映画『ニュースの真相』内容と解説 論点がずれてしまう恐怖 その責任は誰にあるのか?


ブッシュ大統領の2期目の再選をかけた選挙前。CBSの『60 Minutes II』ではブッシュ大統領が軍にいた時のスクープを放送します。その内容はブッシュ大統領の選挙に大きな影響を与える内容でしたが、番組内で証拠として使用したメモが偽物だという事実が浮かびあがったのでした。

『ニュースの真相』作品情報

タイトル ニュースの真相(Truth)
監督 ジェームズ・ヴァンダービルト
公開 2016年8月5日
製作国 アメリカ/オーストラリア
時間 2時間05分

Rotten Tomatoes

『ニュースの真相』あらすじ


ニュースの真相 [Blu-ray]

ジョージ・W・ブッシュ米大統領が再選を目指していた04年。

アメリカ・CBSニュースのベテランプロデューサー メアリー・メイプスは、伝説的ジャーナリスト ダン・ラザーがアンカーマンを務める番組で、ブッシュの軍歴詐称疑惑を裏付けるスクープを放送し、センセーションを巻き起こした。

だが、「新証拠」を保守派のブロガーが「偽造」と断じたことから、CBSは激しい非難を浴びる。

同業他社の批判報道もとどまるところを知らず、ついに上層部は事態の収束を図り、内部調査委員会の設置を決定。

そのメンバーにはブッシュに近い有力者も含まれている。

肝心の軍歴問題は取材打ち切りとなり、もはや疑惑は存在しないも同然だった。

メアリー、ダン、そして取材チームは会社から切り捨てられるのか?

出来レースのような委員会との闘いを前に、メアリーは勇気を奮い起こす。

圧力に屈することなく、真実を伝えることを使命とするジャーナリストとしての矜持と信念を示すために―。

(出典:http://truth-movie.jp/story/)

『60 Minutes II』

出典:IMDb

アメリカの放送局の1つCBS。
そのCBSの人気番組の1つが今回の『ニュースの真相』に登場する『60 Minutes II』という番組です。

60 Minutes』として1968年に放送開始されたこの番組は、ドキュメンタリー番組として大人気となり現在でも800万人が視聴していると言われCBSの看板番組の1つです。
映画の中でダン・ラザーが「ニュースが金になると証明した場所にいた」というセリフがありますが、ダン・ラザーは1975年から『60 Minutes』の特派員として登場するようになります。
彼は『60 Minutes』に2006年までの特派員として取材を取材を続けていました。

『60 Minutes II』は姉妹番組として1999年に放送が始まります。
『ニュースの真相』のはじめの方でも描かれていますが、アメリカ軍によるイラク人虐待問題をスクープしました。

ダン・ラザーは第1回目からホストとして出演しています。

『60 Minutes II』は2005年に放送を終了しますが、その原因が『ニュースの真相』で描かれていることです。

視聴者の興味

『60 Minutes II』で放送されたブッシュ大統領の軍歴の問題は放送終了後から大きく話題となりました。

ブッシュ大統領の再選前だったため、国民の他のメディアも注目し、選挙戦の結果に大きく影響しそうでした。

しかし数日後番組内で、証拠として使用されたメモが偽造ではないかという問題が持ち上がります。
最初は保守派のブログで書かれたものでしたが、そのことをメディアが扱い始めると大きな問題となってしまったのです。

メディアも国民の「メモの真相」にばかり注目してしまい、ブッシュ大統領の兵役については関心が薄れていますのです。
『60 Minutes II』で伝えたかったことはブッシュ大統領の軍歴詐称のはずだったのに、もはや誰もそこには関心を示さず「メモが本物か偽物なのか?」そればかりが注目され連日そのニュースだけが流れるようになってしまったのです。

確かに偽物かどうかをきちんと調べずに放送してしまった側にも問題はありますが、人の間違いを非難することばかりに目がいってしまい、国民の多くは追求しなけらばいけないことを見失ってしまうのです。

そしてそれがその後の選挙結果に大きく関わってしまいました。

ブッシュ大統領の再選が正しかったのかどうかは分かりませんが、もしこの時追求すべきことがきちんと放送されていたら選挙結果も変わっていたのかもしれません。

弱者を見つけると徹底的に潰しにかかるマスコミ。
そしてそれを喜ぶ視聴者。
これはアメリカだけでなく、日本でも言えることです。

マスコミの放送の仕方によって国民の感情は大きく動いてしまうのです。
だからこそ、マスコミは中立な立場で正確に情報を伝える必要があります。
そして私たち視聴者も、きちんとした目でニュースを見ないといけないのです。

己に誠実であれ

最後までジャーナリストとして戦い続けたメアリー・メイプス。
自分たちが伝ええるべきことを伝えるという姿勢を貫きとおしました。

その信念があったからこそ、ダン・ラザーも彼女に100%の信頼を寄せていたのです。

政治による圧力や権威にに屈せず、最後まで立ち向かったメアリー・メイプス。
彼女たちは結果的に負けてしまいましたが、彼女と一緒に働いた仲間はみんな誇りを持っているでしょう。

そしてこの映画ができたことが、彼女たちが負けではないことを語っているはずです。

CBSをクビになって以降報道の現場に戻っていないメアリ。
きっとこの時の戦いで全てを使いきったのかもしれません。

現在はコンサルタントや執筆活動に励んでいる彼女。
きっと今は違う場所で戦い続けているのでしょう。


大統領の疑惑

まとめ

マスコミの放送によって、国民の感情は大きく変わってしまうことを描いた『ニュースの真相』。

中立であるはずの報道番組さえも政治の圧力を受けてしまうという、恐ろしい真実が描かれていました。

報道に関わる人はもちろんそれ以外の毎日ニュースを見る私たち一人一人にも大きく関わっていることです。

「真実はなんなのか?」「追求しなければいけないことはなんなのか?」それを私たちは間違えようにしないといけません。