ドキュメンタリー『フロム・イーブル〜バチカンを震撼させた悪魔の神父〜』で暴かれた衝撃的な真実

2006年に公開された『フロム・イーブル〜バチカンを震撼させた悪魔の神父〜』で描かれている子供への性的虐待事件は全世界を震撼させる出来事でした。被害者達は大人になった今でも深い傷を負い戦っています。それに対してバチカンが出した答えは正しいことだったのでしょうか?なぜこのような事件が起きてしまったのか?このドキュメンタリーではその闇に迫っています。

目次

『フロム・イーブル〜バチカンを震撼させた悪魔の神父〜』作品情報


フロム・イーブル ~バチカンを震撼させた悪魔の神父~ [DVD]

タイトル フロム・イーブル〜バチカンを震撼させた悪魔の神父〜(Deliver Us from Evil)
監督 エイミー・バーグ
公開 2006年10月13日
製作国 アメリカ
時間 1時間41分

Rotten Tomatoes

あらすじ

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危険な小児性愛者である神父を教会がかばい続け、結果、数多くの子供たちが神父によって虐待された。

衝撃の事実を明らかにする。

(出典:https://tsutaya.tsite.jp/item/movie/PTA000080CYX)

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カトリック教会のシステム

キリスト教の教えを基本にするカトリックは、キリスト教の宗派の1つに当たります。

バチカン市国に本部があり、ローマ教皇をトップとしています。
その下に枢機卿がいて、さらに大司教・司教・司祭(神父)と続きます。

キリスト教の宗派の1つであるプロテスタントと違いカトリックでは既婚者は神父になることができません。
多くの人は神学校に通い神父になります。

各地域の教会の布教活動やミサなどを行うのが神父です。
いくつかの教会を管理するのが司教で、任された地区を教区と呼びます。
その教区の中で重要な教区を大司教区と呼び、大司教区を任せれているのは大司教になります。

このようなピラミッド形式でなりたっているのがカトリックの階級で、このシステムがカトリック教会の闇でもあったのです。
またこのシステムが権力によって支配できる狭い社会を作り上げてしまったのでした。

カトリック教会の性的虐待事件

『フロム・イーブル〜バチカンを震撼させた悪魔の神父〜』ではロサンゼルスで起きた事件を取り扱っていますが、始まりは2002年に発覚したボストンでの事件でした。
このドキュメンタリーでも少しだけドイル神父が話しています。

この事件のことは描いた『スポットライト 世紀のスクープ』が2016年に公開され、アカデミー賞作品賞を受賞しています。


スポットライト 世紀のスクープ (字幕版)

このボストンで発覚した事件がきっかけとなり、アメリカ全土で神父による性的虐待事件が次々と明るみになりました。

その1つがこのドキュメンタリーで描かれるロサンゼルスで起きた事件だったのです。

カトリック教徒にとって人生=信仰であり、神父か教徒から絶大な信頼を寄せられています。
その信頼を利用して神父が子供達に虐待を行なっていたのです。

子供から話を聞いた親が司教に相談しますが、司祭は神父を別の教会に移動させただけでした。
結局移動させた教区でも神父は虐待を繰り返し、どんどん被害者だけげ増えていってしまったのです。
なぜ司教は神父を免職しなかったのか。
それは自分の地位を守るためでした。

大都市であるロサンゼルスは大司教区であり、この事件が起きた時の司教マホーニはロサンゼルス大司教区の大司祭の候補者でした。
彼は自分の地位を守るためにオグレディ神父の起こした事件を隠蔽したのです。

結局その保身が被害者を増やすことになってしまいます。
しかしマホーニはその後、何事もなかったように枢機卿になります。
被害者には手を差し伸べず、犯罪者を野放しにした人物が上に上がっていったのです。

事態を重く見たドイル神父は、アメリカの司教会議に問題への対応を求めましたが回答は得られませんでした。

それはバチカンでも同じでした。
教皇宛に被害者が手紙を持ってバチカンを訪れますが、相手にしてもらえず手紙の返事さえもこなかったのです。

それなのに教会は「問題は解決した」と世間に公表しました。
抜本は何も解決してなく、隠蔽体質は続いていたのでした。

カトリック教会

この事件が起きた時、ローマ教皇の下で全組織をまとめる教皇庁のトップを務めていたラッツィンガー枢機卿は、虐待を防ぐ立場にありながら何もしていません。
なのに彼は2005年第265代ローマ教皇ベネディクト16世となったのでした

性的虐待事件に対する隠蔽問題でベネディクト16世も訴えられましたが、ブッシュ大統領によって免責されました。
結局ベネディクト16世は2013年までローマ教皇として職務を行いました。

この虐待事件により裁判によってカトリック教会は莫大な賠償金を払うことになりました。
しかしお金を払って事件が終了したわけではありません。
被害者たちは今でも心に深い傷をおっていて、安らげる生活は送っていません。

それなのに故郷アイルランドに送還されたオグレディ神父は、普通の生活を送っています。
しかも65歳になると教会から年金ももらえます。

被害者にとってこの事件に終わりはないのかもしれません。
それでも彼らが新たな人生を踏み出せるような対応があればいいなと願います。

まとめ

カトリック教会で起きた衝撃的な事件を追ったドキュメンタリー『フロム・イーブル〜バチカンを震撼させた悪魔の神父〜』。
その内容は驚愕的なものでした。

しかし事件はずっと昔から続いていたのです。
それは神父の独身制は幼くして神学校に入ることも原因の1つなのかもしれません。

教会の体質全てが改善され、抜本から変わる日がくることを多くのカトリック教徒が望んでいるはずです。

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