メジャーリーグで野球殿堂入り第一号となったタイ・カップ。偉大な成績を残した選手でしたが、最も嫌われた選手でもありました。そんなタイ・カップの人生を描いた『タイ・カップ』を通して彼の偉業と悪評を見ていきたいと思います。
『タイ・カップ』作品情報
タイトル | タイ・カップ(Cobb) |
監督 | ロン・シェルトン |
公開 | 1995年9月2日 |
製作国 | アメリカ |
時間 | 2時間08分 |
Rotten Tomatoes
あらすじ
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1960年。
スポーツ記者のアル・スタンプは、30年前に引退した伝説の選手、タイ・カッブの自伝の執筆協力を依頼される。
カッブは病気がちで、酒を浴びるほど飲み、そして何より怒りっぽくすぐに銃を振りかざす男だった。
カッブはアルに、私生活の事は一切触れずに野球人としての偉大な足跡のみを書くよう強要する。
アルは表向きの伝記とは別に、彼の真実の姿をつづった別の原稿も並行して書き進めていった。
(出典:https://eiga.com/movie/46398/)
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タイ・カッブ
アメリカ野球殿堂入り第一号となるほど偉大だったタイ・カッブ。
(日本では、カップと呼んだことからしばらくは「カップ」と表記されていましたが、最近では発音通り「カッブ」と表記されることがほとんどです)
[box class=”red_box” title=””]首位打者12回
23年連続打率3割到達
打率4割越え3回
通算打率.367[/box]
というとんでもない数字を残し、大活躍したのがデトロイト・タイガースのタイ・カッブでした。
ジョージア州出身だったことから「ジョージア・ピーチ」と呼ばれたタイ・カッブは野球を変えた男でもありました。
しかし日本ではあまり彼の名前は有名ではありません。
アスレチックスへ移籍した後、シーズンオフに日本でプレーしたこともあるタイ・カッブですが、野球を知らない人でも聞いたことある「ベーブ・ルース」とは違いあまり聞かない名前です。
ベーブ・ルースと同時期に活躍した選手でありながら、あまり彼の名前を聞かないのは彼のプレースタイルや私生活での行動などが原因だと考えられます。
攻撃的野球のスタイルを作りだしたタイ・カッブでしたが、それは一方でラフプレーと見られてしまうことも多かったのです。
彼は試合前にスパイクを研いでいたと言われています。
その靴で走塁するので、内野手や野手は毎回血を流すことになってしまったのです。
また差別主義者だとも言われていたタイ・カッブ。
そのため偉大な成績を残した選手でありながら、最も嫌われた選手とも言われているのです。
まや八百長疑惑などもあり、タイ・カッブの私生活は野球とは違い荒れていました。
そのため多くのファンがいながらも、逆に彼のことを嫌う野球ファンもいたのです。
引退後の人生
映画『タイ・カップ』は実話を元にした物語です。
実在するスポーツライターのアル・スタンプがタイ・カッブの自伝のために一緒に過ごした時間を元に作られました。
スタンプはこの取材で2冊の本を出版します。
まずはタイ・カッブの望んだ「偉大」な自分を描いた伝記です。
そしてその後、真実を描いた本を出版しこの映画の原作になっています。
引退後は株などの投資でお金を設けていたタイ・カッブでしたが、その性格からか家族とも疎遠となり友達もなく暮らしていました。
しかし、実は元メジャーリーガーの面倒を見たり遺産を貧しい子供の教育などに残すなど、噂とは違う一面も持っていました。
気難しい性格だったことは間違いないようですが、ヒール役として扱われてたタイ・カッブには優しい一面もあったのです。
差別主義者と言われていたことも、のちに事実ではないとも言われています。
それはアル・スタンプが書いただけであり、証拠はないとされています。
現役時代のプレースタイルから悪い噂ばかりが目立ってしまうタイ・カッブですが、本当の彼は違ったのかもしれません。
映画『タイ・カップ』では彼のそんな一面を見ることもできます。
学びポイント
『タイ・カップ』は偉大なメジャーリーガーだったタイ・カッブについて知ることができる映画であり、また彼の抱えていた孤独な一面を見ることができます。
1900年の前半を舞台にした映画を見ていると名前を目にすることの多いタイ・カッブ。
それだけ彼が偉大だったことを示しているのでしょう。
ベーブ・ルースと対比されるとどうしても「悪」のイメージの強い選手ですが、野球が大好きで野球が人生の全てだったことをこの映画を通して知ることができます。