映画『ドライブ・マイ・カー』原作の世界をさらに広げたロードムービー

村上春樹の短編小説を原作にした映画『ドライブ・マイ・カー』は、妻を失った主人公がドライブを通して自分の心の声と向き合う物語ですが、それは原作の短編よりも大きな世界で描かれていました。ここでは原作と比べながら映画『ドライブ・マイ・カー』で描かれる物語を見ていきたいと思います。

目次

『ドライブ・マイ・カー』 作品紹介


ドライブ・マイ・カー インターナショナル版

タイトル ドライブ・マイ・カー
監督 濱口竜介
公開 2021年8月20日
製作国 日本
時間 2時間59分

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原作小説

映画『ドライブ・マイ・カー』の原作は村上春樹の短編小説集『女のいない男たち』の中の同名タイトルの短編小説が元になっています。

さらに『女のいない男たち』の中から、短編『シェラザード』と『木野』からも引用されています。

映画の冒頭で妻が話す「空き巣」の話やさらには「やつめうなぎ」の話は『シェラザード』が元になっていて、また主人公の家福が家に帰り妻の浮気現場を目撃するシーンは『木野』からの引用になっていました。

もちろん主人公の家福やドライバーのみさきの設定は『ドライブ・マイ・カー』が元になっていますが、アカデミー賞で脚色賞にノミネートされるぐらい大きなアレンジが加えられています。

3つの短編を1つの世界として繋げ、さらにはロードムービー的要素で村上春樹の世界を描いたのが映画『ドライブ・マイ・カー』だったのです。

\\原作小説はこちら//

女のいない男たち (文春文庫)

原作と映画の違い

3つの短編を原作とし、その原作に大きなアレンジを加えた映画『ドライブ・マイ・カー』ですが、ここでは原作との違いを比べながら映画で描かれた世界を見ていきたいと思います。

『ドライブ・マイ・カー』の大きな要素の1つである車。

原作の中では「黄色のサーブ900コンバーティブル」でしたが、映画では「赤のサーブ900」になっていました。

録音という技術的な面から屋根のある車にしたらしく、また黄色だと風景の中に溶け込んでしまい目立たないということもあって黄色から赤い車に変えたと監督は語っていました。

その赤いサーブに目が惹きつけられるので、物語の中の「車」の重要性を感じることができました。

また後半で描かれる白い雪の中の真っ赤な車のシーンが、とても印象的で心に強く残っています。

主人公家福の妻は、小説の中では「妻」として描かれていて名前は出てきません。

また「妻」のことは家福の視点からでしか語られていません。

一方、映画では妻には「音」という名前があり、家福と妻の日常生活が描かれています。

このことで観客はそれぞれの視点で「音」の存在を捉えることができるようになっていました。

小説では家福の中だけに存在する「妻」ですが、映画では私たちと同じように日常生活を送っている「音」としてその存在を実感することができます。

だからこそ妻の行動を知った家福の「傷」や「痛み」がリアルに伝わり、またラストの家福が自分自信と向き合った時の言葉が、強く心に響くんだと思いました。

東京・広島

原作の短編『ドライブ・マイ・カー』では東京が舞台となっていましたが、映画では広島が舞台になっていて家福が宿泊した場所は瀬戸内の島でした。

車に乗っている時窓の外の風景が都心ではないことから「旅」を感じさせ、また最後にある場所に車で向かうことでよりロード・ムービー感が強まっていました。

ロード・ムービーには傷ついた主人公が自分と向き合うという物語が多いですが、『ドライブ・マイ・カー』でも家福とドライバーのみさきが車の中で少しずつ心を通わせ、また一緒にドライブすることで2人はそれぞれの過去と向き合っていました。

3つの物語

原作の短編では書かれていない映画の最後の演劇のシーンは、自分の心と向き合った家福やみさきそして私たちへのメッセージになっていました。

それと同時にそのメッセージは「木野」「シェラザード」「ドライブ・マイ・カー」の3つの短編に出てくる登場人物へも向けられていて、原作の中ではあえて書かれていない孤独な彼らへの「希望」となる部分ではないかなと思いました。

まとめ

孤独を感じる主人公たちが自分と向き合うまでを描いた映画『ドライブ・マイ・カー』。

今回は原作の短編と比べることで、物語の世界を見ていきました。

原作よりもドライブを強調したことでより彼らの心の葛藤や苦悩を感じることができるようになっていました。

原作短編集を読んでみるとより映画『ドライブ・マイ・カー』の世界を堪能することができるかもしれません。

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