映画『もう終わりにしよう』それは誰にでも起こりうる世界を描いた物語だった

理解不能映画『もう終わりにしよう』。Netflixで配信されると色んな意味で話題になりました。最初に登場するカップルの物語かと思うと、映画は全く違う方向に進んでいきます。そしてだんだんこの作品の真実がわかってくるのですが。。。そしてそれは映画好きにとって厳しい言葉を投げかけてくる作品でもありました。

目次

『もう終わりにしよう』作品情報

タイトル もう終わりにしよう(I’m Thinking of Ending Things)
監督 チャーリー・カウフマン
公開 2020年9月4日
製作国 アメリカ
時間 2時間14分

Rotten Tomatoes

あらすじ

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付き合い始めたばかりの彼ジェイク と内心ではもう別れを考えているものの、相手の両親に会うため、長距離ドライブで彼の実家の農場までやってきた主人公の女性 。

吹雪のせいで帰るに帰れなくなった彼女は、彼の母親 、父親 と時間を過ごす内、彼のこと、自分自身のこと、果てはこの世界のすべてに対する確信が揺らいでいく…。

(出典:https://www.youtube.com/watch?v=PTo0VC1vvtM)

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物語の主人公

恋人に「もう終わりにしよう」と告げようと決めている女性。
そんな女性が恋人と恋人の実家に向かうところから始まる映画『もう終わりにしよう』。

男女の物語かなと思いながら見ていると、全く違う作品でした。

彼氏の家に着いた時からなんだか物語の様子がおかしくなります。

家族の不気味さもそうでしたが、何よりも主人公と思っていた女性の名前が毎回違うのです。
「なんで?」と思いながら見続けるとその答えは、映画の中盤に解けます。

この映画全てジェイクの見ていた妄想だったのです。

勝手に女性が主人公だと思いながら映画を見ていましたが、主人公は男性のジェイクの方でした。

しかも現実のジェイクはかなり歳をとっています。
物語に登場する女性はジェイクが作り出したものでした。

だから女性の名前が毎回変わります。

妄想したことある人なら分かりますが、妄想ってその時によって場面も名前も変わりますよね。
だって自分が好きに作れる世界だから。

この映画「妄想」だと別れば理解できますが、それにしてもラストには悲しい現実が待っていました。

隠されたヒント

映画の中に今見ているのは妄想だと分かるシーンや会話がいくつか隠されていましたが、私が1番心に残ったのは映画について語るシーンです。

ジェイクが「多分僕は映画の見過ぎだ」と言います。
「嘘で脳を満たせばあっという間に時が過ぎる」とジェイクは言いました。

これに対して彼女は「世の中の病よ」と返します。
彼女は「ウイルスね」と言います。

これは映画好きからしてみれば結構きついシーンでした。

さらに彼女は続けます。
どんなひどい映画でも、脳の中で成長して自分の思考と入れ替わってる」と。
そして「だから危険なの」と締めくくります。

ジェイクのように妄想だけで生きてはいませんが、映画を見てその世界観を夢見ることはたくさんあります。
そしてその妄想世界に自分を登場させることもしばしば。

きっと映画好きの人は一度は経験あるはずです。

しかしその世界から抜け出せなくなったら。
そんなことを言っているシーンに私は見えました。

そして自分自身への「気をつけろよ」という警告のようにも感じてしまいました。

ジェイク

映画好きで本好きのジェイク。
会話からしてもたくさんの映画を見て、本を読んでいるようです。

そんなジェイクはどうやら子供の頃いじめられっ子のようでした。
女性にはモテなかったのは事実です。

しかも幼い頃ジェイクは両親の不仲にも気が付いていたようです。

きっとそんなジェイクはいつしか妄想に逃げ込んだのでしょう。
そしてその妄想から抜け出せなくなったのかもしれません。

「ジェイクは友達が少なかった」とジェイクの母親は言います。
友達のいないジェイクにとって、妄想の中が自分の居場所で妄想の中の人物が友達でした。

しかしそれは子供の頃だけではなく大人になっても続きます。

ジェイクに待っていたのは厳しい現実でした。

[box class=”black_box” title=””]「僕らの世界は思いやりを欠いている」
「他人の苦しみに同情しようとする意志に乏しい」[/box]

そんな社会に対してジェイクは「絶望」を感じていました。

さらにそこに自分の老いが加わります。
ジェイクはますます絶望を感じ、そろそろ決断を下す時だと思い始めていたのでした。

彼に投げられてきたいくつもの甘い言葉
[box class=”glay_box” title=””]・好転する
・手遅れじゃない
・年齢は単なる数字だ
・夜明け前が1番暗い
・どんな雲にも銀の裏地がある
・誰にでも運命の人がいる[/box]

それは全てまやかしでした。

そんなジェイクが「もう終わりにしよう」と決めたのが、映画『もう終わりにしよう』でした。

まとめ

難解と言われた映画『もう終わりにしよう』。

何度も見直すうちにこの映画の世界が見えてきます。

それと同時にこの映画の結末の悲しさが伝わってきます。

現実に疲れてしまったジェイク。

妄想ばかり見ていた自分の人生を振り返り、そして1つの決断を下しました。

それが「もう終わりにしよう」だったのです。

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