ドキュメンタリー『13th -憲法修正第13条-』形を変えて存在し続ける奴隷制度


リンカーン大統領によって制定された憲法修正第13条。それは奴隷制を廃止する制度でしたが、時代と共に形を変えながらも奴隷制度は続いていました。それは憲法修正第13条は犯罪者には適用されないというに抜け穴があったからです。『13th -憲法修正第13条-』では黒人の自由のために制定された法律が、形を変えながら黒人の自由を奪っている衝撃的な事実に迫っています。

『13th -憲法修正第13条-』作品情報

タイトル 13th -憲法修正第13条-(13th)
監督 エイヴァ・デュヴァーネイ
公開 2016年10月7日
製作国 アメリカ
時間 1時間40分

Rotten Tomatoes

あらすじ

現代の米国の社会問題に、アフリカ系アメリカ人の「大量投獄」がある。

黒人が犯罪者として逮捕されやすい事実を学者、活動家、政治家が分析するドキュメンタリー。

(出典:NETFLIX)

憲法修正第13条

1865年1月31日、下院議会で可決された憲法修正第13条。
翌日リンカーン大統領が署名し正式に制定された法律です。

第1節「奴隷および本人の意に反する労役は、当事者が有罪宣告を受けた犯罪への刑罰の場合を除き、合衆国またはその管轄のいかなる地位域内にも、存在してはならない」
第2節「議会は、この修正条項を適切な法律により、施行する権限を有する」

これによりアメリカの奴隷制度は廃止され、奴隷は自由になりました。

しかしこの憲法修正第13条には1つ大きな抜け穴があったのです。

それは「当事者が有罪宣告を受けた犯罪への刑罰の場合を除き」という文言によって作られました。

憲法修正第13条は犯罪者は適用外なのです。

これにより奴隷制廃止後、大量のアフリカ系アメリカ人が逮捕されることになります。
そして彼らは刑罰という形で、労働さえられることになってしまいました。

それは新しい奴隷制度でもあったのです。

この流れはその後も止まりません。
時代の流れに合わせ形をかえながら、アフリカ系アメリカ人への差別や強制労働は続いていたのです。

植え付けられたイメージ

奴隷制が廃止されアフリカ系アメリカ人は自由になったはずでしたが、人種差別は終わっていませんでした。

そして1915年にアメリカで公開された『國民の創生』はアフリカ系アメリカ人にあるイメージを受け付けることになってしまったのです。


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白人の視点で南北戦争や奴隷解放を描いたこの作品では、黒人は犯罪者だと描かれています。
結果、この作品が大ヒットしたことにより、当時の白人は黒人に対する恐怖心を抱くようになります。

そして彼らは黒人=犯罪者というイメージを持つようになったのです。
またこの映画の影響で「KKK」も復活してしまいます。

『國民の創生』はその後も続く人種差別に大きな影響を与えることになったのです。

形を変えた強制労働

人種差別による暴力が批判されるようになってくると、ジム・クロウ法というわれる人種隔離政策を作り法律的に人種差別を行うようになりました。

バスやレストランの座席トイレや水飲み場など、白人と有色人種によって分けられてしまいました。

その後ニクソン政権〜レーガン政権では、麻薬戦争と称し次々と犯罪者を逮捕していきます。
麻薬を所持していたというだけで大量投獄が行われ、1970年代ごろから急激に受刑者が増え続けたのです。

その頃アフリカ系アメリカ人のコミュニティでは、貧困によるドラッグが蔓延していたことによりたくさんの逮捕者が出ました。
しかも彼らはお金がなく裁判することさえもできなかったのです。

またそのごクリントン政権では、たくさんの法律が作られます。
スリーストライク法や必要的最低量刑法や真実の量刑
これにより凶悪犯罪を3回行った者は終身刑となり、裁判官は減刑できなくなり、また受刑者は刑期の85%を絶対に務めることになりました。

一度刑務所に入るとなかなかそとに出ることができなくなってしまったのです。

さらに連邦犯罪法案が示されます。
法的機関による投獄を強化するこの法案は、警察の権力を煽りさらには警察官の重武装化が起きたのです。

また刑務所が民営化されたことも大量投獄につながります。

そしてその大量投獄の矛先になったのは、アフリカ系アメリカ人だったのです。

植え付けられた犯罪者というイメージと警察の権力、それが黒人の大量投獄につながりまた黒人が警察官に殺されるという事件に関係しているのです。

まとめ

1865年に廃止されたはずの奴隷制度。

しかしそれは現代にも形を変えて残っているのです。

どの時代も司法は白人のためのものでした。

そしてそれが多くの黒人の命を奪うことになってしまったのです。

BLMという運動が起きることになった理由の全てが、『13th -憲法修正第13条-』には詰まっています。