映画『ミシシッピー・バーニング』で描かれた1964年に起きた公民権運動家殺害事件

1964年ミシシッピ州で起こった公民権運動家3名の殺人事件。2人の白人男性と1人の黒人男性が行方不明になり、その後遺体で発見されました。実際に起こった事件を描いた『ミシシッピー・バーニング』では、1964年当時のミシシッピで起きていた人種差別が生々しく描かれていました。

目次

『ミシシッピー・バーニング』作品情報


ミシシッピー・バーニング [AmazonDVDコレクション]

タイトル ミシシッピー・バーニング(Mississippi Burning)
監督 アラン・パーカー
公開 1989年3月4日
製作国 アメリカ
時間 2時間8分

Rotten Tomatoes

あらすじ

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ミシシッピー州で3人の公民権運動家が消息を絶った。

FBIは2人の捜査官を派遣するが、彼らを待ち受けていたのは、非協力的どころか敵意まで剥き出しにして捜査を妨害する住民達だった……。

(出典:https://eiga.com/movie/29129/)

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[box class=”red_box” title=”アカデミー賞受賞”]撮影賞[/box]

公民権運動家殺害事件

1964年ミシシッピ州で起きた公民権運動家3名の行方不明事件。
やがて3名の遺体が見つかり殺害事件となりました。

この事件を元に描かれた『ミシシッピー・バーニング』ですが、事件は実際に起きた出来事です。

1950年代からアメリカ全土に広がった公民権運動。
黒人が自分たちの人権のために立ち上がった運動です。
この公民権運動は人種差別のひどかった南部でも起こり、ミシシッピ州でも起きていました。

当時ミシシッピ州は南部の中でも特に人種差別のひどい地域でした。
映画の冒頭でウィレム・デフォー演じるFBIのウォード捜査官が「ミシシッピに来るのはミシシッピ大学の黒人入学事件依頼だ」と言いますが、黒人入学事件も1963年に実際に起きた事件です。

1963年にミシシッピ大学に黒人の学生が編入しようとしますが、知事に却下されてしまいさらに大学内で暴動が起こり連邦軍が派遣されるほどでした。
結局男子学生は入学を許可されますが、激しい暴動が起きさらにその時に男子学生を支持していた公民権運動家のメドガー・エヴァースが暗殺される事件まで起きたのです。

それほど人種差別のひどかったミシシッピで、1964年に公民権運動家3名が行方不明になりました。
彼ら3名は黒人の学校や協会などで、黒人に選挙権に登録することを訴えていました。
1964年7月には公民権法が制定され人種差別は法律で禁止されました。
そして黒人も選挙権を得ることができたのでした。

この頃公民権運動家達は黒人も投票に行ってより良い社会を作るよう訴え、有権者登録所を作っていました。
しかしこの登録所や黒人教会は白人至上主義の団体によって燃やされてしまったのです。

燃やされた教会を見た帰り道運動家3名はスピード違反で警察に捕まってしまいます。
彼らはスピード違反はしていませんが、逮捕され拘留されてしまいました。
それはこの時すでに彼らに対する殺害事件は動き出したいたからです。

その後釈放された3人は彼らを追っていたK.K.K.のメンバーと警察官らによって、殺害されてしまったのです。

人種隔離政策は禁止されたいたにも関わらず南部で続いていた人種差別。
レストランで黒人専用の席などがあるように、南部では全てのものが白人とそれ以外の人種によって分けられていました。

『ミシシッピー・バーニング』は実際に起きた事件を元に描かれていますが捜査の経緯はフィクションです。
しかしこの映画のかで描かれる人種差別は実際に当時の南部で起きていたことのなのです。

白人至上主義

『ミシシッピー・バーニング』の中で描かれている過激な人種差別を行っていたK.K.K.。この団体は白人至上主義を掲げている団体です。

映画を見ていても分かるように彼らは、黒人だけを差別していたのではなくユダヤ人やアジア人さらに共産主義者やカトリック教徒も差別していました。
彼らはアングロサクソン人のプロテスタントいわゆるWASPが神から選ばれた民族だという考えを持っていて、他の人種や宗教を徹底的に排除していったのでした。

一度は禁止された団体でしたが、1920年代頃に復活し1960年代には公民権運動に対して激しい暴力をふるって対抗していました。
それは殺人事件にも繋がることが多かったのです。

南部で起きていた教会を燃やしたりする事件はK.K.K.のメンバーによるものが大きかったのは事実ですが、メンバーでなくても差別は起っていました。
それは『ミシシッピー・バーニング』の中でも明確に描かれていて、FBIの捜査を中継するマスコミが住民に意見を聞きます。
するとほとんどの白人が黒人に対する差別をテレビに向かって話すのです。

これが当時のミシシッピ州の実態だったのです。
K.K.K.は恐ろしい集団ですが、その一員でなくても心の中に同じような思いを持っている人がたくさんいたのです。

まとめ

1964年に起きた実際の出来事を知ることのできる映画『ミシシッピー・バーニング』。

事件の捜査中に描かれるミシシッピで起きていた差別の生々しさには恐怖を感じてしまいました。
しかしこれは実際にこの当時起きていたことなのです。

この映画を通して過去の過ちを繰り返していないかどうか考える必要がありますし、決して忘れてはいけない出来事です。

また勢力は弱まっても今だに存在するK.K.K.。
さらにはこの映画の住民達と同じように、一員でなくても差別を心に秘めている人たちがいることも今だに続く事実なのです。

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