『映画で未来を変えようよ 〜大林宣彦から4人の監督へのメッセージ〜』大林監督が残したメッセージ

2020年4月10日に亡くなった大林宣彦監督。映像の魔術師として自由で遊び心満載の映画を作ってきた監督でしたが、晩年は一貫して戦争をテーマに映画を作り続けました。そんな大林監督が岩井俊二・手塚眞、犬童一心、塚本晋也の4人に監督に残したメッセージ。大林監督は何を4人に伝えようとしたのでしょうか?そして4人は何を受け取ったのでしょうか?

目次

『映画で未来を変えようよ 〜大林宣彦から4人の監督へのメッセージ〜』

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2020年に亡くなった大林宣彦監督。

次代を担う4人の監督に遺言とも言える言葉を残していた。

彼らに託したもの、遺作にこめた願いとは。映像の魔術師のラストメッセージ 最新作「海辺の映画館」を完成させながら、2020年4月10日に亡くなった大林宣彦監督。

死の直前、岩井俊二、手塚眞、犬童一心、塚本晋也の4監督に遺言とも言える言葉を残した。

東日本大震災を転機に、一貫して「戦争」をテーマに映画を作り続けた大林監督。

この間に交流を深めていったのが4人の監督だった。

ガンと闘いながらの晩年の撮影現場と、未来を託した4人のインタビューから、大林監督が伝え残そうとしたものを探る。

(出典:https://www.nhk.jp/p/bs1sp/ts/YMKV7LM62W/episode/te/KXMNYW292X/)

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大林宣彦監督

2020年4月10日に82歳で亡くなった大林宣彦監督。
この日は監督の遺作となってしまった『海辺の映画館―キネマの玉手箱』の公開予定の日でもありました。

しかしコロナの影響で延期になってしまい、4月10日に映画は公開されず7月31日に延期となりました。

大林監督が『海辺の映画館―キネマの玉手箱』の公開予定日に亡くなったことは偶然でありながらも、そこに監督の強いメッセージが込められているようにも感じてしまいます。

自主映画の先駆者と呼ばれる大林監督は、たくさんの自主映画を制作し、そして1977年『HOUSE』で長編映画監督デビューを果たします。

遊び心満載の映像表現で映画を撮り続けた監督は、やがて映像の魔術師と呼ばれるようになり多くの若者を熱中させました。

そんな大林監督でしたが、2011年3月11日に起こった東日本大震災とそれに伴う原発事故を経験したことで、晩年は「戦争」をテーマにした作品を作り続けることになります。

映画で過去の戦争の歴史を変えることはできないけど、未来の平和を手繰り寄せることはできると考えた大林監督。

「日本の敗戦の記憶」を映画という面白いメディアの中に託して、楽しく大事なことを学ぶことができるという思いで戦争がテーマの映画を撮りました。

監督は映画を使いながら「過去」を「未来」を生きる人たち伝えていこうとしていたのです。

大林監督から4人の監督へ

亡くなる数日前に4人の監督の名前を口にしたという大林監督。
[box class=”red_box” title=””]・岩井俊二
・手塚眞
・犬童一心
・塚本晋也[/box]

大林監督はこの4人の監督に映画監督としてのメッセージを託しました。

岩井俊二監督

岩井俊二監督は「力を持った人たちが戦争したいと思えば始まってしまう時代だ」と語り、「ものを作る側としては目を背けてはいけない」ということを大林監督から教わったと言っています。

大林監督の「次頼むよ」というメッセージを受け取ったのです。

手塚眞監督

大林監督の遺作『海辺の映画館―キネマの玉手箱』に小津安二郎役で出演した手塚監督。
監督は、大林監督から映画監督としての意識を受け継いでほしいという思いを感じたと言っています。

しかしそれと同時に、5年10年経ったら大林監督の残した本当のメッセージの意味が理解できるのではないかとも考えているようです。

犬童一心監督

犬童監督も大林監督の遺作『海辺の映画館―キネマの玉手箱』に出演していた、監督は映画の中で山中貞雄監督を演じていました。

犬童監督は戦病死した山中監督を演じたことで、「戦争」によって映画作家がいなくなるということは、できるはずだった作品が全部消えてしまということだと感じていました。

大林監督の背中を見てきた犬童監督は、迎合せずに自分の中にあるものに準じて映画を作ろうという決意をしています。

塚本晋也監督

大林監督は塚本監督のことを「戦後の監督」ではなく、新しい戦争がくるのを止める「戦前の監督」と表現していました。

『野火』を作った塚本監督は、「必要にかられて、やむにやまれぬ気持ち」で『野火』を作っています。

大林監督の「戦争」のテーマを受け継いだ塚本監督は、大概のことではくじけちゃいけないという大林監督からの強い励ましを感じ取っています。

まとめ

映像の魔術師大林宣彦監督。

彼は晩年未来への不安を感じると同時に、未来を楽観視してきた自分への戒めとして「戦争」がテーマの作品を作り続けました。

そしてその監督の思いを託された4人の映画監督。

大林監督からのメッセージを受け取った4人の監督は、今後どのような作品を作り観客に何を訴えるのか。

今後の4人の監督の作品が楽しみでもあります。


A MOVIE 大林宣彦、全自作を語る (立東舎)

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