ドキュメンタリー『春を告げる町』「復興」とは?答えのない問題と向き合い続ける広野町の住民達


2011年3月11日の東日本大震災。それにより福島県双葉郡広野町は全町避難地域に指定されました。翌年には避難解除され、少しずつ広野町に人が戻ってきました。町に人が戻り震災前のようになれば復興したことになるのか?そもそも震災前のような町に戻ることができるのか?形の見えない「復興」という言葉。1人歩きする言葉に対して「復興とは何なのか?」と突きつけます。

『春を告げる町』作品情報

タイトル 春を告げる町
監督 島田 隆一
公開 2020年3月21日
製作国 日本
時間 2時間10分

あらすじ

震災から9年後の2020年の広野町。

インフラの復旧や除染が進み、震災当時の人口の約8割の人びとがこの町で生活し、20年東京オリンピックの聖火リレーの出発地点という華やかなセレモニーを目前にしながら、日々を過ごしている。

震災をモチーフに演劇を作りあげる高校生たち、農家や消防士、原発作業員など町に暮らす人びとの姿、かつては炭鉱で栄えたこの土地の歴史などを背景に、町の物語を紡いでいく。

(出典:https://eiga.com/movie/92559/)

福島県双葉郡広野町

福島第一原子力発電所から20km位置する福島県双葉郡広野町
2011年3月11日の東日本大震災のより、全町避難となりました。

2012年の3月31日に避難指示が解除され、町への帰還が始まりました。
住民のそれぞれが不安を抱えながらこの町に戻ってきます。

戻ってきたものの最初の1年はお米を試験的にお米を作った農家。
家族のために父親だけが最初に戻り、体への影響への様子を見た父親。
福島第一原子力発電所の廃炉・除染作業のために、他の都市からこの町にやってきた人達。
村を盛り上げるために、お祭りを復活させようと奮闘する住民。

この町に戻ってきた人達は、それぞれの暮らしを行っていました。

「復興」とは?

広野町にある高校の演劇部。
部員たちは「復興」をテーマに演劇を行うことになります。

震災を経験した部員、震災を経験していない部員。
それぞれの「復興」は違います。

そもそも「復興」とはどういう状態を意味するのか?
何を持って復興したというのか?
どうすれば復興のためになるのか?

高校生たちは様々な問題にぶつかりますが、答えは見えません。

そんな中で「他人事」という言葉が出てきます。

震災を経験してない人にとっては「復興」は他人事?
震災を経験した自分たちも「復興」はすでに他人事?

悩み苦しみながら「復興」と向き合う高校生。

答えはありませんが、彼らの姿から「復興」の意味を考えさせられます。

そして本来であればこの広野町から復興五輪の聖火ランナーがスタートするはずでした。

「復興五輪」て何なの?

「復興」の答えが見えない中、私たち日本人が向き合ってきた「復興」とは何だったのか?

そしてその復興を地元の人たちはどう感じているのか?

鋭く突き刺さるメッセージが問いかけられます。

6年ぶりの広野町

いわき市の仮設住宅から6年ぶりに広野町に戻ってきた人々。
仮設住宅が終了し、広野町に戻ってきました。

6年ぶりにつけたストーブは、使い方をすっかり忘れていました。

仮設住宅での生活は便利だったという彼らは、不便だけれども広野町の生活に戻りました。

彼らは復興については語りません。
震災についても語りません。

ただただ、その日を生きています。
震災前には戻らない生活ですが笑顔でした。

若者や子供は戻ってきていない中、おじいちゃんやおばあちゃんはもカメラの前ではいつも笑顔です。

それは彼らなりの復興なのかもしれません。

多くの人がイメージする復興とは違う生活ですが、それが広野町で起きている現実なのです。

それでも言えることは彼らは毎日笑顔で広野町で暮らしているということです。

まとめ

広野町で暮らす人々の日常生活を映しながら、視聴者へ問いかける「復興」の意味。

復興の後に生まれた子供たちは、すでに震災の事を知りません。

あれから9年過ぎて、もう一度各自が「復興」について向き合わなければいけないのかもしれません。

何が復興なのか、その答えはありません。

それでもその答えを探すことから逃げてはいけないと感じました。