1969年サウスカロライナの田舎町で育ったベティ。彼女は美しい自然に囲まれた中で育ったでティだが、南部特有の閉塞感の中で息苦しさを感じていました。そんな彼女にとってNYで暮らすフランクおじさんだけが、自分の理解者で味方でした。それから4年後。叔父さんの住むNYに向かったベティは、苦しむ叔父さんを目撃することになったのでした。
『フランクおじさん』作品情報
タイトル | フランクおじさん(Uncle Frank) |
監督 | アラン・ボール |
公開 | 2020年11月25日 |
製作国 | アメリカ |
時間 | 1時間35分 |
Rotten Tomatoes
あらすじ
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1973年、フランク・ブレッドソーと18歳の姪ベスは、マンハッタンからサウスカロライナのクリークビルへの車の旅に出る。
父親の葬儀に出席するためだ。
図らずもフランクの恋人ワリードも途中から旅に加わることになる。
(出典:https://www.amazon.co.jp/dp/B08NWD8LQW)
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人生は自分次第
アメリカ南部のサウスカロライナ州の小さな田舎町で暮らすベティ。
大家族に囲まれて暮らすベティは、どこか閉塞感を家の中に感じ自分の居場所を見つけられずにいました。
父親は厳しく、さらに祖父はそれ以上に保守的な男性でした。
そんな生活の中でベティは都会に憧れますが、きっと自分はこの町で生きていくんだと思ってしました。
どこか自分の人生を諦めた感じが漂うベティに、NYで暮らすフランクおじさんは「どんな人間になるかは他人でなくて自分が決める」とアドバイスします。
ベティが自分の名前が嫌いと言えば、名前を変えればいいと気軽に言うのです。
そんなおじさんの「人生は君次第。自分で決める」と言う言葉を受けて、ベティは自分の名前をベスに変えました。
都会で自由に生きるフランクおじさんに憧れたベスは、4年後叔父さんの住むNYに向かいます。
そして新しい人生を踏み出そうとするのですが、ベスはNYで初めておじさんの抱える悩みを知ります。
フランクおじさんはゲイだったのです。
NYで楽しく恋人と暮らすおじさんを見てベスはおじさんに理解を示しますが、ある日フランクおじさんとベスは実家に帰省することになってしまったのです。
そしてその途中自由に生きていていると思っていた叔父さんの苦しみや悩む姿を見ることになってしまったのです。
「人生は自分次第」とアドバイスをくれたフランクおじさんは、自分の人生に悩み続けていたのです。
それでもベスはフランク叔父さんを応援し続けます。
彼がベスを信じてくれたように、今度はベスが叔父さんを信じ見守り続けたのでした。
自分の居場所
家の中に自分の居場所を見つけられなかったベスですが、実はベス以上に居場所を見つけられなかったのはフランクおじさんでした。
ゲイであることを家族にひた隠しにするフランクおじさん。
保守的な南部でクリスチャンの父親は息子がゲイであることを認めません。
居場所を失いNYに向かったフランクおじさんでしたが、実は彼自身が自分の居場所を壊していたのです。
そして故郷から逃げ出してしまいました。
彼は父に認めてもらえなかったこと、家族にカミングアウトできないこと、それよりも自分自身の中にもっと深い闇を抱えていました。
16歳の時に愛した恋人サム、サムはフランクおじさんに「変態」と言われて自殺していたのです。
父親が自分に向かって言った言葉をそのまま、恋人に向かって言ってしまったのでした。
その16歳の時の事件がフランクを苦しめ続け、故郷から遠ざけていました。
それでも今の恋人ウォーリーとベスに支えられ、自分の過去を受け入れそして許したフランクおじさん。
彼はやっと家族の中に居場所を見つけました。
あれほど家の中に居場所がないと思っていたフランクでしたが、家族は彼を認めて受け入れてくれました。
もちろん中には彼のことを受け入れられない人もいましたが、それでも彼は家族と初めて向き合うことができたのです。
居場所がないと思っていた場所は、1番自分のことを暖かく包んでくれる場所だったのです。
まとめ
ゲイの自分は家の中に居場所がないと思っていましたが、自分の居場所を作っていなかったのは自分自身でした。
どんな場所よりも自分のことを暖かく受け入れてくれた場所は、自分が逃げ続けていた場所だったのです。
美しい南部の田舎風景とラストで見せた家族の美しい笑顔。
それが重なった時、全てが暖かいものに包まれてキラキラしていました。
そんな心が暖かくなる映画がこの『フランクおじさん』です。