映画『8 Mile』で知るデトロイトの荒廃した街の歴史

エミネムの自伝的映画『8 Mile』は、彼の育ったデトロイトが舞台になっています。デトロイトの街の境界線である8マイル。8マイルの内側と外側では大きく生活が異なります。ここでは『8 Mile』を通して描かれるデトロイトの街の様子を見ていきたいと思います。

目次

『8 Mile』作品情報


8 Mile [Blu-ray]

タイトル 8 Mile(8 Mile)
監督 カーティス・ハンソン
公開 2003年5月24日
製作国 アメリカ/ドイツ
時間 1時間50分

Rotten Tomatoes

あらすじ

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1995年、デトロイト。

中産階級の白人が多く住む郊外とは“8マイルロード”で分断され、貧困層が多数を占める都市中心部。

ジミーはここで無職の母と幼い妹の3人でトレイラー・ハウスに暮らしていた。

彼は昼間プレス工場で働き、夜はヒップホップ・クラブ“シェルター”で毎週行われるラップ・バトルでの優勝を目指し、プロで成功することを夢見ていた。

だが、彼は才能がありながらその実力を発揮出来ないでいる。

加えて母ステファニーとの確執に悩んでいたジミーはある日、モデルを夢見るウェイトレスのアレックスと出会い恋に落ちるのだが…。

(出典:https://www.allcinema.net/cinema/240783)

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[box class=”red_box” title=”アカデミー賞受賞”]歌曲賞:Lose Yourself(Eminem/Jeff Bass/Luis Resto)[/box]

「Lose Yourself」リンクが見つかりませんでした。: (WP Applink)

デトロイトの繁栄

『8 Mile』の街で描かれるデトロイトの街並みは荒廃していてゴーストタウンのようです。

この街に住むのが主人公のバニー・ラビットです。
彼の住む家はトレーラーハウスで、そのトレーラーハウスさえも立退きの要請がくるほどです。
周囲には同じようなトレーラーハウスが並び、友人達が住んでいる家も貧しい家でした。

『8 Mile』の時代は1995年です。
この時のデトロイトは荒廃した都市で犯罪が多発する街でもありましたが、以前は活気溢れる街でした。

20世紀初めに自動車が普及し始めると、デトロイトは自動車産業で栄え始めました。
フォード・GM・クライスラーのビッグ3と呼ばれる自動車メーカーがデトロイト周辺に自動車工場などを建てて自動車の街として栄えていきます

そして多くの人がこの都市に仕事を求めてやってきました。
特に南部からは黒人がデトロイトに職を求め移住してきます。
黒人が集まったことでブラックミュージックが栄え、モータウンという黒人アーティストメインにレコード会社も誕生しました。

そんな自動車と音楽の街だったデトロイトでしたが、次第にその街の様子は変わって行くのです。

8マイル・ロード

自動車と音楽で賑わっていたデトロイトですが、そこで働いていた黒人と白人の間には貧富の差が出来始めます。
白人は郊外に住むようになり貧しい黒人がデトロイトの中心に残りました。

さらに1967年に起きた暴動により、白人はますます郊外に出ていきデトロイトの中心は8割が黒人が占めるようになりました。

暴動により街は荒れ放題となります。
追い討ちをかけるように日本車やドイツ車に押されアメリカの自動車メーカーのビッグ3の経営は厳しくなりデトロイトには仕事がなくなってしまいました。
そしてついに街は破綻してしまったのです。

デトロイトの中心は貧しい黒人と白人だけが取り残されてしまったのです。
そのデトロイトの中心と外側の境界線が8マイル・ロードなのです。

この8マイルの内側と外側では全く別の世界になっています。
8マイルの外側に住む白人は、「8マイルの内側に入ってはいけない」と子供に教えます。
それほど8マイルの内側は危険な場所だったのです。

8マイル・ロードの内側はほとんどが黒人が住んでいますが、バニー・ラビットやアレックスのように貧しい白人も住んでいます。
バニー・ラビットはラップの才能に長けていましたが、ラップは黒人のものだとして彼がラップをやる事をバカにされてしまうのです。

バニー・ラビットがラップバトルの中で「8マイルの向こう」と何度も言われるのは、8マイル・ロードの外側に住む白人への憤りなどもぶつけられているからです。
8マイル・ロードの中では白人の方がマイノリティであり、また黒人のものであったラップをやる白人は敵視されていたのでした。

学びポイント

映画『8 Mile』を見ると1995年当時の荒廃したデトロイトの街を見ることができます。
そしてそこはほとんどが黒人が住んでいた街だったということも分かります。

そんな街で白人としてラップをやっていたエミネム。
彼がどんな思いで幼少期を過ごしていたかを感じることができるようになっています。

なぜデトロイトの街がゴーストタウンになってしまったのか、そして8マイル・ロードで変わる貧富のさを知っていると、『8 Mile』のリアリティを強く感じるはずです。

映画『8 Mile』では、1995年当時のデトロイトの街の実態を知ることができました。
(デトロイトの荒廃はこの後10年以上も続くのです。)


モア・ミュージック・フロム・8マイル

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