短編映画『隔たる世界の2人』ループから抜け出すその日まで


彼女の家から家に帰ろうとする黒人青年カーター。しかし彼はどんなことをやっても、家の前にいる白人警察官に殺されてしまいます。何度試しても最後には殺されてしまうカーター。彼はいつまで経ってもこのループから抜け出すことができません。それでも彼は決して諦めません。いつかこのループから抜け出せる日を信じて、その日まで諦めずに闘い続けるのです。

『隔たる世界の2人』作品情報

タイトル 隔たる世界の2人(Two Distant Strangers)
監督 トレイヴォン・フリー/マーティン・デズモンド・ロー
公開 2021年4月9日
製作国 アメリカ
時間 32分

Rotten Tomatoes

アカデミー賞受賞
・短編映画賞

あらすじ

一夜をともにした女性の部屋で目覚めたグラフィックデザイナーのカーターは、愛犬の世話をするため自宅へ帰ろうとする。

しかし路上で遭遇した警官メルクに所持品検査を強要され、抵抗すると地面に押さえつけられ窒息死に追いやられてしまう。

意識を失った瞬間、カーターは再び女性の部屋で目を覚ますが、帰ろうとするとやはりメルクに遭遇し、今度は射殺されてしまう。

自分がタイムループにはまり込んだことに気づいたカーターは、メルクに殺される運命からどうにか抜け出そうとするが……。

(出典:https://eiga.com/movie/94802/

抜け出せないループ

ペリーの家から自分の家に帰ろうとする黒人青年カーター。
しかし彼は家を出たところで、白人警察官に押さえつけられてしまいます。

息ができない」と何度も訴えるカーターですが、そのまま彼は亡くなってしまいます。

しかし、目覚めるとペリーの家にいる自分。
彼はもう一度外に出て家に帰ろうとしますが、そこでやはり白人警察官に尋問され、最後には銃で撃たれてしまいます。

何もしていないのに白人警察官に止められてしまうカーター。

・タバコを吸っている
・お金を持っている

どれも普通のことなのに、彼はそれだけで荷物検査を受けることになってしまうのです。

抵抗すれば3人の警察官に抑えるつけられ、逃げようとすれば背後から撃たれ、何をやっても最後は死んでしまいます。

それならば家にいようと決めたカーター。
しかし、突然警察官が銃を向けながら家に入ってきます。

そして武器も持っていないのに、銃で撃たれてしまい結局は同じ結末です。

しかも警察官は突入する家の住所を間違っていました。

絶対に抜け出すことのできないループを繰り返すうちに、カーターは気がつきます。
「彼は俺を殺したいんだ」と。

それでもカーターは諦めずに家に帰ろうとしつづけます。
諦めたらそこで終わりだからです。

いつか家に帰ることができる日まで、彼は何度でも挑戦し続けるのです。
それが彼の闘い、それがBlack Lives Matterなのです。

 

本当にあった事件

カーターが同じ朝をループし続ける世界。
それももちろんフィクションです。

しかしこの映画の中でカーターが体験することは全て、黒人に起こった出来事です。

1番最初にカーターは「息ができない」と言います。
これは2020年5月25日に警察官に押さえ込まれて亡くなったジョージ・フロイドさんが何度も口にしていた言葉です。

不当な取り調べに抵抗すれば、いきなり背後から撃たれます。
突然警察が家にやってきて銃を発砲します。

どれも全て本当にあった事件なのです。

そして最後に、白人警察官による不当な拘束や発砲で亡くなった人の名前と事件が流れます。

彼らは普通に道を歩いていただけです。
普通に家にいただけです。

私たちと同じことをしているだけなのです。

このループから抜け出せる日がくるまで、私たちは彼らの名前を叫び続けなければいけないのです。
絶対に彼らのことを忘れてはいけないのです。

まとめ

今の世の中で黒人が感じる心の中を描いた作品『隔たる世界の2人』。

100年以上経った現在でも、このループが続いているのです。

それでも彼らはこのループから抜け出すために、声を上げ続けています。

遠い異国の話ではなく世界の一員として、私たちもこの問題に向き合わなければいけないのです。