農場で飼われるようになった子豚のベイブ。母親と離れて一人農場にやってきたベイブですが、豚が飼育される意味は1つしかありません。そんなことを知らずに伸び伸びと暮らすベイブ。この映画を見るとしばらくは豚肉を食べたくなくなるはずです。
『ベイブ』作品情報
タイトル | ベイブ(Babe) |
監督 | クリス・ヌーナン |
公開 | 1996年3月9日 |
製作国 | オーストラリア/アメリカ |
時間 | 1時間31分 |
Rotten Tomatoes
『ベイブ』あらすじ
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収穫祭の賞品として農場主アーサーにもらわれた子ブタのベイブ。
牧羊犬の母犬フライはベイブに農場のルールを教えた上、自分の子供たちと同じようにベイブを可愛がってくれる。
牧場に現れた羊泥棒をいち早くベイブが感知した事からアーサーはベイブに羊の見張りをさせようと思いつくが、臆病なベイブには手も足も出ない。
だが心優しいベイブは羊たちにお願いする事で牧羊犬の代わりを見事に果たしたのだ。
フライの夫レックはプライドを傷つけられベイブに辛く当り、フライとの仲も悪くなる。
やがて牧羊犬コンテストの日が迫り、アーサーはなんとそれにベイブを出場させようとするのだが……。
(出典:http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=28622)
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リアルな世界
アカデミー賞視覚効果賞を受賞した『ベイブ』は、動物の動きをCGなどを駆使してリアルに描いた作品です。
動物の表情がリアルに描かれていてほとんど違和感がありません。
だから動物の感情がとてもダイレクトに伝わってきます。
しかし『ベイブ』のリアルさはそれだけではありません。
動物が話すというファンタジー的な作品ではあるのですが、物語はとても現実に忠実に描かれています。
農場にやってきたベイブは、食用の豚です。
クリスマスにはホゲット一家は豚の丸焼きにしようと考えています。
最初は食用という現実を知らなかったベイブでしたが、ベイブは途中でその現実を他の動物から教えられます。
クリスマスではベイブは食べられませんでしたが、代わりにアヒルのロザンナはアヒルのオレンジ焼きにされてしまいました。
飼育されている動物の現実をきちんと描いたことがこの物語をさらにリアルに感じさせました。
動物の可愛さと待っている残酷な運命。
『ベイブ』がベジタリアンやヴィーガンに影響を与える作品になったというのは、映画を見ればすぐに分かります。
やはりこの作品を見た後は、豚肉などを食べたくはありません。
農場の持ち主のアーサー・ホゲットを演じたジェームズ・クロムウェルがこの作品に出演した後ヴィーガンになり、動物愛護活動にせいを出すようになったのは理解できます。
ベイブが教えてくれたこと
牧羊犬ならぬ牧羊豚になろうとするベイブ。
牧羊犬のレックスはそれが面白くありません。
ベイブの母親代わりのフライは、「羊になめられたらダメよ」「言うことを聞かなければ噛めばいい」とベイブに教えます。
牧羊犬たちは羊のことをバカだと思っていました。
一方、羊は時運たちを追いかけて噛む牧羊犬を狼だと思ってます。
しかし羊はベイブに「きちんとお願いしてくれたら言われた通りに動く」と教えてくれます。
脅かして恐怖を与えるのではなくて、きちんと話し合ってお願いすればいいとベイブは学んだのです。
ベイブの誠実さを知って羊はベイブの指示通りに動くようになります。
そしてこれが食用だったベイブの運命を変えることになったのです。
そしてベイブの行動は牧羊犬に対して脅すことしかしなかった、レックスやフライの態度も変化させます。
レックスやフライはベイブを助けるために、羊と初めて向き合って話したのでした。
知らない動物たちばかりの農場一人でやってきたベイブ。
彼は農場で誠実に真面目に生活を送りました。
その誠実さが、他の動物から信頼をうむことになります。
さらに「きちんと話しあう」と言うことを、私たちに教えてくれました。
相手を動かすときは、「目を見てお願いする」そんな当たり前だけど、忘れがちなことをもう一度私たちに思い出させてくれたのです。
まとめ
ファンタジーな動物作品の『ベイブ』ですが、描かれている内容はとても現実的で大きなことを私たちの心に残す作品です。
技術的なことだけでなく、内容的にもとても話題となった作品ということは映画を見れば理解できます。
「可愛い」と思って見始めた『ベイブ』。
しかし見終わる頃には、色んなことを考えさせられます。
子供の頃に見たことある人は、大人になって『ベイブ』を見直すときっと新たな発見があるはずです。