映画『初恋』「バイオレンス」と「仁」どちらも人間の奥底にあるもの


三池崇史監督の初のラブストーリー『初恋』。しかしこれはラブストーリーを超えたバイオレンス映画でありながらコメディー映画にもなっていました。見た後に絶対にスッキリすること間違いなし!世の中の不満を私たちに変わって三池監督がぶった切ってくれます。心に悶々とするものがある人は絶対に『初恋』を見るべし!

『初恋』作品情報

タイトル 初恋
監督 三池崇史
公開 2020年2月28日
製作国 アメリカ
時間 1時間48分

Rotten Tomatoes

あらすじ

新宿・歌舞伎町。

天才プロボクサーの葛城レオは、格下相手にまさかのKO負けを喫し、その後の診察では病に侵されていて余命わずかと告げられる。

自暴自棄になり夜の街をさまよっていたレオは、必死で逃げる少女とすれ違い、追ってきた男をパンチ一発で倒してしまう。

その男は、ヤクザと手を組む悪徳刑事だった。

一方、モニカと名乗った少女は、父親の借金のせいでヤクザに囲われていた。

こうしてひょんな成り行きから、モニカの逃亡を手助けするハメになるレオだったが…。

(出典:https://www.allcinema.net/cinema/368182)

アクション&バイオレンス

三池ワールド全開のバイオレンスムービー『初恋』。
そのすごさは見た人しか感じることができない世界です。

冒頭だけ普通の時間の流れですが、その後は一気にアクセル全開で人間が走る・車が走る。
ヤクザの組同士の対決・恋人を殺された女性の復讐・ヤクザの対決に巻き込まれてしまった男女。
それぞれの登場人物が不思議な関係で入り組みながら、怒涛の展開がずーっと続くのです。

そしてその流れを全く飽きさせないのがアクションとバイオレンス。
気持ちのいいアクションをベッキーが見せてくれます

ほぼ全てのアクションを自分でやったというベッキー。
愛する人を殺され復讐に燃えるジュリ。
その狂気は怖いけど笑が止まりません。

大好きなヤスへの想いは純愛そのもの。
それを奪われた時、彼女の復讐を誓いました。

裸足で新宿の街を走りヤスを殺した犯人を探し続けるジュリ。
ついに犯人を見つけるとそこから復讐劇の始まりです。
刀を手に思う存分犯人への復讐が始まります。

その復讐は見ていてスカッとするバイオレンス。
これぞ三池ワールドの全開です。
刀を片手に容赦なくためらいもなく切りつけるジュリ。
思いっきりのよさに見ているこちらもスッキリです。

復讐を果たした後はあっさり銃で撃たれてしまいますが、そんな展開も三池監督らしくて笑ってしまいました。

見応えのあるアクションとバイオレンスは、見終わった後に心の中のモヤモヤを消してくれるほど爽快感あふれるものとなっていました。

「仁」とは?

中国の女性マフィアが大切にしたものそれは「」。
レオがモニカを必死で助けようとしているのを見て、二人を逃がしてあげました。
また日本のヤクザの権藤も二人を逃がします。

それは二人とも「仁」を重んじていたからでした。

中国の思想の1つで儒教の教えで基本とされている「仁」は、思いやりやいつくしみという意味です。

レオが命をかけてでもモニカを守ろうとする態度がまさしく「仁」でした。
そのレオに対して二人は「仁義」を通しました。
相手に対して自分たちの筋を通して、二人を逃がしたのでした。

それぞれが孤独で居場所のなかったレオとモニカ。
彼らもまたヤクザたちの「仁」に触れて、もう一度「生きる」ことを選びました。

一度は「死」を覚悟したレオとモニカは、相手を敬う心に触れて自分の道を歩み始めたのでした。

まとめ

アクションとバイオレンス満載のラブストーリー『初恋』。
そこには人間が持っている凶暴性と仁について描かれていました。

人間が兼ね備えている二つの相反する感情が、愛に触れた時に表に溢れ出てきました。
それがジュリの凶暴性であり、レオの仁だったのだと思います。

残虐な映画の中に、隠された人間の善と悪を描いた作品それが『初恋』でした。