映画『マッチポイント』あらすじと感想 人生は全て運で決まってしまうのか?

テニスでネットに当たったボールはどちらに落ちるか分からない。ネットの向こうに落ちれば勝ち。手前に落ちれな負け。自分の力ではどうすることもできない運。果たして私たちの人生は運で全て決まってしまうのでしょうか?

目次

『マッチポイント』作品情報

タイトル マッチポイント(Match Point)
監督 ウディ・アレン
公開 2006年8月19日
製作国 イギリス/アメリカ
時間 2時間04分

Rotten Tomatoes

『マッチポイント』あらすじ


マッチポイント 初回限定版 (特別ブックレット付) [DVD]

(引用:MIHOシネマ

人生は運で決まるのか?

出典:IMDb

プロテニスプレヤーとして活躍して来たクリスは能力の限界を感じ引退を決めます。
そしてテニスの先生として働くことにしたのでした。

現役時代は手堅い試合をやっていたいたクリスでしたが、人生はネット上のボールだという考えを持っています。
ネットにかかったボールはどちらに落ちるか分かりません。
自分の力ではどうすることもできません。
ネットの向こうにボールが落ちたら勝ち。
手前に落ちたら負け。
全ては運次第だと考えていたのです。

引退したあとは何かを成し遂げたいと思っていたクリスですが、テニス指導の仕事でお金持ちの友人ができます。
そしてその妹と恋人関係になりました。

そこからクリスの人生は大きく変わります。
貧しい生まれだったクリスが、大金持ちの家の彼女を持ちそのコネで彼女の父親の会社で重役を任されることになったのです。

本当は自分の力で何かを成し遂げたいと思っていたクリスでしたが、不自由のない暮らしを手に入れたクリスは改めて人生は運で決まると感じます。

自分の力を試したいのとでもお金持ちの生活を手放したくないという思い。
2つの欲望の中で葛藤するクリスでしたが、いつも彼は運を選び流れに身を任せるのです。

罪と罰と運

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罪と罰〈上〉 (新潮文庫)
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罪と罰〈下〉 (新潮文庫)
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クリスは物語の中でドストエフスキーの『罪と罰』を読んでいますが、この本がこの物語のもう1つのテーマを示しています。

恋人のクロエと結婚したクリスでしたが、義理兄の元婚約者だったノラに一目惚れしてしまい浮気を始めます。
家に帰ると子供ができないことを悩むクロエに追い詰められるクリスは、その分外ではどんどんノラにのめり込んでしまいます。
最初はノラとの生活を純粋に楽しみ欲望のままに生きていましたが、次第にクロエに対しても罪悪感を感じてしまいます。

自分の犯している罪と感じる罰。
さらにノラが妊娠してしまい、ますます罪悪感は深まります。
離婚を迫るノラでしたが、今の生活を手放したくないクリス。
結局クリスはノラを殺してしまうことを選択します。
しかも事件に見せるために、全く関係ない隣人まで殺してしまったクリス。

その日からクリスは新たな罪と新たな罪悪感を背負うことになったのでした。
罪悪感から亡くなったノラや隣人が夢にまで出て来ます。
警察にも疑われ、クリスは逃げ場がなくなってしまいます。

しかしその時この映画の大きなテーマ『運』が動き出します。
殺人事件の犯人として麻薬の売人が捕まります。
さらにあれだけ悩んでいたクロエも妊娠します。
クリスはまた『運』を手にし、全てがうまく回り始めたのでした。

生まれて来た子供に「立派でなくても運が強ければいい」という家族。
その言葉を聞きながらクリスは、子供を眺めていました。

確かに『運』を手に入れ、お金持ちになり犯罪者にもならなかったクリス。
しかし彼は自分の犯した罪を償ってはいません。
まさしく『運』だけでここまでのし上がったのですが、彼の心には大きな罪悪感が残っています。
きっと彼はこの先もこの罪悪感を背負いながら生き続けるのです。

クリスには昔のように「運次第」という言葉で人生を語ることができるのでしょうか?
運と引き換えに背負った罪は大きな大きなものでした。

まとめ

『運』によって人生が大きく変わったクリス。

『人生が運次第』ということが描かれていた『マッチポイント』でしたが、主人公のクリスは運と引き換えに大きな代償を背負いました。

もちろんそれは自分が犯した罪の代償ですのが、もしかすると心のどこかで彼は罰を受けたいとも思っていたのかもしれません。

この先1人で背負い続ける罰はクリスにとっては大きなものになってしまいました。

「運」なのか「努力」なのか?

この映画の主人公は「運」で生きていましたが、そんな主人公を描くことでこれでいいのか?と私たちに問いかけているようにも感じました。

「運」も必要かもしれませんが、それは時と場合により「運」だけでは済まされないこともあるのではないかと考えさせられる深いテーマに映画になっていました。

 

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