映画『タイラー・レイク -命の奪還-』父と息子の関係 父親達の償い

誘拐されてしまった麻薬王の子供を、救出するために立ち上がった傭兵タイラー・レイク。命を惜しまず敵に挑み続けるタイラーの心は、自分の息子の死から逃げ出した罪悪感で溢れています。そんな彼が麻薬王の息子を救うことで、自分の過ちを償います。そしてもう1人自分の息子を守るために、命を投げ出す男がいたのです。

目次

『タイラー・レイク -命の奪還-』作品情報

タイトル タイラー・レイク -命の奪還- (Extraction)
監督 サム・ハーグレイブ
公開 2020年4月24日
製作国 アメリカ
時間 1時間56分

Rotten Tomatoes

あらすじ

(引用:MIHOシネマ

父と息子

インドの麻薬王

インドの麻薬王は財産を凍結され刑務所に収監されています。

彼は家に残った息子オヴィのことが心配で部下に息子を守らせていましたが、オヴィは家に1人きりで孤独を感じ家から抜け出してしまいます。

父親のことを嫌っているオヴィ。
自分を物のように扱い、すぐに人を殺してしまう父親のことを許せません。

オヴィは父親が誰かを殺すたびに、「今日父さんは、誰かの父親を殺した」と感じていたのです。

タイラー・レイク

オーストラリアに住む傭兵のタイラー・レイク。

彼には6歳になる息子がいました。
しかし数年前息子はリンパ腫で亡くなってしまいます。

タイラーは幼い息子が病気で苦しむ姿を見続けることができません。
彼は自ら志願してアフガニスタンに出征しました。

子供から逃げてしまったタイラー。
彼は息子の死を看取ることができず、今でもその傷を心に中に負っているのです。

サジュ

インドの麻薬王の手下サジュ。
彼はオヴィのことを守っていましたが、オヴィは誘拐されてしまいました。

サジュは「麻薬王に息子を取り戻せ」と脅されてしまいます。

なんとかしてオヴィを取り戻さないと、自分の家族が麻薬王に狙われてしまいます。
サジュには幼い息子がいます。

彼は息子を守るために命を投げ出し、オヴィを救出に向かったのです。

ダッカの麻薬王

ダッカの街を支配する麻薬王アシフ。
彼は子供にも容赦ない男です。

そんな彼がある日、頭がよく度胸のある子供ファラドを見つけます。
ファラドを気に入ったアシフは彼に銃を持たせますが、アシフに取ってはあくまで部下の1人に過ぎません。

しかも子供であるファラドに対して、期待はしていません。

しかしアシフに声をかけられたファラドは、どうしてもアシフに認めてらおうとします。

ファラドにとってアシフは父親のような存在であり、彼は少しでも父親に認めてもらいたかったのです。

 

 

父親達の償い

息子の死から逃げ出したタイラー。

彼は麻薬王の息子オヴィを救い出しましたがサジュからの入金がなく、オヴィを置いて逃げるように指示されます。

しかし息子から逃げことを後悔しているタイラーは、今度はオヴィから逃げません。
息子への償いのように、何がなんでもオヴィを守ろうとし続けます。

彼はオヴィを家に帰すことで自分の息子への罪を償おうとしていたのです。

さらにタイラーは自分に銃を向ける子供を殺しませんでした。
彼にとって子供が命を落とすことは、どんなことよりも辛いことだったのです。

一方、サジュもまたオヴィを家に帰すことで、自分の息子への償いをしようとしていました。
「いつ帰ってくる?」と息子に聞かれ、「明日の朝には帰る」答えたサジュ。

それは守れない約束でした。
きっとサジュ自身も守れないと分かっていたから、妻と息子に最後の電話をかけました。

そんなサジュは約束を守れない償いとして、なんとしてもオヴィを連れ戻そうとしたのです

オヴィが家に戻れば息子は命を狙われることはありません。

息子から逃げた男、息子との約束を守れなかった男、2人の男は息子への償いとしてオヴィを最後まで守り続けました。
2人にとってはオヴィもまた大切の息子だったのです。

そんな2人の男に守られたオヴィ。
彼は自分の父親のことは嫌いでしたが、タイラーとサジュのことはどんな状況でも信じました。

オヴィには2人の父親としての想いが伝わっていたのです。

まとめ

それぞれの父と息子の関係を描いた映画『タイラー・レイク -命の奪還-』。

誘拐された子供を救出する物語ですが、その裏にはそれぞれの父親の想い、さらには子供の想いが描かれていました。

息子へ償いをする父親達、父親に愛して欲しい子供達、そんな父と息子の物語。

そこには血縁だけでない親子の繋がりがありました。

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