映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』父と娘とゾンビ 1番怖かったのは人間だった


今までのゾンビを覆す『新感染 ファイナル・エクスプレス』。とにかく速い。死んでからゾンビになるまでも、ゾンビになったも速い。すごいスピードで追いかけてくる感染者。その中娘を必死で守ろうとする父親。恐怖を目の前にしてやっと父親らしくなれた主人公。ゾンビ映画の中で描かれたのは父と娘の物語でもあった。

『新感染 ファイナル・エクスプレス』作品情報


新感染 ファイナル・エクスプレス [Blu-ray]

タイトル 新感染 ファイナル・エクスプレス(부산행
監督 ヨン・サンホ
公開 2017年9月1日
製作国 韓国
時間 1時間58分

Rotten Tomatoes

あらすじ

ソウル発プサン行きの高速鉄道KTXの車内で突如起こった感染爆発。

疾走する密室と化した列車の中で凶暴化する感染者たち。

感染すなわち、死。

そんな列車に偶然乗り合わせたのは、妻のもとへ向かう父と幼い娘、出産間近の妻とその夫、そして高校生の恋人同士・・・

果たして彼らは安全な終着駅にたどり着くことができるのか?

目的地まではあと2時間、時速300km、絶体絶命のサバイバル。

愛するものを守るため、決死の闘いが今はじまる。彼らの運命の行き先は・・・。

(出典:http://shin-kansen.com/about/)

父の成長物語

列車という密室の中に閉じ込めれてしまった主人公親子。
隣の車両から感染者が迫ってくる。

そんな中父は娘を守れるのか?

パパはいつも自分のことばかり考えている」と娘に言われてしまった父親。

ファンドマネージャーの父親は仕事が忙しく、娘との時間が過ごせない。
彼はいつも仕事優先。
お金を儲けることが1番なのだ。

娘の発表会は行かず、娘の誕生日にはこどもの日にあげた物と同じ物をプレゼントしてしまうほどのダメ父だ。

しかも娘がお年寄りに席を譲ったら「二度とするな」というとんでもない父親。
自分達が良ければそれでいいのが、この父親だった。

しかも自分と娘だけ助かろうと、大尉に電話し手を回す。
そんな父親見て娘は、父を突き放した。

娘に言われた強烈な一言でやっと目が覚めた父親。
しかし娘と離れ離れになってしまう。

娘のために必死で感染者(ゾンビ)と戦いながら、進む父親。
やっと父親らしい精悍な顔つきになっていた。

さらにこれから父親になろうとしている男に「父親ってのは文句言われても犠牲になるもんだ」と教わる。

そして父親はこの言葉わ最後に実践する。
感染してしまった父親は「離れたくない」とないと泣き叫ぶ娘を残し、列車を飛び降りた。
娘のために父親として犠牲になった。

自分は初めて父親になった時のことを思い出しながら。

そんな想いは娘に伝わった。
発表会で歌えなかった父のために歌。
それをトンネルの中で歌った。
その歌が、娘に命を救った。
父は死んでからも娘を救った。

そんな父と娘の物語、父親としての成長物語が『新感染 ファイナル・エクスプレス』だ。

新たなゾンビ映画の誕生

コメディでもパロディでもないゾンビ映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』。

この作品は新たなゾンビを作り出した。
ゾンビといえば、ゆっくり歩いてくるのがお決まりだった。

しかし『新感染 ファイナル・エクスプレス』のゾンビは速い。
噛まれてから感染するまで速い。
そして何より足が速い。

足が速すぎてゾンビ同士がぶつかってこけるほどだ。

ほとんんど助かる見込みがないのが、このゾンビだった。
見えないと動きを止め音に反応するのは今までのゾンビと同じでも、このスピードでは希望の光はみえない。

そんな中生き残った妊婦と娘。
彼らに希望はあるのか?

この先平和な世界が待っているとはどうしても思えない。

そんな恐怖を感じてしまうのが『新感染 ファイナル・エクスプレス』でもあった。

ゾンビ=人間

ゾンビ映画のゾンビは何かに喩えられていることが多い。

『新感染 ファイナル・エクスプレス』の場合のゾンビは私たち人間だ。
主人公親子達を追い出そうとする生存者。
その顔はまさしくゾンビだった。

本当のゾンビが後ろに迫り、前にいるのは人間のはずなのにその顔はソンビよりも怖かった。

野球部の応援団の女の子が「ここにいる方が怖い」とというが、まさしくその通り。
排除する思考と集団心理の怖さが描かれているシーンだった。

そんな人たちを見ながら、おばあちゃんが「バカみたい」という。
彼女の姉は人のために生きてゾンビになってしまった。

目の前では自分のためだけに、人を排除する人間がいる。
でも人のために生きた姉は感染した。
「バカらしい」と思ってしまうのは当たり前だ。

だからおばあちゃんは扉を開けて、ソンビを部屋に入れた。

結局彼らは、心だけでなく肉体もゾンビになったのだった。

まとめ

怖くて泣けるゾンビ映画それが『新感染 ファイナル・エクスプレス』だ。

ゾンビの恐怖・人間の醜さ・そして父と娘の親子愛と、喜怒哀楽を味わうことができる。

人間の色んな心情を見事に描いている作品だった。