映画撮影のために訪れた髑髏島。地図に載っていないその島には先住民達だけでなく、絶滅した恐竜、巨大な虫そしてキング・コングが住んでいました。先住民に捕まったアンは生贄としてキング・コングに差し出されますが、やがて彼らは絆を深めることに。美女に恋してしまった野獣の物語それが『キング・コング』(2005年)なのです。
『キング・コング』(2005年)作品情報
タイトル | キング・コング(King Kong) |
監督 | ピーター・ジャクソン |
公開 | 2005年12月17日 |
製作国 | アメリカ/ニュージーランド |
時間 | 3時間7分 |
Rotten Tomatoes
[box class=”red_box” title=”アカデミー賞受賞”]・視覚効果賞
・音響編集賞
・録音賞[/box]
あらすじ
(引用:MIHOシネマ)
美女と野獣の物語
髑髏島に住む野獣キングコング。
その島に人間が踏み込んだために、野獣は1人の美女と出会い恋に落ちてしまいました。
先住民達がキングコング生贄として差し出す人間。
それはキングコングが先住民と共存する印でもあり、またキングコングが先住民の暮らしを守るためのものでもありました。
今回野獣の生贄になったアナ。
彼女は突然仕事を失うなど今までうまくいかない人生を送っていました。
そんな彼女がやっと手にしたチャンス。
彼女は女優として撮影に挑みますが、彼女の前に現れたのはキングコング でした。
しかし彼女はキングコングに連れ去られ追い詰められた後、なんとキングコング の前でコミカルなダンスを踊って見せます。
今まで舞台でやってダンスを踊ったのです。
それに夢中になったのがキングコング。
キングコングにとってこの時点でアンは生贄ではなくなっていました。
彼女と楽しい時間を過ごし彼女を笑顔にしたいキングコング でしたが、その方法が分からずつい彼女の前で叫び声を上げてしまいます。
驚いたアンの表情を見てすぐに反省しますが、その気持ちをどう伝えたらいいのか分かりません。
そんなキングコング の姿は、恋する女性に自分の気持ちをうまく伝えられずにいる人間にみえます。
キングコングは初めて愛した1人の女性。
キングコングはそのためには傷つきながらも恐竜と戦い彼女を守ります。
そして彼女に島から見える美しい景色を見せてあげました。
アンとキングコングが寄り添いあいながら眠る姿は、気持ちが通じ合った者同士のようでした。
しかし人間のエゴが彼らを引き裂きます。
捕らえられてNYに連れて行かれてしまったキングコングは、最後まで自分の純粋な気持ちを貫き通します。
キングコングはただアンと一緒にいたかっただけ。
そんなキングコング の悲痛な想いが、エンパイアステートビルでアンを見つめる悲しい目に描かれていたのです。
美女と野獣の物語は映画のような結末を迎えず、野獣は美女を残しそのまま旅立ってしまったのでした。
誘惑
映画監督カールの乗り込んだ船の船員ジミー。
彼はいつも『闇の奥』を読んでいました。
ジョゼフ・コンラッドが書いたこの小説は、川を登りアフリカの奥地を進む主人公の姿が書かれています。
この小説をジミーは「ただの冒険小説ではない」と言いますが、まさにその通りで人間の心の闇が描かれた物語でもあります。
物語の主人公が川を進み続けるのは「心の声が誘うからだ」とジミーの憧れでもるへイズは言っています。
そしてこの『キング・コング』に登場する映画監督のカールもまた、その心の声に誘われてこの髑髏島にやってきました。
さらに彼はこの島を目にした途端、絶対に映画を撮ると決めます。
どんなに危険なことが起きても、仲間が死んでも映画を撮ることを諦めませんでした。
彼は自分の心の誘惑に勝てなかったのです。
そして最終的にはキングコングを捕まえてNYに連れて行ってしまいました。
カールにはお金儲けのことしかなかったのです。
結局それが多くの人を危険に晒してしまいます。
そして何よりもキングコングの命を奪ってしまったのです。
彼の行為は自然というものを全て壊してしまいました。
髑髏島に向かい、先住民達を傷つけ、先住民の神であるキングコングを拐い、死なせてしまったのです。
カールは最後に「美女が野獣を死なせた」と言いますが、野獣を死なせたのは彼の欲望・彼の心の闇だったのです。
まとめ
髑髏島で出会ったキングコングと1人の女性アン。
それはまさに美女と野獣でした。
やがてキングコングとアンは心を通わせますが、キングコングに待っていたのは悲恋でした。
多くの人の命を奪いNYを破壊したキングコングですが、その心は誰よりも純粋で美しかったのです。