映画『ブラックブック』で見る第二次世界大戦中のドイツ占領下のオランダ

第二次世界大戦中にドイツに占領されたオランダ。ユダヤ人の迫害・オランダ人の強制動員・レジスタンスの活動など混乱するオランダの歴史を『ブラックブック』を通して学んでいきたいと思います。

目次

『ブラックブック』作品情報


ブラックブック [DVD]

タイトル ブラックブック( Zwartboek)
監督 ポール・バーホーベン
公開 2007年3月24日
製作国 オランダ
時間 2時間25分

Rotten Tomatoes

あらすじ

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1944年9月、ナチス・ドイツ占領下のオランダ。

美しいユダヤ人女性歌手ラヘルは、ナチスから逃れるため一家で南部へ向かう。

しかし、ドイツ軍の執拗な追跡にあい、ついには彼女を除く家族全員を殺されてしまう。

その後、レジスタンスに救われたラヘルは、ユダヤ人であることを隠すため髪をブロンドに染め、名前をエリスと変えて彼らの活動に参加する。

そしてナチス内部の情報を探るため、ナチス将校ムンツェに接近、彼の愛人となることに成功するのだが…。

(出典:http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=326623)

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第二次世界大戦中のオランダ

1939年9月1日ドイツがポーランドに侵攻します。
これを受けて9月3日イギリスとフランスがドイツに対して宣戦布告したことで、第二次世界大戦は始まりました。

その後、ドイツの勢いは止まらず東ヨーロッパや北欧を占領していきます。
そして1940年5月10日。
ドイツ軍はオランダにも侵攻してきたのでした

オランダ軍は抵抗しますが、ドイツ軍の勢いは止められず5月15日オランダは降伏し、ドイツに占領されてしまったのです。

オランダ人の生活は次第に苦しくなりま。
ドイツ軍のユダヤ人迫害が始まり、ユダヤ人を助けたオランダ人も捕まってしまいます。

『ブラックブック』はドイツの降伏直前の1944年9月から始まります。
この頃ドイツ軍の勢いは失われつつありました。
オランダではドイツ軍に対してレジスタンス運動も起こり始めていました。

彼らはドイツ軍に抵抗するために、ユダヤ人を助けていたのでした。

レジスタンス

オランダを占領したドイツ軍に対するレジスタンス運動を開始したオランダの市民達。

ユダヤ人を助け逃したりしていましたが、それは彼らにとっても危険な行為でした。
それでも彼らは地下組織として武器などを調達しながら、ドイツ軍と戦おうとしていたのです。

しかしそのレジスタンスの中にもドイツ軍と繋がっている人物がいました。
『ブラックブック』に登場するハンス・アッカーマンがそうです。
この映画は事実に着想を得た物語となっていますが、実際にレジスタンスのふりをしながら実はドイツ軍と繋がっていて、ユダヤ人の財宝などを得ていた人がいたのです。

主人公のエリスに疑われれてしまった公証人のスマール。
彼は公証人としてユダヤ人の財産などを管理していました。
隠れ家なども知っていたことから、エリスはスマールが裏切り者と思ってしまったのでした。

しかし実際は違いました。
裏切り者は直接ドイツ軍の将校と繋がっていた人物だったのです。

戦時中と戦後のオランダ人

ドイツに占領されたオランダの中で、オランダ人も生き残るために大変な生活を送っていました。

ドイツ軍に逆らえばオランダ人も捕まってしまいます。
そのためにドイツ軍に協力するオランダ人もいたのです。
生活するためには仕方なかったことのしれません。

ドイツ軍が劣勢になってくるとドイツ軍に協力していた人たちは、自分たちのことが心配になり始めました。
ドイツに協力していた売国奴として、裏切り者として扱われることを恐れていたのでした。

終戦後その考えは的中してしまい、ドイツ軍に協力していたオランダ人は裏切り者としてレジスタンスなどに捕まってしまったのでした。

『ブラックブック』のエリスもその一人でした。
レジスタンスのスパイとしてドイツ軍に近づいたエリス。
そのためには女性の武器も使うほどでした。
しかし結局は、裏切り者のレジスタンスにはめられてしまい、ドイツ軍に協力した売国奴として捕まってしまったのでした。

学びのポイント

ドイツ占領下にあったオランダの様子を描いた『ブラックブック』。

ユダヤ人の迫害だけでなく、レジスタンスの戦いなど当時のオランダのことを学ぶことができます。

さらにドイツ軍の中にもレジスタンスやユダヤ人に対して理解を示していた人がいたことも描かれています。

逆にレジスタンスの中にもドイツ軍に通じていた人もいるなど、戦時下の中で混沌とする国と混沌とするオランダ人・ユダヤ人・ドイツ人の心情なども知ることができました。

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