第一次世界大戦で激戦地と呼ばれるソンムで戦いに参加したトールキン。彼が見た戦場はあまりにも悲惨な状態で、火を吹くドラゴンがい人々に襲いかかるようでした。そんな戦争経験が気かっけとなって誕生した『ホビット』。それは彼と親友達との不滅の友情の印でもありました。彼は仲間と誓った「芸術で世界を変える」という約束を果たしたのです。
『トールキン 旅のはじまり』作品情報
タイトル | トールキン 旅のはじまり(Tolkiene) |
監督 | ドメ・カルコスキ |
公開 | 2019年8月30日 |
製作国 | アメリカ |
時間 | 1時間52分 |
Rotten Tomatoes
あらすじ
(引用:MIHOシネマ)
ソンムの戦い
1914年8月3日、イギリスはドイツに宣戦布告し戦争に突入しました。
『トールキン 旅のはじまり』の中でもその様子は描かれています。
トールキンは大学構内でこのニュースを聞きました。
ドイツとフランスはすでに戦争を始めていましたが、イギリスは中立の立場をとっていました。
しかしドイツ軍がベルギーに侵攻したことで、イギリスは宣戦布告したのです。
1914年に始まった第一次世界大戦は1918年まで続く戦いとなります。
その中で激戦地との1つと言われていたのが、トールキンの向かったソンムでした。
ドイツ軍と連合軍はフランスとドイツ(ドイツ軍の占領したベルギー)の間に塹壕を掘り、戦いを行っていました。
最初はドイツ軍有利に進んだ戦いでしたが、やがてフランス軍がドイツ軍に勝利を収めると戦いは膠着状態に入ります。
そんな中1916年にソンムで激しい戦いが行われました。
それがトールキンが参加し戦いでソンムの戦いと呼ばれています。
塹壕を掘った両軍がその間を進みながら敵の塹壕に向かって走り続けます。
しかしその間は激しい銃撃戦が繰り広げられていて、一歩踏み出せば銃弾にあたり死んでしまうほど危険な状態でした。
さらにドイツ軍は毒ガスを使用します。
第一次世界大戦は初めて化学兵器が使われた戦いでもあります。
このソンムの戦いでは両軍合わせて100万人以上の犠牲者が出たと言われていて、それほど激しい戦地でした。
兵士として戦いに参加したトールキンが見た世界、そこは地獄のような場所です。
トールキンには炎を吐く戦車はドラゴンのように見え、黒い煙は怪物のように見えたのです。
そしてその状況をトールキンは決して忘れることができなかったのです。
ホビット
1937年に出版されたトールキンの『ホビット』。
これは彼が経験したソンムの戦いと、彼の親友達と過ごした時間から作られた物語でした。
ホビットが冒険する世界、それは彼が戦地で見た恐ろしい世界が元になってします。
そしてその恐ろしい世界を旅する旅の仲間達。
それはトールキン、ジェフリー、ロバート、クリストファーの4人のことでもありました。
トールキンはこの物語で描かれる旅を「自らを証明する旅」と説明しています。
そして「仲間の物語」とも。
『ホビット』はトールキンにとって、4人の物語だったのです。
秘密結社を作りほど仲の良かった4人。
そこで4人は芸術について語り合いました。
「芸術で世界を変える」と誓い、日々芸術について語り合いました。
4人のうち2人は戦争でなくなり、1人は戦争によりPTSDを患ってしまいました。
3人の叶えられなかった夢をトールキンがみんなの代わりに叶えます。
彼はこの『ホビット』を出版することで、世界を変えたのです。
この作品でトールキンはファンタジー作家として有名になります。
ちなみに「ホビット」という言葉はトールキンが作った言葉です。
映画の中でもトールキンが言語を創作するのが得意だった描写が描かれていました。
そしてその後、1954年には『ホビット』の続編にあたる『指輪物語』を出版したのです。
まとめ
芸術を愛した仲間との友情、そしてその友情を引き裂いた悲惨な戦争。
その経験がトールキンの『ホビット』と『指輪物語』を作り出しました。
物語の仲の仲間達との友情、それはトールキン達4人の絆でもありました。
そして彼は仲間との約束を守り、ファンタジー作家として芸術で世界を変えたのです。