見た自分の顔が腐って崩れていく様子はかなりグロテスクで、トビー・フーパーらしさが際立っています。
この映画の中で唯一のグロテスクなシーンですが、唯一だからこそ強烈な印象が残るシーンでもありました。
『ポルターガイスト』の前に『悪魔のいけにえ』で強烈なホラー映画を作り上げたトビー・フーパー監督。
この映画の中でも彼のホラー映画の精神は引き継がれていました。
まとめ
テレビに両手をつけている少女の姿が有名な『ポルターガイスト』。
ホラー映画の金字塔とされていますが、オカルト映画ではなくSFXを駆使したファンタジー要素の強う作品で他の作品とは違う映画になっています。
2人の天才・鬼才が作り上げた『ポルターガイスト』はそれぞれの特徴が重なり合って独自のホラー映画となりました。
『ポルターガイスト』がいつまでもホラー映画の金字塔を言われ続けるのは、ホラー×ファンタージと映像が観た人の印象に強く残っているからだと思います。