夢の世界を他人と共有できたら!そんな世界を想像して科学者が作り出した夢を共有することができる装置DCミニ。精神医療総合研究所の所長はその装置を使ってサイコセラピーを行おうと考えていました。しかしある日、その装置が盗み出されてしまいます。犯人はなぜ開発途中の装置を盗み出してしまったのか?そこには夢の番人になろうとした男の野望があったのです。
『パプリカ』作品情報
タイトル | パプリカ |
監督 | 今敏 |
公開 | 2006年11月25日 |
製作国 | 日本 |
時間 | 1時間30分 |
Rotten Tomatoes
あらすじ
(引用:MIHOシネマ)
夢の共有
「友達の夢を自分の夢のように見られたら」
「同じ夢を一緒に共有できたら」
そんな思いから作られた夢を共有する装置DCミニ。
まずはその装置を使ってサイコセラピーを始めることから動き出しました。
しかし開発中のDCミニは制御装置をつけておらず、DCミニを使えばどこからでもDCミニを使用している人の夢に入り込むことができてしまうのです。
そんな中、ある日盗まれてしまったDCミニ。
盗んだ犯人は装置を使って、他人の夢に入り込みそこに悪夢を投射していたのです。
なぜ犯人は、こんなことをしたのか?
それは夢を守るためだったのです。
犯人は非人間的な現実の中で、夢の世界だけが人間らしいものとなった今、その夢の領域に科学が入り込むことを許せなかったのです。
犯人は夢の番人となり、夢を守ろうとしていたのです。
しかしそれは逆に、盗んだ夢・作られた夢の世界で人間を支配することになってしまうのです。
犯人だった理事長の部下だった小山内。
彼は現実世界では自分が他人を支配できないために、夢の中で人を支配しようとします。
犯人の理事長は現実世界では車椅子の生活で、不自由な暮らしを送っていました。
しかし彼は夢の中では立ち上がることができます。
そしてその夢を現実にすることで、彼は世界を自分の思うままにしようとしたのです。
「夢を共有できたら素敵」。
そんな些細な考えが、とんでもない人間の行動を引き起こしてしまったのでした。
捨てた夢
私たち人間が見る「夢」。
それは眠りについた時に見る「夢」と将来の自分を思い描く「夢」があります。
17歳の頃映画監督になりたかった粉川警部。
しかしいつしか彼はその「夢」を捨て大人になりました。
折り合いをつけて諦めたはずの「夢」。
あの頃の若い自分を殺して大人になった警部でしたが、心の奥ではその「夢」を諦めきれずにいました。
彼は「夢」を諦めたことよりも、あの頃の自分を殺してしまったことに傷を負っていたのです。
だから大人になった彼は映画を見ることができなかったのです。
そんな心の治療のためにパプリカが入り込んだ警部の夢。
そこは映画に溢れていました。
[box class=”red_box” title=””]『地上最大のショー』
『類人猿ターザン』
『ローマの休日』[/box]
そこには若い頃彼が夢中になった映画がたくさんありました。
それを封印して忘れたことのようにしていた警部は、自分の夢と向き合ったことで「夢」を諦めた自分を始めて許すことができました。
映画監督にはなれなかったけど、あの頃作った刑事映画のような刑事になった警部。
自分の過去と向き合い、警部なりに自分の「夢」に決着をつけたことで、彼はトラウマを克服したのです。
彼なりの夢の決着の付け方。
その1つは「夢」の中で映画を作り上げることでした。
現実ではできないことができるのが夢の世界。
それが「夢」の楽しさの1つでもあるのです。
そこは決して現実世界から逃げ出した人が悪れる場所ではありません。
自分の夢を実現したり、SFやファンタジーの主人公になったり、現実ではできないことを楽しむ空間なのです。
だからきっと時田君は、そんな楽しい「夢」と共感できたら素敵だと考えたのです。
まとめ
「夢」は楽しい空間だと思い、夢を共有できる装置を作った科学者。
しかし「夢」を楽しいものではなく、現実逃避する場所だと考える人もいたのです。
そんな隠れ家を科学で犯されたくなかった犯人は、自分が支配できる世界を作ろうとしました。
「夢」に対する思いは、人それぞれ違います。
きっと「夢」は共有するものではなく、個人で楽しむのが1番なのかもしれません。