映画『ザ・ファイブ・ブラッズ』憎しみだけが残る戦争 何十年経ってもその傷は消えない


ベトナム戦争中に埋めた金塊を探しに再びベトナムの地に足を踏み入れたベトナム帰還兵の4人。4人はそれぞれが戦後色んな問題と戦いながら歳をとっていました。人種差別だけでなく帰還兵という差別も受けた4人。彼らの人生は常に差別との戦いでした。そんな4人はベトナムに戻ったことで、もう一度自分の人生を振り返ることになるのです。

『ザ・ファイブ・ブラッズ』作品情報

タイトル ザ・ファイブ・ブラッズ(Da 5 Bloods)
監督 スパイク・リー
公開 2020年6月12日
製作国 アメリカ
時間 2時間34分

Rotten Tom

あらすじ

ポール、オーティス、エディ、メルヴィン の4人のアフリカ系退役軍人たちが、戦死した隊長 の亡骸と埋蔵金を探すために再びベトナムを訪れる。

父の身を案じるポールの息子も加わり、自然の猛威や人間からの攻撃に晒されながら、消えることのないベトナム戦争の記憶と向き合っていく…。

(出典:https://www.youtube.com/watch?v=B_5Gqi6otlI)

黒人兵士にとってのベトナム戦争

ベトナム戦争中、CIAの輸送機を探していたノーマンが率いるグループ。
彼らはCIAが先住民に渡そうとした金塊を見つけることがミッションでした。

ノーマン達は金塊を見つけることにしましたが、それをあえて埋めることにします。
そして戦争後金塊を回収しにこようと計画を立てていたのです。

彼ら5人は決して金塊を盗んで自分のために使おうとしたわけではありません。
彼らはその金塊を自分たちの同胞のために使おうと考えたのです。

彼らが金塊を見つけたのは1968年頃。
その頃アメリカではキング牧師が暗殺され、ベトナムでそのニュースを聞いた5人もひどく悲しみました。
自分たちはアメリカのために戦争しているのに、母国ではたくさんの同胞が人種差別を受けれいるのです。
彼らはそんな同胞のためにお金を使おうとしたのでした。

母国では多くの同胞が命を落とし、ベトナムでは先頭に立たされるのは黒人兵士。
5人はそんな現状の中にいて、彼らなりの戦いをしようとしていたのです。

そして彼らは金塊を埋めてノーマン以外の4人はアメリカに戻って行きました。
しかしそこで彼らを待ち受けていたのは、平穏な人生ではなかったのです。

ベトナム帰還兵という差別も受け、さらに人種差別も続きます。
彼らの「映画『ランボー 』はハリウッド産偽ベトナム映画だ」というセリフが、ベトナム帰還兵が経験した事実を語っています。
またベトナムにはアメリカ兵の捕虜はいないということに対して、皮肉を込めたセリフにもなっていました。

またポールが「もう騙されない」という言葉を何度も口にするのは、それだけ彼が黒人として騙され続けてきたからです。
だから今のアメリカが嫌になったポールは、トランプ大統領を指示したのです。
自分の人生を変えてもらうために。

さらにポールはPTSDに苦しめられていました。

ベトナム戦争は終結しても彼らの戦いは終わっていなかったのです。
4人はそれぞれがいろんな戦いを続けていたのでした。

ベトナム人にとってのベトナム戦争

ベトナム帰還兵4人が戦争後も苦しんでいのと同じようにベトナム人も苦しんでいました。

アメリカ人が「ベトナム戦争」と言いますが、ベトナム人にとってみれば「アメリカ戦争」なのです。

北と南で家族が敵と味方に分かれて戦ったり、米兵の子供をうんだベトナム人女性もいました。
彼らの苦しみは戦争が終わっても続きます。
憎しみあったり敵国の子供を産んだとして差別されていたのです。

しかもポール達が自分たちの同胞が殺されていると怒りを抱えるように、ベトナム人にとってもソンミ村の虐殺事件は怒りなのです。
彼らにとっても仲間や大切な家族が殺された忘れられない許せない事件なのです。

戦争が終わって何十年も経つのに、それぞれの心の中には「怒り」が残っています。
戦争はそれほど憎しみをあてえる出来事なのです。

ノーマンが「戦争は金」で「金は戦争」と言いますが、物語も彼らの探す金塊をきっかけに戦争が始まります。
そしてそこにはベトナム戦争が残した憎しみもあったのです。

さらにそこにフランス人も加わってきます。
フランス人のヘディは「私たちの国が戦争のきっかけを作った」と口にします。
彼女はその罪悪感からベトナムで地雷処理を行っていました。

ベトナム戦争は様々な人に影響を与え、そして今もなお彼らを苦しめているのです。
そしてその爪痕は世代を超え伝わります。

それはベトナム戦争だけでなく、BLMも同じなのです。

まとめ

ベトナム戦争と人種差別によって苦しめられたベトナム兵士の物語を描いた映画『ザ・ファイブ・ブラッズ』。

教科書では知ることのできない、黒人兵士の心の中を覗くことができる映画です。

そしてさらにベトナム人の苦しみを描くことで、戦争は憎しみしか生まないことを実感させられます。

ポール達にとってはそればベトナム戦争い前からずっと続くBLMでもあったのです。