1920年代〜1930年代頃にニューヨークで暮らすユダヤ系移民の暮らしを描いた『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』。貧しい生活から抜け出すために、裏の世界で生きる青年達の物語です。彼らが暮らしたユダヤ系移民の街を当時の禁酒法と合わせて見ていきたいと思います。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』作品情報
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ(完全版) [Blu-ray]
タイトル | ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ(Once Upon a Time in America) |
監督 | セルジオ・レオーネ |
公開 | 1984年10月6日 |
製作国 | アメリカ/イタリア |
時間 | 3時間49分 |
Rotten Tomatoes
あらすじ
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20年代初頭のニューヨークに住む少年ヌードルスは仲間を率いて貧困街で悪事の数々を働いていた。
ある日その町に越して来たマックスと運命的な出会いをした二人は禁酒法の隙間をぬって荒稼ぎを続け、大人になった頃にはギャング集団として伸し上がっていた。
しかし新たな仕事の計画を立てたマックスの無謀な考えに反発したヌードルスは彼を裏切り、警察にその情報を流したためマックスは殺され、ヌードルスは町を追われるのだった。
しかし30年後になった今、年老いたヌードルスの元に不審な手紙が舞い込んで来るのだった……。
(出典:http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=26251)
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1920年代にニューヨークで暮らすユダヤ系移民
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』では、1920年代のニューヨークで暮らすユダヤ移民の生活が描かれています。
映画の中での語られているように、ドイツの迫害により多くのユダヤ人がアメリカに渡りました。
1880年代の頃からアメリカに渡る移民は急激に増えていき、それは1924年頃まで続きました。
アメリカに渡ったユダヤ人の多くがニューヨーク周辺で暮らし、最大のコミュニティーを作り上げるまでになりました。
この頃に迫害を逃れるためにアメリカに渡ってきたユダヤ人達は貧しい人がほとんどで、その生活はニューヨークに行っても変わりませんでした。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』に登場するヌードル達を見れば、彼らがどれほど貧しい暮らしをしていたかが分かります。
その貧しい暮らしの中でブードル達は、お金持ちになってのし上がることを夢見るようになり、そのために悪の世界に足を踏み入れてしまったのです。
1930年代のニューヨークのユダヤ系マフィア
ヌードル達が育った時代は禁酒法時代でもあり、マフィア達はお酒の密造や輸送でお金を設けていました。
マックス達も潜りのバーと言われる「スピークイージー」を経営していました。
この時代地下などにスピークイージーを作り、お金持ちなどはそこに集まりお酒を飲んでいました。
ここでお酒を密売しながら、マックス達は活動していました。
しかしあくまで彼らはユダヤ系のマフィアであり、当時ニューヨークで力を得ていたのはイタリア系マフィアです。
マックスは彼らから仕事をもらいながら、お金を得ていました。
昔はボスはいらないと言っていたマックスが、今では誰かのいいなりになっていたことにヌードルは疑問を感じたのです。
また子供の頃にヌードル達が仕事を得ていた「バグジー」と呼ばれた男は、実在したベンジャミン・シーゲル(バグジー・シーゲル)をモデルにしています。
両親がユダヤ系移民だったバグジーは、ニューヨークで生まれ窃盗などを繰り返しながら力をつけていました。
そしてのちにイタリア系マフィアと知り合うことになり、ラスベガスを作ることになります。
この映画の中ではストリートギャング時代のバグジーが登場します。
映画ではヌードルに殺されてしまうので実話とは違うのですが、「バグジー」という名前を使っていることでバグジー・シーゲルを観客に匂わせているのです。
学びポイント
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』では1920年代にアメリカに渡ってきたユダヤ人や、その子供であるユダヤ系移民の生活を知ることができます。
彼らが貧しい暮らしをしながらも、その中で最大のコミュニティーを築いていった一部を見ることができます。
そしてのし上がるためにマフィアとなるしかなかったヌードル達。
禁酒法時代の中で力をつけながらも、イタリア系マフィアとの力の関係が『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』では描かれていました。